衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十月二十五日提出
質問第一五〇号

金大中事件での我が国への主権侵害に対する政府の対応に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




金大中事件での我が国への主権侵害に対する政府の対応に関する質問主意書


 一九七三年八月に起きた、当時の朴正熙韓国大統領の独裁を批判し、民主化運動をしていた金大中氏が東京都内のホテルで拉致され、五日後にソウルの自宅近くで解放されるという事件(以下、「金大中事件」という。)について、二〇〇七年十月二十四日、韓国の国家情報院の真実究明委員会は、当時の情報機関である中央情報部(KCIA)の組織的な事件への関与を認める報告書(以下、「報告書」という。)を発表した。右を踏まえ、以下質問する。

一 「報告書」では、「金大中事件」は李厚洛KCIA部長の指示の下、同部長を含めたKCIA要員二十四人に駐日公使らを加えた計二十七人が参加した組織的犯行であると断定し、「金大中事件」への韓国政府機関の関与を明言している。また、KCIAという韓国の公権力が日本国内で拉致行為を行ったことについて、真実究明委員会として深い遺憾の意を表明しており、韓国による我が国の主権侵害を明らかにしているが、「報告書」に対する政府の評価如何。
二 木村仁外務副大臣は「報告書」が発表された日の午前、韓国の柳明桓駐日大使を呼び、「金大中事件」について「韓国当局による日本国内での公権力行使であり、日本としてはとても遺憾だ」と抗議したと報じられている。一方で、福田康夫内閣総理大臣は同日夕方、首相官邸で記者団の質問に対し、「日本に対する侵害で、誠に遺憾だ」と述べたと報じられているが、木村外務副大臣及び外務省が認識している「遺憾」の意味と、福田総理が認識している「遺憾」の意味に違いはあるか。
三 一般に、遺憾という言葉は「思い通りにいかず心残りなこと。残念。気の毒。」(岩波書店「広辞苑」第五版より)の意味を表すと承知する。先般、ミャンマー軍兵士に日本人ジャーナリストの長井健司氏が殺害された時も、福田総理は所信表明演説において遺憾という表現を用い、また二〇〇七年十月九日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六八第六九号)では、「御指摘の福田内閣総理大臣の所信表明演説は、ミャンマーにおけるデモに対し実力行使が行われる中で、我が国国民の尊い命が失われたことにつき、極めて残念であり、これを看過することはできないとの考えを表現したものであると認識しており、福田内閣総理大臣が述べた『遺憾』との表現について政府として不適当であるとは認識していない。」との答弁がなされている。今回「報告書」によって、「金大中事件」での韓国政府による我が国への主権侵害が改めて明らかになったが、二の木村外務副大臣と福田首相が述べた「遺憾」の意味が、右の答弁と同様に「極めて残念であり、これを看過することはできないとの考えを表現したもの」であるのならば、我が国への主権侵害に抗議する言葉としてはあまりに軽く、我が国の抗議の意を表明するには弱すぎると思料するが、政府の見解如何。
四 「報告書」を受けて、町村信孝官房長官が「(日本政府が)遺憾の意を明確に表明したのだから、韓国政府からしかるべき対応があるものと思う」と述べた(以下、「町村発言」という。)と報じられているが、現在政府として韓国政府へ正式に謝罪を求めているのか。「町村発言」は、我が国からは謝罪を求めず、あくまで韓国政府からの自発的な謝罪を待つという考えか。
五 「報告書」を受け、韓国青瓦台の報道官は「過去にこのような事があったのは不幸なことで遺憾である。権力機関自らが恥ずべき過去を客観的に調査する意味は大きい」旨述べた一方で、主権を侵害した我が国への謝罪については触れなかったと報じられている。四で、現在政府が韓国政府へ正式に謝罪を求めていないのならば、「遺憾」という表現を用いるのではなく、また「町村発言」のような悠長な態度で臨むのではなく、より毅然とした態度で韓国政府に厳重な抗議を行い、我が国の立場を正式に伝えるべきであると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.