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平成二十年五月十三日提出
質問第三七六号

海上自衛隊呉史料館の展示内容等に関する質問主意書

提出者  菅野哲雄




海上自衛隊呉史料館の展示内容等に関する質問主意書


 昨年四月五日、広島県呉市に海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)が開館したことに鑑み、その展示内容および史料館の運営等について、以下、質問する。

一 展示内容
 (1) 史料館の一九七〇年代の展示において、自衛隊の活動はもっぱら専守防衛を目的としたものであり、「海自も大型艦を保有せず、駆逐艦クラスに相当する護衛艦にとどめた」との説明がされているが、現状においては先般、漁船との衝突事故を起こしたイージス艦「あたご」、あるいは今後就役が予定される事実上のヘリ空母ともいえる護衛艦「ひゅうが」等、満載排水量が一万トンを上回る大型艦が保有されている事実、ならびに大型艦保有に至った経過および理由を丁寧に説明すべきではないか。
 (2) 史料館の展示の中心の一つに掃海部隊の活動が挙げられているが、一九九一年に呉基地より出航したペルシャ湾岸への掃海部隊派遣については、専守防衛から逸脱した自衛隊の海外派遣であるとの指摘がされていたことなどを踏まえれば、掃海部隊の海外派遣が憲法の枠内である旨の明確な説明をすべきではないか。
 (3) 史料館では、当時、海上自衛隊ではなかったとはいえ、朝鮮戦争時の掃海活動について一定の紹介がされているものと承知する。このことは、日本が事実上、朝鮮戦争に参戦し、憲法に抵触する活動を行ったものであるとの認識を持っているか。抵触するものでないとするのであれば、その理由を示されたい。
 (4) 太平洋戦争中、呉には呉鎮守府・呉海軍工廠が存在し、戦争末期には海軍の残存部隊が集結していたため、大規模な空襲の標的とされたほか、米軍による瀬戸内海への機雷施設作戦が展開されたものと承知する。戦時中の海軍の軍事拠点の一つであった呉が、戦後は瀬戸内海の機雷除去の中心を担ったことにより、掃海活動の拠点となる歴史的な経緯が存在していることを明確にすべきではないか。
 (5) 退役した潜水艦の実物展示では魚雷発射口の確認が容易ではないものの、史料館のホームページ上では「潜水艦の基本の攻撃兵器である『魚雷』について本物の魚雷を展示」していると紹介している。憲法の平和主義に合致しない攻撃兵器を展示すること、ならびにそのような兵器を備えた潜水艦を「てつのくじら」に例え、史料館の別称にした理由を明らかにされたい。
 (6) 史料館の展示内容は、掃海部隊や潜水艦等の展示に重きを置き、ともすれば日本の軍事力を誇示するようなものになっているが、国権の発動たる戦争と戦力の保持を明確に否定した憲法九条の趣旨、ならびに日本による戦争被害を受けたアジア諸国の人々の立場を考慮し、展示内容の見直しを図る考えはないか。
二 史料館の運営・その他
 (1) 史料館の設計、運営の中核はPFI事業として日立グループ関連会社が担っているものと承知するが、同社が事業を請け負った経過ならびに契約条件を明らかにされたい。
 (2) 史料館の建設費用、年間の運営予算、管理責任体制ならびに従業員数、開館から一年間の期間における正確な入場者数を明らかにされたい。
 (3) 昨年十月、事前に連絡を取っていた市民団体が史料館に展示内容見直しの申し入れを行った際、突然、当時の室長が自衛隊呉地方総監部へ出向くよう対応した理由を示されたい。また、事前に受け入れを約束しながら、不誠実な対応を行ったことについての防衛省の認識を示されたい。

 右質問する。



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