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平成十七年一月二十七日提出
質問第一一号

大規模災害時等の際の身元確認業務及び死因究明に関する質問主意書

提出者  細川律夫




大規模災害時等の際の身元確認業務及び死因究明に関する質問主意書


 昨年は大きな災害が相次ぎ、災害への対応、復興支援のあり方など様々な課題が残された。ここで私は、特に災害のため不幸にして亡くなられた方の遺体について、その身元推定及び確認の業務並びに死因の究明に関し以下のとおり質問する。

 身元の推定はどの災害、あるいは事故または犯罪の場合でも死亡者を特定する上で必要不可欠であることは自明である。また、災害等によって死亡された方の死因を正確に把握し、同様の災害発生時に犠牲者を減らすための努力を行うことも大変重要である。災害によって直接亡くなった方についてはもちろん、いわゆる災害関連死と呼ばれる死亡については、再発防止の観点から一層厳格な死因究明が要求される。
一 新潟県中越地震において、政府は各死亡者の死因をどのように把握しているか。また、将来の災害時に、そうした死因で死亡する国民が極力発生しないように予防するためにどのような災害対策を講じているか。
二 その死因は、それぞれどのように決定されたものか。例えば、今回の地震後多くの患者が死亡したとされるエコノミークラス症候群の診断は、生きた患者の場合血管造影などによらなければ確定診断はできないし、死亡した方の場合は、解剖抜きでは確定診断はできない。こうした検査をきちんと行ったうえで死因を決定したものか。
三 スマトラ沖地震とその結果起こったインド洋津波では邦人を含む未曾有の数の生命が犠牲になった。身元推定及び確認の業務が注目されるなか、わが国の要員派遣が迅速かつ適切であったかどうかについて、関係者より批判が起こっている。死体の検案、DNA検体の採取、歯科検査を含む身元推定及び確認業務においては、専門家たる法医学者と法歯学者の協力が欠かせないにもかかわらず、十分な人材確保に至らなかった可能性が高い。まず、災害発生時から十日程度の初動段階で、派遣された法医学者(日本の医師免許取得者)、法歯学者(日本の歯科医師免許取得者)は何名か。また、その人選はどのような経緯で行われたか。その数は国際的にみて十分と言えるものか。例えば、他の先進国(アメリカ合衆国、ドイツなどのヨーロッパ諸国)やアジアの国々(中国など)は、法医学者、法歯学者をそれぞれ何名派遣したか。
四 身元の推定に当たっては法歯学の役割が大きい。報道を見ると、タイにおいて日本は初動段階で歯科レントゲン装置を持っていかず、他国の装置を借りたとあるが、これは事実か。電源や発電機等歯科検査に必要な機材、行方不明者の歯科カルテやレントゲン写真の送付方法、派遣要員の感染症防止策等、緊急時に備えた準備は万全であったと言えるか。
五 外務省はJICAの国際緊急援助隊事務局を通して法医学会に派遣を要請し、学会が専門の法歯学者らの派遣を決めたにもかかわらず、その後外務省等は要請を撤回し、派遣が見送られたと言われているが、これはいかなる事情によるのか。仄聞するところでは、プーケットでは中国のチームによるDNA鑑定で間に合う見通しがついたことが派遣中止の理由だという。これだけの大災害で、すでに要員が足りていると判断したとすれば、大きな過誤があると考えるがどうか。
六 国内外を問わず、大規模災害や火災、テロなどの際、死体が少ない場合はCT等の画像検査の活用や解剖などを含む検査により正確な死因診断をすべきであると思われるし、死体が多い場合は死因の把握と同時に法医学者・法歯学者による検案、DNA鑑定、歯科検査等による身元推定及び確認が必要である。政府は、平時より法医学会や法歯学者と連携し、定期的な会議を持つなどして緊急時に備える努力をすべきと考えるがどうか。

 右質問する。



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