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平成十八年二月一日提出
質問第三三号

戦後に伴う諸問題に関する質問主意書

提出者  末松義規




戦後に伴う諸問題に関する質問主意書


 第二次世界大戦をどのようにとらえるかという問題は、現代を生きる我々の精神構造に大きく影響するものであり、また、第二次世界大戦に起因する諸問題への対応は、我々の生き方を投影したものということができる。そのような中、戦後に政府が講じた様々な施策について種々の不平等や不都合な点を見つけることができる。
 したがって、次の事項について質問する。

一 総論
 政府は、先の戦争の文脈で「遺族」という言葉を使う場合(例:「衆議院議員野田佳彦君提出「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書(平成十七年十月二十五日内閣衆質一六三第二一号)」の一の6について)、いかなる者を指しているのか(「個別具体的な文脈に応じて意味が異なる」といった内容の答弁は控えられたい。)。
二 日本遺族会
 日本遺族会は、「財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律」に基づき、国有財産たる土地及び建物の貸付を受けた上で、九段会館を経営していると承知している。
 @ 同貸付の期限はいつまでか。
 A (仮に本貸付が期限を定めないものであると仮定する場合、)国有財産をそのようなかたちで無期限、無償で貸し付けている例が他にあるか。
 B 「財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律」第二条は、貸与された建物及び土地は基本的に遺族の福祉に資する目的で使用されることが想定されている。しかし、現在、九段会館では、主として一般国民を対象としているものと思われるレストラン、ホテル、結婚式場等が運営されている。これらの施設の存在は同法第二条のいずれの規定で許容されるのか。また、同法との関係で、九段会館の有する諸施設の従業員の中に、同法で規定する「遺族」はどの程度いるのか。更には、これらの施設を、同法で規定する「遺族」が利用するのは利用者全体に比して何パーセントか(記録がない場合、概算でも差し支えないのでどの程度「遺族」が利用しているのかを明示願いたい。)。
 C 同法では、「遺族」とは「もとの軍人軍属で公務により死亡した者の遺族」を指すものとされている。ここでいう「遺族」とはどのような範囲の者を指すのか。一で回答のあった「遺族」とは乖離があるのか。更に、九段会館は、同法で規定する「遺族」以外の者は対象としていない施設ということを意味するのか。
 D 政府から日本遺族会にはどのような補助金が出ているのか、個別具体的に説明願いたい。また、それらの補助金を同会に支出する根拠如何。
 E 日本遺族会が運営する昭和館はその目的が「戦没者遺族等が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世に伝える施設」とされているが、同様の目的を有する施設に政府が補助金を支出している例が他にあるか。また、昭和館を実際に訪問したところ、その展示物は多くの戦没者遺族に限定されることなく、当時の国民一般が経験した生活に関するものであった。このような性質の展示等は、本来、特定の者を対象とする団体に国が補助金を出すかたちではなく、国が直接行うべきものであると考えるが政府の見解如何。
三 恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法に基づく給付等、戦傷病者及び戦没者並びにその遺族を対象とした各種給付(なお、以下においては「用語が不明確」といった理由で回答を控えることなく、文脈から理解できる範囲で最大限の回答をお願いしたい。)
 @ これらの給付(前記に具体的に示した三つの措置以外にも戦傷病者及び戦没者並びにその遺族を対象とした給付がある場合、それらを含む。以下同じ。)の対象となる者はそれぞれどのような者か。具体的に提示願いたい。
 A これらの給付について、それぞれ全体の平均給付額を提示されたい。また、これらの給付の対象とならない一般の国民が通常受給する基礎年金の平均給付額も併せ提示されたい。また、一般的に、これらの給付の対象となる者が政府から受ける諸給付と、これらの給付の対象でない同世代の一般の国民が政府から受ける諸給付を比較した場合、前者が政府から受ける給付の額の方が高いという理解で差し支えないか。一般論として回答が困難な場合、以下の例において給付の大まかな水準を比較されたい(下記の例が十分に具体的でない、現実に存在しない、又は既に該当し得る者が死亡している等の理由で回答を控えることは避け、概数で差し支えないので具体的な数字を回答されたい。)。
 (ア) 軍人として十五年勤務し、終戦時の階級が大将だった者で、現在九十歳の男性が受ける普通恩給(その他の各種恩給は受けないものとする。)
 (イ) 軍人として十五年勤務し、終戦時の階級が二等兵だった者で、現在九十歳の男性が受ける普通恩給(その他の各種恩給は受けないものとする。)
 (ウ) 軍属として十五年勤務した者で、現在九十歳の男性が受ける諸給付
 (エ) 軍人、軍属でなく、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法等、戦傷病者及び戦没者遺族への各種給付の対象とならない平均的な九十歳の男性が受ける基礎年金
 B これらの給付の受給者となるための要件は何か。特に、(基礎年金のように)制度への加入等に伴う何らかの納付が受給のために必要か否かという視点から、それぞれ具体的に示されたい。(制度への加入等に伴う何らかの納付が受給の要件とならないものがある場合、)政府から何らかの金銭を受給するために納付を行っていない者が、納付を行った者(空襲で亡くなった民間人の遺族が受給される年金が念頭にある。)よりも多い、又は同水準の給付を受けることができることは平等とは言えないのではないか(なお、回答に際しては「恩給、援護法等と年金は制度設計が違うので一概に比較できない。」といった回答は避け、大所高所の観点から政治的な判断を伺いたい。)。更には、政府側からは恩給制度は旧憲法下での軍人恩給制度を事実上引き継いだため、軍人等を優遇する(不平等な)制度が残存しているとの説明を受けているが、現在の恩給法は新憲法下で制定されたものであり、そもそも旧憲法下での軍人恩給を引き継いだこと自体、正当性を有さないのではないか(仮に戦前と戦後の恩給制度のあり方に大きな差異が認められる場合、当該差異について説明されたい。)。
 C 恩給、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法等、戦傷病者及び戦没者遺族への各種給付措置については、対象者の戦前、戦中の肩書き等によって給付額に差があるか。ある場合、その根拠及び額の算定根拠はどのようなものか。
 D 政府は、これらの給付の対象者及び原子爆弾被爆者に対する援護の対象となっている者以外の戦傷病者及び戦没者並びにその遺族は、政府による戦傷病者及び戦没者遺族への各種給付措置の対象でないと理解して差し支えないか(回答は肯定、否定のいずれかで簡潔に述べられたい。)。また、それらの者は、第二次世界大戦中に被った被害、損害等に対して何らかの給付を政府から受けることができるか。
 E 恩給について、過去には受給者の数が減っているにもかかわらず受給額が増加している時期がある(昭和四十四年頃から昭和五十八年頃まで)。このような現象の背景にはどのようなことがあるのか。

 右質問する。



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