衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十一月二十一日提出
質問第二五二号

健康食品に関する質問主意書

提出者  前田雄吉




健康食品に関する質問主意書


一 健康食品を包括的に取り扱う法制度がないことについて
 健康食品を包括的に取り扱う法律や制度は、米国、EU、韓国、中国などでは既に施行され運用されており、またASEAN諸国(一〇カ国程度)でも、健康食品に関する法制度の整備を二〇一〇年に施行するべく進めている。このように諸外国では、国際的に協調しながら、健康食品を定義付けし、有効性表示と安全性を確保し、消費者のニーズに応えるためにも、健康食品に関する法整備を行うことが国際常識ともなりつつある。しかし、数兆円ともいわれている健康食品市場が現存している日本には未だそのような制度は存在していない。
 健康食品は「いわゆる健康食品」として一般食品に位置づけられており、薬事法、食品衛生法、健康増進法、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、景品表示法などいくつかの法制度の下で複雑に規制されている。これらの規制によって健康食品は一般食品として扱われており、有用性に関する表示や具体的な用法用量に関する表示は禁止されているため、消費者にとって分かりにくい表示になっているのが現状である。健康食品に関して、消費者に提供できる情報が制限されているため、消費者は限られた情報をもとに製品を購入し摂取せざるを得ず、また結果として消費者の誤用などを招く恐れもある。
 健康食品には、健康の維持・増進のみならず疾病の予防にも有用なものがあり、これらを国民の健康に役立たせ、また予防医学の観点からも、一般食品と切り離して独自の法制度を策定し、健康の維持増進効果や疾病リスク低減効果、用法用量に関する情報を提供できる法制度なりシステムを構築すべきと考えるが、以上のような問題意識を踏まえ、厚生労働省はいわゆる健康食品に対してどのように考えるのか。
二 新規食品素材のルールが存在しない理由について
 食品添加物には、既存の厳密な認可制度・ルールがあるが、日本には、米国・EUにあるような新規の食品素材に関する法制度やルールが無く、輸入・販売する際には、使用目的が限定される食品添加物として申請するような指導がなされている現実があると聞く。しかし一方では、特定保健用食品としての範囲でその食品素材としての使用が認められているという矛盾がある。新規の食品素材について、明確な基準・ルールや申請・認可のシステムがないため、欧米で素材として認められているものも、現状では、一部の特定保健用食品枠を除きそれを認可して輸入・販売することはできない。
 また、使用認可を申請した場合には、本来の食品素材の目的性とは異なり、便宜的に食品添加物扱いとしてのみ認められる場合がある。
 つまり、新規食品素材についての制度がないということは、諸外国と通商する上での整合性がとれないばかりか、事業者の機会均等の観点、さらには消費者の食に対する安全性の観点からその合理性に問題があると考えるが、厚生労働省としては新規食品素材の認可についていかに考え、今後どのように改善していくのか。
三 食薬区分に載っていない食品素材の照会手続きが煩雑であることについて
 日本で一般的に流通していない食品素材の場合、海外では既に食品として流通しているものであっても、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に載っていない素材は、厚生労働省に医薬品に該当しないか否かを照会しなければならない。照会に際しての資料添付等で、企業に多大な負担であるのと同時に、さらには厚生労働省の審査にも時間が掛かるため、食品素材を迅速に導入することが出来ない現状にある。
 また、食薬区分で「医薬品と判断しない」とされている素材でも、水・エタノール以外の溶媒で抽出したものに関しては、改めて厚生労働省に医薬品に該当しないか否かを照会しなければならない。素材によっては、水・エタノール以外の有機溶媒で抽出した方が、夾雑物が除去されて、良質のものが得られるにもかかわらず、前記の照会に費用と時間がかかるため、直ちに使用できない現状がある。
 これらの実態は、諸外国からは一種の非関税障壁として捉えられかねない。食薬区分に載っていない原材料でも、食品として海外で十分な流通実績や食経験のある素材を効率的に認証するシステムを確立し、日本でも使用出来るようにするべきと考えるが、厚生労働省はどう考え、また手続きを改善する意思があるのか。もし、ないとすれば、国際的な共同歩調の観点で合理性のある理由を聞きたい。
四 一部、特定保健用食品の範囲でのみ新規食品素材が認められている理由について
 油脂食品等に使用する場合にその溶解性や安定性を高めるためのエステル化された種子油由来の植物ステロールおよび針葉樹から生成されるトール油から抽出される植物ステロール、植物スタノール、またはそれらのエステル化されたものは、新規食品素材として、特定保健用食品の関与成分として一部使用が許可されている。しかし、現在、これら新規食品素材が一般食品素材として使用が可能なのかどうか、これまで厚生労働省の公式見解が出ていない。このことについて、何故公式見解が出されていないのか。
 (参考:ここでいうこれらの食品素材は、米国、EUにおいては、すでに食材としての安全性が認められており、体内のコレステロールを低減させる働きがあるとの表示が認められ、食品素材として現在各市場で広く流通している。)
五 栄養素の食品添加物扱いの不合理性について
 欧米では一般的に栄養素であるビタミン類は食品扱いとなっているが、日本では食品添加物扱いとなっている。これは何故か。国際標準の観点から、食品添加物扱いとするには、その合理性に疑問を感じるが、厚生労働省としてどう考えるのか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.