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平成二十年四月二十三日提出
質問第三二〇号

カネミ油症問題に関する質問主意書

提出者  保坂展人




カネミ油症問題に関する質問主意書


 一九六八年、福岡県、長崎県など西日本一帯で深刻な健康被害を及ぼした国内最大規模の食品公害、カネミ油症事件は今年、発生から四十年が経過する。昨年いわゆる「カネミ油症被害者救済特例法」が成立し、厚生労働省は二〇〇八年度、与党救済策に基づき、生存する認定患者約一三〇〇人らを対象に、協力金二十万円支給を伴う初の健康実態調査を実施する予定となっている。
 しかし、現在まで約一四〇〇〇人から届出があり、実際の被害は一〇万人にも及ぶと推定されるにもかかわらず、認定された人は約一九〇〇人であり届出の約十四%に過ぎない。認定されたとしても、甚大な被害と人類史上初のダイオキシンを口から食した食品公害事件であるカネミ油症の被害者への補償は、他の公害・薬害被害と比較しても極めてわずかなものでしかなかった。「全国油症研究班」により認定された段階でカネミ倉庫から見舞金二十三万円の支給と「油症治療券」の交付のみである。「油症治療券」の運用は恣意的と思わざるを得ず、医療費の申請をしても給付されないケースも多いといわれる。また、認定そのものも基準が油症を限定的に線引きしているため、同じ食卓で汚染油の料理を食べた家族でも、ポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類の血中濃度の高低や症状の違いで認定と未認定に区分されるケースが少なくない。認定作業を行ってきた「油症研究班」に対して国は油症関連研究費として二〇〇六年度までに計約二十六億四千万円を投入。油症検診は毎年実施しているが、研究班はこれまで、研究の進ちょくを患者に直接伝えることがほとんどなかった。治療法や化学物質の体外排出法の確立も遅々として進まず現在に至っているが、厚労省は健康実態調査も研究班を軸に進める方針を崩していない。
 とりわけ被害者のご苦労は、察して余りある。一九八四年から八五年に一部訴訟の下級審で国の賠償責任が認められ、原告に仮払金一人平均三百万円が支払われたが、八七年に原告が国への訴えを取り下げた結果、九七年国が一斉に仮払金返還の調停を申し立てたことにより、仮払金を医療費などで使い切ってしまった被害者の方の中には自殺者も出たという二重三重の悲劇もある。先の「カネミ油症被害者救済特例法」によりほとんどの被害者が仮払金返還を免除されるが、失われた命は戻ることはない。
 二〇〇八年度実施の健康実態調査に被害者の皆さんは期待すると同時に、未認定被害者の救済など多くの課題が残されたままである。食の安全が問われる情勢の中、その原点でもあるカネミ油症の問題における国の責任は極めて重大である。
 よって以下の通り質問する。

(1) カネミ油症被害発生と四十年に及ぶ対策の遅れに関する国の責任について、政府はどのように認識しているのか見解を求める。
(2) 被害発生当時、カネミ倉庫がカネミライスオイルをどこに販売し、どこで使用したかという事実を政府は把握しているのか、また調査の必要性を認識しているか。見解を求める。
(3) 現在までの認定患者への救済策について、他の公害・薬害被害と比較して妥当であると認識しているのか。被害患者への医療保障、所得保障について、政府の見解を求める。
(4) 現在の認定基準の妥当性及び未認定患者救済の必要性について、政府の見解を求める。
(5) 国が油症関連研究費として「油症研究班」に対して二〇〇六年度までに支出した計約二十六億四千万円の使途の公表をすべきと考えるが如何か。同時に治療法や化学物質の体外排出法の確立も遅々として進んでいない現状についての認識、ならびに、引き続き「油症研究班」を健康実態調査の主軸とすることを変更する考えがないのか、政府の見解を求める。
(6) 国がカネミ倉庫に政府米保管費用として支出している予算を、被害者救済に直接支出する考えはないのか、政府の見解を求める。

 右質問する。



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