質問本文情報
平成二十年一月三十一日提出質問第四一号
違法・有害サイト規制と電気通信事業法に関する質問主意書
提出者 高井美穂
違法・有害サイト規制と電気通信事業法に関する質問主意書
携帯電話、パソコンを使ってのインターネット違法・有害サイトにより子どもが犯罪に巻き込まれる事件が急増している。政府部内でも、教育再生会議が、有害情報から子どもを守るため「フィルタリング利用を義務付ける法的規制導入を進める」ことを報告書に盛り込むなど、法整備を求める声があがっている。
そこで、以下のとおり質問する。
二 内閣官房の「IT安心会議」は、違法・有害情報の実態把握や対処方法を検討する関係省庁の連絡会議と承知しているが、違法・有害情報が氾濫する現状に十分対応しているとはいえない。政府として、関係事業者などに対する法規制を含む違法・有害サイト対策について、どのように考えているか。
三 政府として、教育再生会議等が示している「フィルタリング利用を義務付ける法的規制」など立法措置をどのように、いつごろまでに進めようとしているか。現段階で法案提出の考えはあるのか。
四 第百六十八国会において改正された電気通信事業法第二十九条一項十二号では「電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生じるおそれがあるとき」は総務大臣が業務改善命令を出すことができる、と定められている。この条文における「適正かつ合理的でないため」「電気通信の健全な発達」「国民の利便の確保」との文言の定義は何か。
五 また、「適正かつ合理的でないため」「電気通信の健全な発達」「国民の利便の確保」をだれがどのように、どんな権限をもって判断するのか。
六 インターネット違法・有害サイトにより子どもが犯罪に巻き込まれる事件が急増している現状は、電気通信事業が「適正かつ合理的でないため」、「電気通信の健全な発達」および「国民の利便の確保」が大きく損なわれていると考えるが、政府はどのように考えるか。もし「電気通信の健全な発達」および「国民の利便の確保」が損なわれていない、というならその根拠を示されたい。
七 違法・有害サイトが子どもに自由に閲覧できるような状態を放置している電気通信事業者等に対しては、電気通信事業法第二十九条一項十二号に基づく改善命令を出すことができると考えるが、政府の考えと、その根拠となる法令等を明らかにされたい。
八 平成十九年に関西テレビ「発掘!あるある大辞典U」のデータ捏造が発覚した。この件では、総務大臣が電波法第八十一条の規定を使い、関西テレビに報告を求めている。同規定に関しては、「施設管理上の問題が適用対象として想定されたもので、番組の内容に関して報告を求めたのは適切ではない」との批判もあった。このケースを準用すれば、前述違法・有害サイトに関する改善命令も、総務大臣が必要と判断すればできると考えるが政府の考えを示されたい。
九 政府は、答弁書内閣参質一六八第一一〇号において、「憲法第二十一条による表現の自由の保障は、国による事後的な規制にも及ぶものであり、その規制の態様によっては同条に違反する可能性はあり得ると考える」と答弁しているが、これは、一概に同条に違反するものではないとの政府の見解を示したものか。
十 前述「同条に違反する可能性はあり得る」場合とは、どのような場合か。
十一 現在施行されている法令において、「同条に違反」しない事例があれば、示されたい。
十二 同答弁書で政府は、違法情報がインターネット上に掲示され、公衆の閲覧に供されていた場合に、プロバイダーやサイト開設者に対して削除等の公衆の閲覧を防止するための措置を講じる義務を課すことに対して、「御指摘のような義務を課すことが憲法第二十一条に違反するか否かについては、その目的や具体的な措置の内容等を総合的に勘案する必要があり、一概にお答えすることは困難である。」と答弁しているが、これは、必ずしも憲法違反とはならないとの政府の見解を示したものか。
十三 同答弁書で政府は、児童ポルノ法については「構成要件が不明確な犯罪を規定しているものではなく、憲法違反の法律では決してない」と答弁している。そうであるならば、例えば、児童ポルノは、「違法であるか違法でないかというふうな判断というものは、個別に行政が直接その情報について判断するということについては難しい」ことにはならないはずだ。平成十九年十二月十一日の衆議院青少年問題に関する特別委員会において、武内政府参考人は、インターネット上の違法情報そのものについて「違法であるか違法でないかというふうな判断というものは、個別に行政が直接その情報について判断するということについては難しい」と答弁している。武内参考人の答弁は、この答弁書と矛盾し、誤ったものではないか。
右質問する。