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平成二十年六月十六日提出
質問第五三八号

入国管理における人権保護の状況に関する質問主意書

提出者  辻元清美




入国管理における人権保護の状況に関する質問主意書


 出入国管理及び難民認定法は平成十六年に改定され、参議院で「仮滞在許可制度、難民認定における不服申立制度等、難民認定に関する各種制度について、その運用状況を勘案しつつ三年後を目途に検討を行うこと」という附帯決議がつけられている。入管法のこれまでの改定によって難民認定のための参与員制度の導入など法律的な改善点は見られるが、その運用において問題が多く、国連など国際的な場では変わらぬ批判や憂慮が日本政府に対して示されている。特に難民認定者のプロセスや拘禁施設での処遇については、難民申請者、弁護士あるいは被拘禁者自身からの問題の指摘が多くなされており、人道的な観点からみて迅速に解決されるべきであると考える。従って、以下質問する。

1 平成十九年十二月十八日 福島みずほ参議院議員提出の国連の拷問禁止委員会の勧告に対する政府の対応及び入国管理局での収容実態等に関する質問主意書に対する答弁書において、答弁している以下の改善点が被収容者の申し立てに基づいて行われたものかどうか、それぞれ示されたい。
 @ 平成十三年には、東日本入国管理センター、西日本入国管理センター及び大村入国管理センターにおいて臨床心理士によるカウンセリングの導入、西日本入国管理センターにおいて居室扉を開放することにより多目的ホール等を利用させ収容区画内を自由に行動することを認める開放処遇の時間の延長を行った。
 A 平成十四年には、東日本入国管理センターにおいて開放処遇時の電話使用の自由化、西日本入国管理センターにおいて戸外運動時間の延長、開放処遇回数の増加及び時間の延長並びに入浴回数の増加、東京入国管理局において被収容者の居室単位による分煙収容、東京入国管理局横浜支局、名古屋入国管理局及び大阪入国管理局神戸支局においてテレビ視聴の自由化を行った。
 B 平成十五年には、東日本入国管理センターにおいて入浴回数の増加、西日本入国管理センターにおいて開放処遇時間の延長並びに開放処遇時の電話使用、入浴及び洗濯の自由化、大村入国管理センターにおいて開放処遇時の電話使用の自由化、東京入国管理局においてテレビ視聴の自由化、開放処遇の実施、開放処遇時の電話使用、入浴、洗濯及び戸外運動の自由化、被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始並びにテレホンカード及び清涼飲料水の自動販売機の設置、東京入国管理局成田空港支局において被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始、大阪入国管理局関西空港支局及び広島入国管理局においてテレビ視聴の自由化を行った。
 C 平成十六年には、東日本入国管理センターにおいて被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始、看護師等による被収容者健康相談の実施及びテレホンカードの自動販売機の設置、西日本入国管理センターにおいて被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始、大村入国管理センターにおいて被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始及び清涼飲料水の自動販売機の設置、大阪入国管理局、大阪入国管理局関西空港支局、大阪入国管理局神戸支局及び福岡入国管理局において被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始を行った。
 D 平成十七年には、東日本入国管理センターにおいて一般面会室の増設、西日本入国管理センターにおいて清涼飲料水及びテレホンカードの自動販売機の設置、名古屋入国管理局において開放処遇の実施、開放処遇時の電話使用、入浴及び洗濯の自由化、テレホンカードの自動販売機の設置並びに被収容者による貴重品保管のための貴重品ロッカーの提供開始を行った。
 E 平成十八年には、東京入国管理局成田空港支局において電話使用及びテレビ視聴の自由化並びに入浴回数の増加を行った。
 F 平成十九年には、西日本入国管理センターにおいて常勤医師による定期健康診断の実施、東京入国管理局において看護師による健康カウンセリングの実施、大阪入国管理局において入浴回数の増加を行った。
2 各入管収容施設において、被収容者の運動場に関する被収容者からの訴えが多いと聞くが、政府は、すべての入管収容施設が、被収容者処遇規則第二八条「所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。」との規定を順守していると確信しているか示されたい。
3 面会の自由について
 いずれの入管収容施設においても仮放免中の外国人が被収容者への面会を制限されることはないと考えるが如何か。そうでないとすれば、どのような理由からか示されたい。
4 二〇〇八年五月十四日の国連人権理事会普遍的定期審査に関する作業部会報告書によると政府は、「入管収容施設の問題については被収容者の人権について細心の注意が払われているとし、さらに被収容者は医師が診察し、必要に応じて医療刑務所に移送されて治療をうける。日本政府は、こうしたサービスの質の向上に努めている」(日本弁護士連合会 仮訳)と述べている。しかし、入管収容施設において、医師である面会者が医療行為を申し出てもそれを認めていない。これはどのような理由からか示されたい。
5 二〇〇八年五月十四日の国連人権理事会普遍的定期審査に関する作業部会報告書によると政府は、「日本の難民認定手続きは、一九五一年難民条約を基本とし、ノン・ルフルーマン原則に従っている。日本は、保護に対する取り組みを積極的に継続していく所存である」(日本弁護士連合会 仮訳)としている。また、平成十九年六月十五日 保坂展人衆議院議員提出の拷問等禁止委員会最終見解のうち、刑事司法・刑事拘禁と入管手続などに関する質問主意書に対する答弁書の六の(一)でも、拷問を受ける可能性のある国々への送還を懸念する国連の拷問禁止委員会の指摘を否定しており、現行の出入国管理及び難民認定法で問題はないとする。しかし、「難民認定制度に関する検討結果(最終報告)」は、「難民であることの立証責任は、申請者に課せられている。もっとも、難民認定の申請者は、一般に我が国においてその立証を行うことが困難な場合が少なくない。」と指摘している。従って、答弁書に指摘されている、入管法第五三条第一項に定める国において拷問を受けるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があると判断される場合に含まれることが困難である場合が少なからず存在し得ると考えるが如何か。
6 拷問を受けるおそれがある国への退去強制は絶対に避けなければならない事態である。従ってノン・ルフルーマン(難民の強制送還の禁止)原則の順守を担保し、難民申請及び送還手続きにおける適正手続きを保証するため、退去強制となった難民認定申請者の送還後の追跡調査を行うべきであると考えるが如何か。

 右質問する。



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