質問本文情報
平成二十年十月二十七日提出質問第一六三号
社会保障国民会議における将来医療費推計の前提に関する質問主意書
提出者 山井和則
社会保障国民会議における将来医療費推計の前提に関する質問主意書
平成二十年十月二十三日に行われた社会保障国民会議サービス保障(医療・介護・福祉)分科会において「社会保障国民会議における検討に資するために行う医療・介護費用のシミュレーション」(以下「国民会議推計」と呼ぶ。)と題する資料が公表されたところである。この資料では、平成十九年度においては三十四兆円である医療費が、改革が行われない場合には、平成三十七年度においては、六十六兆円ないし六十七兆円にまで大きく増加すると推計されている。そこで、この推計の前提となった、「単価等の伸び率」について、以下質問する。
二 一方、平成十九年三月二十二日に行われた第三回医療費の将来見通しに関する検討会に厚生労働省から提出された「資料4:医療費の伸びと経済成長率について」を見ると、診療報酬改定率と経済成長率の相関関係の回帰式は、y=0.2548x−0.0067(以下「検討会回帰式」と呼ぶ。)となっている。この回帰式は、薬価材料部分の改定を含んだ全診療報酬の改定率の、経済成長率に対する回帰式であると理解するが、間違いないか。
三 国民会議回帰式と検討会回帰式を比較すると、経済成長率一・六%の場合には、国民会議回帰式では〇・五三%のプラスの診療報酬改定が行われると仮定するのに対して、検討会回帰式では〇・二六%のマイナスの診療報酬改定が行われると仮定することとなる。その結果、国民会議回帰式の方が、単価の伸び率が約〇・八%高くなる。また、経済成長率三・二%の場合には、国民会議回帰式の方が、単価の伸び率が約〇・九二%高くなる。この計算に間違いはないか。
四 国民会議推計の推計の計算過程において、国民会議回帰式を検討会回帰式に入れ替えるという変更のみを行った場合、改革を行わない時の平成三十七年度の医療費推計は、五十六・七兆円から五十八・八兆円となり、国民会議推計より九ないし十兆円程度縮小すると考えられるが、この計算に間違いはないか。
五 もし国民会議推計において、診療報酬本体の改定率のみを勘案し、薬価材料部分の改定率を勘案していないとすれば、薬価材料部分の改定率を勘案しなかった根拠について明確に説明していただきたい。万が一、根拠なく、薬価材料部分の改定率を勘案しなかったのであれば、過大見積もりを恣意的に行うため、数値を操作したとしか理解できないところであり、このような批判を受けないためにも、合理性のある明確な根拠を示していただきたい。また、国民会議回帰式と検討会回帰式の違いが、薬価材料部分の改定に関連した要因以外によるものであるのならば、詳細にその要因について、説明していただきたい。
六 国民会議推計の本体資料の十五頁にある、ケース@の伸び率の設定のうち、「第二項の医療技術の高度化等」については、二・二%との数字が提示されている。この数値に関する説明が、第七回前提資料の二十九頁にあるが、そこには、用いたデータや計算過程は提示されていない。しかし、この数値がもし、一%低くなれば、平成三十七年度の医療費推計は、おおむね十六%、金額にして十兆円以上縮小する。様々な立場から議論と検証を行うという社会保障国民会議の考えからすれば、推計結果を大きく左右するこの二・二%の算出根拠についても、用いたデータと計算過程を全て公開し、国民的に議論を行う必要があると思われるが、政府の見解はいかがか。
七 もし、第二項の医療技術の高度化等についての伸び率の算出根拠を公開するとの答弁をいただける場合には、概要についてのみ答弁書に記載いただき、詳細なデータなどは社会保障国民会議のホームページで公表していただくことで差し支えない。また、ホームページでの公表の期日は、公表作業に時間がかかる場合には、後日であっても差し支えないが、その期日は答弁書に明記されたい。
八 もし、第二項の医療技術の高度化等についての伸び率の算出根拠を公開しないとの答弁をされる場合には、その答弁と、「今後様々な立場から議論が行われ、検証されていくことが望ましい。このため、今回のシミュレーションに用いたデータ、仮定数値については、以下のURLで全て公開することとした。」という社会保障国民会議の表明との整合性について、ご説明いただきたい。
右質問する。