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平成十九年十月二十九日提出
質問第一六六号

第\因子製剤に関する質問主意書

提出者  山井和則




第\因子製剤に関する質問主意書


 薬害肝炎訴訟について、名古屋地方裁判所が平成十九年七月三十一日に言い渡した判決では、第\因子製剤(ミドリ十字製クリスマシン及び日本製薬製PPSB−ニチヤク)について、昭和五十一年以後における国と企業の法的責任(肝炎の危険性に関する警告義務違反)を認定した。
 そこで、以下質問する。

一 昭和四十七年当時、米国内で販売されていた同コーナインには、使用上の注意として「血清肝炎ウイルスによる汚染の程度は分かっていない。現在までのところ肝炎ウイルスの存在の有無を証明する信頼すべき試験方法が存在しない。したがってウイルスの存在はあるものと見るべきで、本品を投与する際は本品投与により予期される治療効果と、本品によるウイルス感染の危険性とを衡量し、十分考慮した上で使用しなければならない。」と記載されていたところ、同年に国が第\因子製剤の輸入・製造を承認した際、国内における使用上の注意を、「本剤の投与により、血清肝炎が起こることがある。」と米国内におけるそれよりも簡略な内容とした。
 国が、使用上の注意の内容をあえてこのように簡略な記載に変更することを承認した際の、厚生省の実務担当者は誰か。また、簡略な記載に変更した理由は何か。
二 日本製薬は、昭和四十七年にPPSB−ニチヤクの製造承認を受けた当時、血清肝炎罹患のおそれを防止するために、三人分以下の血漿を原料としており、こうした処置については「血清肝炎ワイラス(注:ウイルスのこと)を保持する供血者の完全な検査法が確立するまでとする」と国に説明していたところ、国は、昭和四十八年八月二十九日、PPSB−ニチヤクを五〇人分以上の血漿を原料として製造する一部変更を承認した。
 この一部変更承認の際、国は、血清肝炎ウイルスを保持する「供血者の完全な検査法が確立」したと判断したのか否か。そのように判断したのであれば、その検査法の具体的中身について明らかにせよ。また、判断しなかったのであれば、そうであるにもかかわらず、かかる一部変更承認を許容した理由について、明らかにせよ。
三 前記訴訟に提出された書証(丙A二五二)によると、旧ミドリ十字は、昭和五十三年七月に、社内でクリスマシンによる肝炎発生対策会議を開催し、紫外線照射・BPL添加による不活化工程の追加を検討しながら、結果としてこれを見送った上、警告を追加せずに、従来通りの製品の販売を継続した。
 国がこれらの事実を認識したのはいつか。そして、実際にこの事実を認識した厚生省の担当者は誰か。また、認識した際に、不活化工程及び警告の追加を行うことを不要と判断した理由について、旧ミドリ十字に対して報告を求めたか。求めたのであれば旧ミドリ十字からいかなる回答があったか。求めなかったのであれば、その理由は何か。
四 国が、昭和四十九年に、フィブリノゲン製剤の添付文書の記載変更指導を通じて、旧ミドリ十字がフィブリノゲン製剤に対しBPLによる不活化処理を実施していることを認識するに至った際、実際にこの事実を認識した当時の厚生省の担当者は誰か。また、その際、同様の製法で製造される第\因子製剤につき、その不活化処理の実情(BPLによる不活化処理の有無やその実施可能性、乾燥・液状加熱処理等他の不活化方法の検討状況など)の調査・報告を要請したか。要請したのであれば、その概要と結果について明らかにせよ。また、要請しなかったのであれば、その理由は何か。
五 厚生労働省による平成十三年度厚生科学特別研究事業「非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における肝炎ウイルス感染に関する調査研究」は、非加熱血液凝固因子製剤の使用が確認され、かつHCV(C型肝炎ウイルス)遺伝子検査が陽性である非血友病患者が一〇八名存在することを確認している。この一〇八名の患者の中に、クリスマシン・PPSB−ニチヤクによる感染者は、それぞれ何名含まれていたか。また、これら患者の現在における病状(慢性肝炎、肝硬変、肝ガン、死亡の各実数)及び療養状況を把握しているか。把握しているのであれば、その具体的内容について明らかにせよ。
六 クリスマシンを製造したミドリ十字の内藤良一元社長は、自著「老SLの騒音」(昭和五十五年ミドリ十字発行)において、昭和三十九年に同社(当時は日本ブラッドバンク社)が血液銀行業務から撤退する際に、「我々に対して厚意のあった厚生省の課長や、献血事業団の山口専務理事から、声静かに、保存血から手を引きなさい、そすれうば(原文ママ)血漿分画製剤の事業は生き残れる−という忠告がありました」(P三三四)と述べているが、こうした「忠告」を行った事実はあるか。また、この「厚生省の課長」は誰か。

 右質問する。



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