衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十年六月十一日提出
質問第五一三号

中国遺棄化学兵器処理事業に関する第三回質問主意書

提出者  阿部知子




中国遺棄化学兵器処理事業に関する第三回質問主意書


 前回答弁書(内閣衆質一六九第三〇〇号。以下、「答弁書」という)を踏まえ、以下質問する。

一 中国吉林省ハルバ嶺における処理事業について
 (一) 平成一一年度から一五年度(一九九九〜二〇〇三)までに実施した調査研究として、冷凍破砕・水ジェット切断・燃焼炉爆破実験、プラズマ炉の実剤処理特性確認実験など、数項目を挙げている。これらは実処理プラントのための調査研究であるにも関わらず、五年を費やしても実処理が決定できない理由は何か。明らかにされたい。
 (二) 「答弁書」一の(一)及び(二)の項に、「実処理施設については(中略)処理施設の建設に必要な事業承認が中国政府から得られていない」と記されているが、当該承認申請を行った日時と内容を明らかにされたい。
二 ハルバ嶺以外の四万四千発の化学砲弾処理事業について
 (一) 「答弁書」二の(三)の文中で「今後入札により採用する処理技術及び処理対象物等によって異なるため、現時点でお答えすることは困難である。」と回答している。しかし、二〇〇八年度に五億円の予算を計上しているのであるから、五億円は機材そのものの価格であるか、調査・設計費用の価格であるか、具体的に内容を示し、積算根拠を明らかにされたい。
 (二) 「移動式処理設備の導入」は日本政府が提案し、中国政府が承認したものである。提案時に示された処理能力を試算した結果について詳細に説明されたい。
三 (株)遺棄化学兵器処理機構(以下、「機構」という)と内閣府遺棄化学兵器処理担当室について
 機構は、資本金三億円が建設コンサルタント大手のPCIグループ全額出資、遠藤博之社長が元PCI専務取締役というPCI関連会社である事を承知の上で「内閣府遺棄化学兵器処理担当室の補助者としての役割」を遂行させる為、内閣府が設立させたものと承知している。
 (一) 先般、人件費の過大請求による特別背任容疑と詐欺容疑でPCIグループの前社長と機構の遠藤博之社長他数名が新たに逮捕され、今月さらにODA事業の受注工作による脱税容疑でPCIグループが摘発され、元社長らが逮捕されるという事態にまで発展している。PCIグループはこれまでにもODAをめぐる不正取引で国際協力機構から指名停止処分を受けていたにも関わらず、内閣府はあろう事か随意契約で発掘回収事業に関わる全てを漫然と機構に丸投げしてきた。この責任は重大である。どのように認識し、どのように責任を取るのか、明らかにされたい。
 (二) マスコミ報道によれば、機構は発掘回収事業から撤退、内閣府は競争入札で個々の事業を直接契約する方式に切り替えたという。しかし、今年度の主要業務である処理施設設計では三回に渡る入札・公募にも応募がないというが、今後の処理事業をどのように進めるのか、計画を具体的に示されたい。
四 被害者への救済及び医療体制について
 (一) 「答弁書」四の(二)で、医療体制について「日中間で調査及び協議を行ってきているところである。」と述べている。これまで何を調査し、協議してきたのか具体的に明らかにされたい。
 (二) 裁判所も遺棄化学兵器による事故、健康被害は「国際慣習法ならびに人道法に反する」と認定した。日本政府はこの機会に人道的な立場で「正義と公正」をもとに早急に救済措置を講じるべきではないか。
五 遺棄した場所の特定、発掘について
 (一) これまでの答弁では「遺棄化学兵器の所在に関する証言、資料など十分な証拠がない」と繰り返すのみである。しかし、旧日本軍関係者による「黒竜江省チチハルの嫩江の橋から捨てた」との証言や「チチハルのフラルキに捨てた」との証言など、複数の信頼性のある証言もある。このような関係者からの情報提供に対し、調査など何らかの対応をとってきた事実はあるか、また、ないとすればそれは何故か。明確に答弁されたい。
 (二) 事故が繰り返される前に発掘する責任は日本政府にある。今回の四川大地震のような天災により、遺棄化学兵器による事故が発生することも十分考えられる。日本政府として一日も早い調査、発掘回収に取り組むべきと考えるが、いかがか。責任ある答弁をお願いしたい。
六 化学兵器禁止条約締結後一〇年を経ても一発の実処理もなされていないが、国際条約により「処理事業の再延長はできない」とされている。これを反古にしたら日本は国際的な信用を失うことになる。再延長した二〇一二年までの五年間で終了すべく、詳細な年次計画を示すべきと考えるが、いかがか。既に計画が固まっているのであれば、その概要を説明されたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.