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平成十八年六月一日提出
質問第二九六号

不妊治療の保険適用に関する再質問主意書

提出者  野田聖子




不妊治療の保険適用に関する再質問主意書


 平成十八年四月十二日提出の質問第二二三号「不妊治療の保険適用に関する質問主意書」(提出者・野田聖子)に対する答弁書(平成十八年四月二十一日受領)には、以下の言及がある。「我が国の医療保険制度においては、疾病等に対する有効性、安全性等が確立した治療を保険適用の対象としているところであり、不妊治療のうち、ホルモンの異常並びに子宮及び卵管の機能障害等の身体の異常に対する治療については、治療と疾病との関係が明らかであり、治療の有効性、安全性等が確立していることから、保険適用の対象としている」。
 右答弁書内容をふまえ、以下質問する。

一 昭和三十七年九月二十五日当時の厚生省通知(保険発九四)は、「従来、保険診療の対象外として取り扱われてきた、半陰陽、類宦官症、不妊症、月経異常であって、保険医において治療の必要があると認められたものは、身体的苦痛の有無にかかわらず、今後療養の給付の対象とする」としている。この通知書と当該答弁書では保険適用の条件に変更があったと考えてよいか。
二 昭和三十七年と現在において保険適用の条件に特段の変更がない場合、現在の不妊治療の技術水準に照らして、保険医が体外受精等を最適な治療法、もしくは唯一の治療法であると認定しても、保険適用の対象とならない理由は何か。
三 女性側の不妊原因のなかでもっとも高頻度を占めるのは卵管性不妊である。卵管性不妊の治療として現在成功率が高いのは卵管形成術であり、健康保険が適用されている。
 卵管形成術は、単に卵管の疎通性を回復するためではなく、卵管性不妊という疾病のための治療であり、最終的に生児を得るための治療であるという点で、治療と不妊症という疾病の関係は明らかだと認めていいのではないか。
四 卵管形成術には複数の術式があるが、何年もの経過観察の結果としての累積妊娠率は、たとえば開腹での卵管形成術については三十八.六%、腹腔鏡下の卵管形成術では二十三.六%とする報告がある(長田尚夫「卵管形成術の選択」、医学書院『臨床婦人科産科』五十六巻十号、平成十四年十月、pp.1235−1239)。卵管鏡下卵管形成術(FT)による妊娠率については、日本でその有数の権威である慶應義塾大学においてさえ三十%程度(治療後二年以内)であるが、FTは保険適用が認められた卵管形成術のなかで最も点数が高く、二三,八〇〇点(二十三万八千円)である。他方、新鮮胚(卵)を用いた体外受精治療成績は、採卵あたりの妊娠率が二十三.〇%、移植あたりの妊娠率が二十九.八%(日本産科婦人科学会「平成十六年度倫理委員会・登録・調査小委員会報告」)である。卵管形成術では治療の有効性が確立し、体外受精等の治療では有効性が確立していないと判断する具体的根拠は何か。
五 不妊治療現場においては、体外受精・胚移植の普及により、卵管性不妊に対し卵管形成術を行わなくても妊娠が成立するようになっている。専門医の研究によれば、卵管形成術、とくにFTの治療後二年以内に妊娠が成立しない場合、「その症例については積極的に体外受精を検討することも良策」と考えられている。このとき、専門医が体外受精に先行して卵管治療を優先的に行うのは、「体外受精が健康保険の適応となっていない」からだという(中林章・末岡浩・佐藤健二・田島博人・渡辺広是・吉村泰典「卵管疾患−卵管性不妊に対する腹腔鏡・卵管カテーテル治療の適応と限界」、金原出版『産婦人科の実際』五十三巻十一号、平成十六年、pp.1655−1661)。つまり、患者の治療費負担の側面から、保険適用のない体外受精等の治療法を医師も患者も積極的に選択できない現状がある。体外受精等に保険適用があれば、治療の選択肢としての優先順位は上昇し、一層の「治療の有効性や安全性等の確立」につながっていくとは考えられないか。

 右質問する。



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