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平成十九年十月九日提出質問第一〇二号
国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する第三回質問主意書
提出者 鈴木宗男
国連総会における「先住民族宣言」の採択に関する第三回質問主意書
「前回答弁書」(内閣衆質一六八第五三号)を踏まえ、再度質問する。
二 二〇〇七年十月三日の衆院本会議(以下、「本会議」という。)で、福田康夫首相が二〇〇七年九月十三日に国連総会の本会議で採択された先住民族の権利に関する国連宣言(以下、「先住民族宣言」という。)に触れ、「同宣言にいう先住民族であるかどうかについては、結論を下せる状況にない」旨述べたと承知するが、では右福田首相のいう「『先住民族宣言』にいう先住民族」とは、諸外国におけるどの民族を指すと政府は認識しているか。
三 北海道胆振管内白老町が二〇〇七年十月五日、アイヌ民族についての町行政の基本的な方向性を定めた「白老町アイヌ施策基本方針」を策定したと承知するが、右の内容を政府は承知しているか。
四 「白老町アイヌ施策基本方針」に対する政府の評価如何。
五 「本会議」において福田首相は、「アイヌの人々が固有の文化を発展させてきた民族であるということは認識している。」と述べ、また政府答弁書(内閣衆質一六四第一四二号、一九四号、二二〇号、二四一号)では、それぞれアイヌ民族が「民族」、「少数民族」、「原住民」に該当する旨政府は認めている。
また、一九九七年三月のいわゆる「二風谷ダム訴訟」では、札幌地裁は「我が国の統治が及ぶ前から北海道に居住し、民族の独自性を持っている」とし、アイヌ民族が我が国における先住民族である旨認めている。
また、三の「白老町アイヌ施策基本方針」の他にも、二〇〇七年十月五日に行われた北海道議会の定例会において、アイヌ民族の権利等に関わる審議機関の設置を国に要望する旨の意見書案が全会一致で可決される等、北海道においてもアイヌ民族の先住民族としての権利確立を求める動きが活発化している。政府は「先住民族」の国際的な定義がないことを理由に、アイヌ民族を先住民族として認定し、「先住民族宣言」で謳う権利の確立を図ることを拒否しているが、例えば国連内で@植民地支配を受けたA先祖伝来の土地や領土に住むB固有の言語を持っている等の要素を盛り込んだ定義が使われており、右の三つの要素全てがアイヌ民族に当てはまるものであると考える。
また、一九九二年十二月、社団法人北海道ウタリ協会の野村義一理事長(当時)が「世界の先住民の国際年開幕記念式典」において十八名の世界の先住民族の代表の一人として国連総会議場で記念スピーチを行ったこと、現在国連職員の先住民族に関する研修用視聴覚資料にもアイヌ民族の映像が載せられていること、国際人権規約の社会権規約や自由権規約、人種差別撤廃条約の各々の条約審査委員会では、アイヌ民族を先住民族であるとの前提でその権利の促進を日本政府に勧告していることなどから、国際社会においてアイヌ民族が先住民族であることは広範に認められていると承知する。
このような国内外におけるアイヌ民族が先住民族であるとの認識及び一の政府の見解を踏まえ、政府としてアイヌ民族を先住民族であると認め、アイヌ民族の先住民族としての権利を確立すべきであると思料するが、政府の見解如何。
右質問する。