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平成二十年二月五日提出
質問第五三号

二〇〇一年のイルクーツク声明並びに歯舞群島・色丹島の引き渡しと国後島・択捉島の帰属問題を並行して交渉する「並行協議方式」に対する外務省の評価に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




二〇〇一年のイルクーツク声明並びに歯舞群島・色丹島の引き渡しと国後島・択捉島の帰属問題を並行して交渉する「並行協議方式」に対する外務省の評価に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一六九第二九号)を踏まえ、再質問する。

一 「前回答弁書」では、二〇〇一年三月のイルクーツクでの日ロ首脳会談で我が国が提案した、北方領土問題に関して歯舞群島・色丹島の引き渡しと国後島・択捉島の帰属問題を並行して交渉する並行協議方式(以下、「並行協議」という。)をロシア側が拒否した経緯につき、「平成十四年三月十三日の日露次官級協議において、ロシア側より、色丹島及び歯舞群島の引渡しの態様に関する議論と択捉島及び国後島の帰属の問題に関する議論を同時かつ並行的に進めていくとの考え方については、ロシア側により都合の悪いものであるとの方針が示された。」との答弁がなされているが、ロシア側がなぜ「並行協議」を「都合の悪いもの」として、それも我が国からの提案を受けて一年後になって拒否したのか、その理由を外務省はどう認識しているか。ロシア側が「並行協議」を拒否した背景に、日ロ双方の政治状況等、どの様な要因があったと外務省は考えているか。
二 二〇〇八年一月二十五日付の北海道新聞四面に、パノフ元駐日大使、現ロシア外交アカデミー学長のインタビュー記事(以下、「インタビュー」という。)が掲載されており、「インタビュー」の中でパノフ氏が、ロシア側が「並行協議」の受け入れを拒否した経緯について、「ロシアの拒否は、日本側が拒否したから。当時、小泉政権が『四島一括』の原則に姿勢を転換し、交渉基盤が崩れた」と、「並行協議」を断ったのはロシア側の都合によるという日本側の見解とは正反対の考えを述べていることについて、むしろパノフ氏の見解の方が正しいのではないのか、「並行協議」が日ロ間で交渉の遡上に乗らなかったのは、田中眞紀子元外相が就任当時「日ロ関係は田中・ブレジネフ会談が原点である」旨の発言(以下、「発言」という。)をしたこと、また小泉純一郎元首相が就任当時、あくまでも四島の一括返還、帰属の確認にこだわるとの認識を示していたことが原因ではないのかと前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」で「御指摘の考え方は、専らロシア側関係者の発言に依拠したものと考えるが、先の答弁書(平成二十年一月十一日内閣衆質一六八第三五七号)一から三までについてでお答えしたとおり、政府としては、御指摘のいずれの内閣総理大臣の在任中においても一貫して、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して、ロシア連邦との間で平和条約を締結するとの方針の下、ロシア連邦政府との間で交渉を行ってきており、その間かかる方針が変更されたとの事実はない。」との答弁がなされている。では、田中眞紀子氏が外務大臣の任に就いていた時、「発言」を行ったという事実はないのか。小泉純一郎元首相が、右答弁でいう様な柔軟な対応ではなく、あくまで四島の一括返還、帰属の確認にこだわったという事実はないのか。
三 昨年十二月二十一日に行われた、ロシアのサンクトペテルブルグでの森喜朗元首相とロシアのプーチン大統領との会談(以下、「会談」という。)で、北方領土問題について森元首相からイルクーツク声明を基礎に「並行協議」で交渉を行うことの提案がなされたことにつき、「前回答弁書」では「御指摘の会談において森喜朗元内閣総理大臣がプーチン・ロシア連邦大統領に対し、色丹島及び歯舞群島の引渡しの態様に関する議論と択捉島及び国後島の帰属の問題に関する議論を同時かつ並行的に進めていくとの考え方を提案したとの事実はないと承知している。」との答弁がなされ、「会談」において森元首相から「並行協議」の提案はなされていないとの見解が示されている。しかし、ロシアのラブロフ外相は本年一月二十三日の記者会見(以下、「記者会見」という。)で、「日本政府からの公式な提案ではない」とし、非公式ながらも森元首相から「並行協議」の提案がなされた旨の発言をしているが、右の政府答弁からすると、ラブロフ外相と外務省のどちらかが嘘をついている、またはどちらかの認識が間違っていることになるが、外務省はラブロフ外相が嘘をついている、または勘違いをしていると認識しているのか。
四 同年同月二十四日付の朝日新聞と北海道新聞は、「記者会見」におけるラブロフ外相の発言について森元首相が「並行協議」をプーチン大統領に呼びかけた旨報じているが、右の新聞報道は、事実でないことを元にした報道であると外務省は認識しているのか。
五 「並行協議」を再度公式にロシア側に提案する考えはあるかとの問いに対して、「前回答弁書」で外務省は「お尋ねの点を含め、平和条約交渉の締結に関する交渉(以下「交渉」という。)の内容にかかわる事柄について明らかにすることは、今後の交渉に支障を来すおそれがあることから、外務省としてお答えすることは差し控えたい。」と明確な答弁を避けているが、ロシア側が「並行協議」の受け入れを拒否した二〇〇二年三月から現在までの約六年間、北方領土問題は解決に向けて何ら前進を見せてこなかったと考える。また、二〇〇七年十二月二十六日に坂場三男外務報道官が「会談」についてのコメントの一環で、「政府としては北方四島の我が国への主権が確認される必要はあるものの、四島が同時に返還されなければならないという考え方はとっておりません。」と述べている様に、我が国として四島の一括返還にこだわらないのであれば、「並行協議」こそが最も現実的な北方領土問題の解決への方策であり、再度ロシア側に「並行協議」を公式に提案すべきであると考えるが、外務省の見解如何。

 右質問する。



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