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平成十七年五月二十日提出
質問第六四号

大牟田労災病院の再編等に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




大牟田労災病院の再編等に関する質問主意書


 大牟田労災病院は、一九六三年に戦後最悪の三池炭鉱炭塵爆発事故が発生し、死者四五八名、一酸化炭素中毒患者が八三九名という大惨事となり、この事故を契機として設立された病院である。
 同病院は、一酸化炭素中毒の患者の医療と療養のために大きな役割を果たしてきている。四一年間を経た現在も、当時の患者三〇名が入院されており、二〇〇名以上の方が一酸化炭素中毒の後遺症のために苦しまれているが、患者とその家族の苦悩は筆舌に尽くしがたいものと考える。
 同病院について、医師や医療の専門家は、患者や家族が安心して治療を継続できることを保障するだけでなく、施設や機能の充実によって一層範囲の広い疾患にも対応できる必要性と地域医療にも貢献できるようにすべきであるとの提言をしている。
 厚生労働省は、二〇〇四年三月の「労災病院の再編計画」で、「大牟田労災病院を平成一七年度に廃止の対象とする」ことを公表した。
 一酸化炭素中毒の患者、家族の皆さん、病院の労組をはじめ市民の多くの方々が、同病院の廃止計画に強い反対の意思を表明している。
 大牟田労災病院の廃止計画を見直して、存続すべきであるとの立場から以下の事項について質問する。

一 大牟田労災病院を廃止の対象とした理由について、診療・研究機能が相対的に低いこと、大幅な累積赤字で経営基盤が脆弱であるとしている。
 同病院は、炭鉱災害による一酸化炭素中毒患者の医療、療養にもっぱら関わってきた、歴史性と特殊性を持っている。
 一酸化炭素中毒患者が八三九名発生し、重症患者は、現在四〇名、中等度の患者は二〇〇名、この他約六〇〇名は、すでにお亡くなりになったという悲惨な状況にある。
 この歴史性、特殊性を無視して、経営基盤が脆弱などという理由で廃止の対象にしていいのか。
 しかも、診療・研究機能が低いというが、政府自らが、専門医やスタッフを減員させるなど、機能低下の政策をとってきたのではないのか。
二 三池炭鉱災害が発生した直後に、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(以下「措置法」という。)が制定されており、この制定過程では、政府は「医療から社会復帰まで十全の処置をとる」、「業務上労働不能になった人を一生、療養をみていく、そして家族も食えるという姿の実質的な補償を考えていく」と答弁している。
 しかも、措置法第一一条は「政府は、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症にかかった被災労働者のためのリハビリテーション施設の整備に努めなければならない」と規定している。
 政府は、一酸化炭素中毒患者さんが、安心して最後まで治療が受けられるために万全の措置を講ずるという責務を負っているのではないのか。
 さらに、措置法の目的及び第一一条の規定に照らしても、同病院を廃止の対象にするというのは、法に反するのではないのか。
三 大牟田労災病院に入院されている一酸化炭素中毒症の患者は、かなり重症で困難な問題を抱えておられる。そのための治療については、相当の専門医でないと難しいということである。同病院の廃止の計画が出され、患者や家族の方々は大変な不安を抱いている。廃止をして、患者の医療と療養をどのように保障していくのか、同様の診療体制があるのか。
四 大牟田労災病院の一酸化炭素中毒症の患者さんの症状について、患者の治療に関わった三池一酸化炭素中毒検診医師団は、一酸化炭素中毒を主因とする高次脳機能障害と診断しているが、政府はどのように判断しているのか。
五 炭鉱災害後より、今日まで一酸化炭素中毒の患者の治療、検診を行ってきた医師団は、医療、療養の医学的知見を後世に引継ぎ、一酸化炭素中毒症の主症状である高次脳機能障害への専門的な取り組みの必要性を指摘している。
 一酸化炭素中毒の患者さんは、高次脳機能障害に悩まされてきたが、障害の治療とリハビリテーションを継続するためにも、大牟田労災病院の廃止ということではなく、同病院の機能を継承した療養病棟と一般病棟を併せもつ「高次脳機能障害リハビリテーションセンター」として医療体制を整えて、一般にも開放することは大切と考えるが、見解はどうか。
六 大牟田労災病院は、一酸化炭素中毒の患者の主症状である高次脳機能障害の医療、療養をはじめ、高血圧、糖尿病、脳血管疾患、心疾患等の治療、リハビリテーション、職場復帰に至る一貫した高度・専門的な医療を行ってきた。炭鉱災害当時、高次脳機能障害はほとんど認知されず、最近になって社会問題となり、その障害を有する方々への対応が社会的に要請されている。
 大牟田労災病院の果たしている役割を基本的に維持しつつ、診療・研究機能の拡充によって、こうした疾患による高次脳機能障害に対応できる方向で検討すべきではないのか。

 右質問する。



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