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平成二十年三月十九日提出
質問第二〇七号

軽油引取税の暫定税率等に関する質問主意書

提出者  平野博文




軽油引取税の暫定税率等に関する質問主意書


 租税特別措置は、中立・公平であるべき税制の例外として、特定の政策目的の達成のために設けられる、税制の特則であると承知している。従って、その措置の実現しようとする政策目的や、必要とされる背景、及び効果の検証・納税者の理解がきわめて重要であると考えるところである。
 以上を踏まえ、次の事項について質問する。

一 租税の税率一般の改廃について
 1 一般論として、一般財源、特定財源を問わず、一時的な財政欠損・不足の穴埋めや、財政需要に充てる目的で暫定的に導入された増税は、原則として、その目的とした需要が満たされ又は不要となった場合、速やかに撤廃されるべきものではないか。
 2 増税の根拠として説明した財政需要が満たされ、又はその必要が失われたと判明したにもかかわらず、税率を増税前に戻さず、新たな別の財政需要を理由にこれを維持する場合には、財政民主主義等の観点に鑑み、課税目的の変更等について、国会に明示的に報告すると共に、国民ないし納税者に対しても明確な説明と周知徹底を図る必要はないか。法的・政治的な説明責任が政府に生じると考えるが、見解を問う。
二 平成五年度の軽油引取税の税率引き上げについて
 1 平成五年度の税制改正に伴い、軽油引取税の暫定税率がリッターあたり七円八十銭引き上げられている。この軽油引取税の税率引き上げの根拠について、当時の政府税調の答申の中では「地方道の整備水準及び地方道に係る特定財源比率が依然として低い現状等にかんがみ」などと説明され、また国会答弁等では、軽油の持つ窒素酸化物等の環境負荷や、ガソリンの税率との格差是正を理由として挙げている。
  しかし一方で、政府は国会において「第十一次道路整備五ヵ年計画の七十六兆円の予算を確保する必要があるが、一般財源を増やすことは非常に困難」との趣旨の答弁も行っており(平成五年三月二十二日参議院予算委員会など)、一般財源が不足するなかで、軽油引取税について、引き上げ余地が大きいことが増税の理由となっていると理解される。また、この増税が、運送事業者等、特定の者に大きな負担を強いるものであることについての懸念が、当時国会においても議論がなされている。
  そこで伺うが、軽油引取税の納税者の間では、巷間広く、この時の暫定税率の引き上げは、湾岸戦争当時の多国籍軍への財政支援によって生じた財政需要に充てるためのものとの理解がされている。この点、政府の公式の説明がどうあれ、世間や事業者の間では、湾岸戦争の協力金の穴埋めのための増税と受け止められていることを承知しているか。
 2 このような受け止め方をされていることについて、政府の当時及び現在の説明責任をいかに考えるか。道路特定財源について、受益者負担の考え方に立つならば、納税者が負担と受益の関係をどう考えているかを調査することは必須と考えるべきであるが、この調査を怠り、あるいは結果として受益者負担と受け止められていないことに対し、政府のこれまでの情報公開・説明の怠慢・過誤を認めるか。
 3 第十一次道路整備五ヵ年計画は、当初七十六兆円の事業規模とされていたが、実際には七十二兆円弱の支出にとどまり、当初見込んだ需要額を下回った。この点、軽油引取税の暫定税率引き上げは結果的に必要がなかったものであり、少なくともその計画期間の終了と共にこれを撤廃すべきであったのではないか。平成五年法改正当時の政府の説明の当否、及びその後この暫定税率を維持していることの当否について、政府の見解を求める。
三 必要とする財源額の根拠について
 そもそも当時、暫定税率設定の基礎となる必要な事業量や財源の根拠とされる道路整備計画等において、全体の事業量と必要な事業費(第十一次では七十六兆円)の算定に際して、必要とする個々の事業の積み重ねなど、十分な証拠・根拠に基づいて、総事業費及び財源となる税率を設定したものではないと考えられるが、この点を認めるか。
四 湾岸戦争の多国籍軍支援の財源について
 1 政府は、他党特に野党第一党が対案を提示するに際し、その財源を克明に明示する必要があると考えるか否か。必要なら、それはどの程度仔細なものが必要と考えるか。
 2 政府は、自らの提案する政策、及び実施した政策について、その財源を明示する必要があると考えるか否か。
 3 湾岸戦争の多国籍軍への支援金の財源について、その内容を明示されたい。具体的には、@支援金の総支出額はいくらか、A平成三年度の法人臨時特別税及び石油臨時特別税の暫定増税によって確保した財源額はいくらか、それぞれ明示した上で、B増税で不足する財源は歳出削減によって捻出することとしていたが、最終的にどこの経費をいくら削って捻出したものか、その「財源」の細目を明示していただきたい。
 4 軽油引取税の暫定税率引き上げによる地方道路特定財源の増収が完全に反映された平成六年度では、国からの道路整備への一般財源が、対前年・前々年比ともに大きく削減され、結果として国の一般財源の負担は軽減された。このことも踏まえ、政府は、湾岸戦争に関し支出した支援金の財源を後年度に確保するために、平成五年当時、軽油引取税を増税したのではないかとの疑問にどう答えるか。見解を問う。

 右質問する。



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