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平成十七年六月十日提出
質問第八〇号

旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問主意書

提出者  金田誠一




旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問主意書


 一九八九年七月、厚生省(当時)の戸山研究庁舎(新宿区)の建設現場から多数の人骨が発見された。同現場は、旧陸軍軍医学校の跡地であり、旧満州第七三一部隊(関東軍防疫給水部)と関係の深い防疫研究室が存在していた場所である。
 この人骨について厚生労働省は、土地の管理者としての立場から人骨の由来についての調査を実施し、二〇〇一年六月には調査結果を公表するとともに、今後の対応について明らかにしている。
 公表された「調査結果の要約」によれば、人骨は「昭和二〇年八月以前の旧陸軍軍医学校にあった標本類又は標本作成用あるいは医学教育用に集められた死体の一部である」と推測され、「その中には戦場から集められた戦死者等から作成されていたものが含まれていた可能性がある。」とされている。
 その上で、「今後の対応」としては、「国が処分した人体標本に由来すると推測されることを踏まえれば、国が埋葬及びそれまでの間の保管に当たるべきであると考えられる」として、現在、人骨は現場近くに厚生労働省が設けた保管施設に、「弔意を示しながら」保管されている。
 この人骨に対し、戦時中に日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第七三一部隊に送致された人々の肉親から、身内の死体の一部ではないかとの疑いがもたれ、日本国政府に対し、身元確認調査と身内との本人確認を求める申告が相次いでいる。
 ハルビン市在住の敬蘭芝氏は、夫、朱之盈氏の特徴を記し、一九九一年六月一一日付の申立書を同年七月一八日に外務省に提出した。
 錦州市在住の張可偉氏は弟の張可達氏とともに、父、張恵中氏の写真を同封し、一九九一年六月一八日付の申立書を同年七月一八日に外務省に提出した。
 瀋陽市在住の王亦兵氏は、父、王耀軒氏と従兄の王東昇(王学年)氏との確認調査を求める一九九八年三月一九日付の申立書を同年七月一四日に厚生省に提出した。更に同氏は、二人の写真を同封し、二〇〇四年一〇月二三日付の申立書を同年一二月一五日に内閣府、外務省と厚生労働省に提出した。
 大慶市在住の朱玉芬氏は、父、朱雲(注)氏と叔父、朱雲岫氏との確認調査を求め、東安憲兵隊資料を添付し、二〇〇五年三月一四日付の申立書を同日、厚生労働省に提出した。
 しかしながら、以上の申立書に対して日本政府は、今日に至るまでいずれも無回答のままと承知している。
 ついては、次の事項について質問する。

一 日本国政府は、戦時中の中国において日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第七三一部隊に送致された人々の肉親による申立てに対し、誠意を持って真摯に受け止めるべきと考えるが、政府の所見を示されたい。
二 現在、厚生労働省が設けた保管施設に保管されている人骨についての身元確認調査等を求める申立書に対する回答は、どの省庁が所管するのか明らかにされたい。

 右質問する。



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