衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十一月二十二日提出
質問第二五八号

米軍再編に伴う岩国基地騒音問題に関する質問主意書

提出者  平岡秀夫




米軍再編に伴う岩国基地騒音問題に関する質問主意書


 米軍再編に伴う岩国基地の騒音問題に関し、次の事項について質問する。

1 用語の意味および定義について
 次の用語の意味を説明されたい。
 (1) 空母着艦資格取得訓練(CQ)
 (2) 陸上基地で行う昼夜の着艦訓練(FCLP)
 (3) 基地の上空を旋回しながらの滑走路でタッチ・アンド・ゴウを繰り返す着艦訓練
 (4) ジェット機の夜間離着陸訓練(NLP)
 (5) ジェット機の夜間離着陸訓練(NLP)の時間帯
 (6) NLP施設
 (7) C(チャーリー)海域・R六一一六空域
 (8) L(リマ)海域・空域
 (9) 再編後のWECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)コンター図でいう第一種区域、第二種区域、第三種区域
2 岩国基地滑走路の沖合い移設について
 (1) 移設は市街地の安全と騒音軽減が目的で、航空機騒音に係る環境基準(環境庁告示)を達成するために計画されたのではないのか。
 (2) 岩国飛行場に係る航空機騒音予測コンターについて(平成十八年七月防衛施設庁)の「@再編後のWECPNLコンターとB環境アセス調査のWECPNLコンターの比較」なるものがあるが再編後の環境アセスは実施したのか。ここでいう環境アセスが再編後のものとなると何時どのように実施したのか、その結果と共に示されたい。
 (3) 市街地の騒音はアセス調査より、再編後の方が大きいが、環境アセスの結果は、守るべき最低条件ではないのか。これを超えることは許されないのではないか。
 (4) 環境アセス調査のWECPNLコンター曲線の根拠となったアセス調査データの環境基準に示す数式のdb(A)の値やN値を構成するN1、N2、N3、N4の値を明らかにせよ。
 (5) 岩国基地滑走路の沖合い移設は工場上空の飛行を解消し、工場地域への飛行機事故の防止と騒音軽減のためだったはずであるが、この件に関し、国会では、どのように説明が行われたのか。
 (6) 米軍再編では、岩国基地は戦闘機および軍人の増加による機能強化の内容になっているが、この件に関し、国会では、どのように説明が行われたのか。
3 岩国基地での夜間離着陸訓練(NLP)について
 (1) 安倍前首相は、二〇〇六年十二月二十日中国新聞のインタビュー記事で、「NLP施設を岩国に設置しない。」と発言しているが、NLPはしないということで良いか。
 (2) NLPについて旧広島防衛施設局は、住民説明会において地区毎に違った発言をしている。例えば、東地区住民説明会では低騒音機は実施するが、ジェット機は実施しない。ある地区ではNLPを実施する、と言っており食い違いがある。前号の安倍前首相発言とも矛盾している。NLPを実施するのかしないのか、低騒音機のみ実施するのか、あるいはジェット機も実施するのか。
 (3) 前号でNLPを岩国で実施すると回答した場合は、(1)の安倍前首相の発言は岩国市民の反対を抑えるための意図的な発言だったのか。だとしたら、一国の首相が国民を欺くような発言をした責任は重大である。これは、重大な問題だと思うが、政府の責任のとりかたを聞きたい。
 (4) 前(2)(3)号の関連で質問する。NLPはNLP施設がなくてもできるのか。
 (5) NLPとは午後何時から午前何時までの訓練をいうのか。
 (6) 鹿児島県沖の無人島にNLP専用滑走路を設置する件はどうなっているのか。
4 航空機騒音に係る環境基準(環境庁告示)について
 (1) 航空機騒音に係る環境基準(環境庁告示)は【環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく騒音に係る環境上の条件・・・以下省略】(以下、環境基準という。)によると環境基準は屋外での測定値が地域の類型Tで七〇WECPNL以下、地域の類型Uで七五WECPNL以下と決められている。
  また、達成期間が決められていて新設飛行場は直ちに、既設飛行場は第一種から第三種の区分ごとに達成期間が決められている。再編後はこの環境基準が守れるのか。
 (2) 岩国基地の移設滑走路は新設飛行場に該当するのではないか。
 (3) 前号の場合、住居等の防音対策ではなく屋外での環境基準の達成が義務化されているのではないか。
 (4) 岩国の市街地は概ね地域類型Uに指定されており七五WECPNL以下でなければならないが、再編後のWECPNLコンターによると川下地区の一部と東地区全域が七五WECPNLを超えている。環境基準は屋外で七五WECPNL以下が必須条件とされているが、達成方法を示されたい。
 (5) 新設飛行場の環境基準は直ちに達成することとされている。従って環境基準を達成していないと、艦載機の移駐は出来ないのではないか。
5 騒音について
 (1) 最高裁は、厚木基地騒音訴訟において、「騒音は違法である」との判決を下した。これと同じ状態を岩国に持ってくるのは違法ではないか。
 (2) 政府説明資料によると、航空機騒音に係る環境基準も達成出来ておらず、この状態は違法ではないか。
 (3) このまま艦載機を移転すると違法状態になると思われるが、首相や防衛相、および政府に厚木基地騒音訴訟の違法判決や環境基準を無視して岩国に艦載機を移転させる権限があるのか。
 (4)イ 安倍前首相は、滑走路の沖合い移設で移駐後も騒音は軽減すると発言している。また東地区住民説明会でも東地区は軽減すると説明されたが、本当に騒音は軽減されるのか。
  ロ 東地区住民説明会で「再編後のWECPNLコンターの飛行経路について担保されているか。」との質問に回答がなかった。再編後のWECPNLコンターの飛行経路は担保されるか。
  ハ 前号で担保がないとの回答の場合に質問する。
  飛行経路が担保されないとすれば再編後のWECPNLコンターに根拠がなくなるが、なぜ根拠のないコンターで説明するのか。
  ニ 再編後のWECPNLコンターと現状のWECPNLコンターとの比較(増減部分)と第一種区域の減少(一、六〇〇ha→五〇〇ha)資料は防音工事対象区域の増減を示すもので、確かに防音工事対象区域面積は減っている。しかし、これらの資料を見ると騒音が大きくなり環境基準を超える地域があるにもかかわらずそのことには意図的に触れていないのではないか。
  ホ 東地区住民説明会で提示された各種コンターはB5サイズ程度に瀬戸内海海域から岩国市郊外の山地まで書き込まれているため、河川や国道はもとより街区も分らないものになっている。もっと大きな地図での提示と岩国市民への説明をするべきではないか。その際には騒音値を七〇WECPNLから九〇WECPNLの間を五WECPNL単位で示し、また環境基準で言う地域類型TとUの識別とWECPNL基準値を示し、更に再編前後の増減が一目で分るように工夫された各種コンターを示して、これらを岩国市住民に周知徹底できる方法で提示するべきではないか。
  ヘ 各種コンターは本当に正しいのか。移転後に測定すると言っているが、そのような安易な考えは受け入れられない。計算根拠となった時間区分ごとのピークレベルと飛行回数を決めて算出しているのだから、その算出根拠を厳守すればいい話ではないか。
 (5) 今までの質問を集約し、本当に騒音は軽減されるのか、環境基準は守れるのか、一部地域でも増加や環境基準を超えることはないと言えるのか。
 (6) 騒音の増加があると認めた場合、安倍前首相は、再編後も騒音は「軽減する」と言っているが、もしも反対意見を抑えるための意図的な発言だったとしたら、一国の首相が国民を欺くような発言をした責任は重大である。3(3)と同様に、この責任は重大であると考えるが、政府の責任のとりかたを聞きたい。
 (7) 艦載機移転の機数は五九機で機種は公表されているが機種毎の機数も公表すべきではないか。
 (8) 近い将来、通常空母が原子力空母に変った場合でも、艦載機移転の機数や機種の構成は変わらないか。
 (9) 艦載機移転の機数や機種の構成は未来永劫、現案と変わらないか。
 (10) 前(8)(9)号が変わると回答した場合について質問する。
  イ 機数や機種の構成が変わっても、現在説明されているコンター図の根拠となる環境基準に示す数式のdb(A)の値やN値を構成するN1、N2、N3、N4の値の何れも上回ることはないか。
  ロ 「イ」で上回ると回答した場合に質問する。
  コンターの根拠や騒音が軽減すると言った根拠がなくなるがどうなのか。
 (11) 住民説明会用の各種コンター図を作成するもとになったWECPNL算出根拠の環境基準に示す数式のN値を構成するN1、N2、N3、N4の値を全て公表すべきではないか。
 (12) 騒音値を示すdb値は六db増すごとに、騒音は二倍になるが、WECPNLの場合も六WECPNL増すごとに騒音は二倍になるとしていいか。
 (13)イ アメリカにおける米軍の飛行機騒音の環境基準は、日本の環境基準より厳しいと聞いている。また、生物の生息地域での飛行は禁止されているとも聞いている。従って、飛行訓練は人間も、生物も住まない砂漠地帯で実施しているとのことだが本当か。
  ロ アメリカの飛行機騒音環境基準の実態を、日本の環境基準と比較して説明されたい。また、アメリカの飛行機騒音環境基準を日本語に訳して説明されたい。
  ハ この話が本当だとすれば、米軍は日本国内の住宅密集地で大きな騒音を轟かせて自由に訓練しており、大きな違いがある。米軍にアメリカの法律を適用するとか、日本の環境基準をアメリカ並みに改定し、米軍に遵守義務を負わせる考えはないか。
6 現状の防音工事について
 (1) 現状の住宅防音工事は殆ど効果がない。桂町二丁目での事例でジェット機が飛ぶと、窓を締め切っていても開放していてもテレビ、電話、会話が聞こえないことには変わりがない。もっと効果的な防音対策が必要ではないか。
 (2) 住宅の防音工事の性能は八〇WECPNL以上の区域で二五db以上の遮音量、七五から八〇WECPNL未満の区域では二〇db以上の遮音量とするとなっているが、これなら室内で最大でも六五db以下、最小で五五db以下になる。しかし、現状はテレビも電話も会話も聞こえない状態なので八〇db程度はあると推測される。目的の性能が出ていないと思われるがどうか。
 (3) 防音工事で目的の遮音性能が出ないのは、仕様に問題があるからではないか。指定工法での遮音性能測定データを提示するべきではないか。
 (4) 施工済み住宅の防音工事の遮音性能点検を早急に行い、結果を公表し、結果次第では遮音性能を満足いくものにするための改良工事を早急に実施すべきだと思うがどうか。
 (5) 防音効果は部屋の密閉状態を前提にしているにもかかわらず、冷暖房器等にかかる電気代、修理費は個人負担でしかも老朽化による取替え費用は一割が自己負担と聞いている。これら諸費用は発生源者が負担すべきではないか。
 (6) 冷暖房器等が故障して取替える場合は、申請の受付後に予算化されるので、取替えは通常一〜二年先になるとの回答であった。冷暖房器等がないまま一〜二年も生活しなければならないとすれば対応が遅すぎないか。
 (7) 新築工事の段階から防音工事の補助が必要ではないか。
7 その他
 (1) 安倍前首相は住民の理解を得る努力をするとも発言していた。また、広島防衛施設局の住民説明会では数十ページにおよぶ資料は提供されたものの、その一部を説明するだけであり、住民の要望や質問で回答できないものは上層部に伝えると言っていたが、その後何ら音沙汰がない。政府と住民の双方が、ただ一方的に話すだけで住民の要望や質問に何らの回答もない、聞き置くだけの説明会で「説明責任が果たせた。」と言えるのか。
 (2) 岩国でFCLPは実施しないか。
 (3) 再編後のWECPNLコンターはNLPやFCLPを含んだ値なのか。そうだとしたら感覚的ではあるが、コンター図の値が低いように感じられるがどうか。
 (4) FCLPと基地の上空を旋回しながらの滑走路でタッチ・アンド・ゴウを繰り返す着艦訓練とは別の訓練か。
 (5) 以前は岩国の航空機騒音は今ほど大きくなかった。航空機の性能向上に伴い騒音が大きくなったのであって、今後も航空機の性能向上は止まらないと思うが、それでも再編後のWECPNLコンターのとおり未来永劫守られるか。
 (6) 政府説明の再編後のWECPNLコンターは滑走路上を飛行する経路で作成されているが、滑走路から西側の市街地側への飛行は一切ないと確約できるか。
 (7) 厚木基地からのCQは、これを終えて厚木基地へ帰還する時間が深夜になるそうだが、岩国基地からCQへの飛行はあるのか。岩国基地運用時間外の深夜帰還はないと言えるか。またCQ実施海域全てを明らかにされたい。
 (8) 日本政府はいつも米軍のNLPや低空飛行などの訓練に関するトラブルの多くを、「米軍の運用範囲内」と説明しており歯止めがかけられない状態である。今回の米軍再編に関しても政府説明に米軍から注文が付くことがままあり、政府説明が守られると鵜呑みにできないと岩国市民は思っているが、政府説明は厳守できると言えるか。
 (9) 日本国民の安心安全を米軍から守るため、騒音、安全、事件および事故に関する全てに日本の法律で対処できるよう見直しすべきではないか。
 (10) 米軍岩国海兵隊基地に対して、岩国市および岩国市民はこれまで多大な協力をしている。政府および米国は、この協力に対する評価と代償措置をどのように実施してきたのか。
8 今までの質問に関する回答全てに厳守すべき担保が付けられるか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.