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平成二十年十一月十三日提出
質問第二三三号

新しい公益法人制度の問題点に関する質問主意書

提出者  高井美穂




新しい公益法人制度の問題点に関する質問主意書


 新しい公益法人制度が本年十二月より施行される。明治二十九年の民法制定以来、約一世紀ぶりとなる公益法人制度改革の目的は、民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、民による公益の増進に寄与するとともに、主務官庁の裁量権に基づく許可の不明瞭性等の従来の公益法人制度の問題点を解決することにある、と理解している。しかし、とくに一般社団・財団法人については、比較的簡易に設立でき、自主的な運営を前提としているため、収支報告等の義務や監督官庁がないなど、悪意により設立、運営される可能性が排除できない問題点があると考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 同制度改正の趣旨については前述のとおりと承知しているが、制度改正の必要性がどこにあるのか、改めて問いたい。また、現行法でも行政手続法により、「主務官庁の裁量権に基づく許可の不明瞭性」については排除できたのではないのか。できないとすれば、その理由を示されたい。
二 改正により、特定非営利活動法人(NPO法人)と公益法人の違いがあまりなくなるように考える。「公益法人制度改革に関する有識者会議」等でも、NPO法人との一本化が論議されたと聞いている。なぜ一本化されなかったのか、それぞれに期待される役割について、政府の考え方を示されたい。
三 一般社団・財団の目的、名称について、どのような制約があるのか。法務省発行のパンフレット「知って! 活用! 新非営利法人制度」には「一般社団法人及び一般財団法人が行うことができる事業に制限はありません」とある。例えば「一般財団法人皇室奉賛財団」「一般社団法人天皇陛下奉賀社団」「一般財団法人国際連合日本財団」「一般社団法人犯罪推進社団」など、権威を借用したり、反社会的行為を助長したりするような法人を設立し、名称とすることは可能か。規制できるとすれば、どこの官庁が、どのような根拠条文により行えるのか。
四 「一般財団法人皇室奉賛財団」「一般社団法人天皇陛下奉賀社団」などの構成員が、その名刺を持って、奉賛事業などを行うことを目的に企業等から寄付金や、奉賛金を集めることは可能か。できないとすれば、根拠条文を示されたい。また、集めた金を、非営利である本来の目的に使う限り、非課税となり、その収支についてもなんら報告の義務がないと理解してよろしいか。集めた金の中から、当該公益法人役員に対し、任意の報酬を支払う場合も同様か。
五 一般財団法人設立に関しては、三百万円以上の財産拠出が要件となっている。この拠出を証明するものは銀行の預金証明等によるものと理解しているが、設立後、この預金を全額引き出した場合は法的にどうなるのか。また、それを、どこの官庁が、どのような形でチェックするのか。「見せ金」で一般財団が設立されることをどのような形で防ごうと考えているのか、示されたい。
六 特定非営利活動促進法(NPO法)による設立要件には欠格事由があり、暴力団員が設立、構成要員にはなれない。しかし、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律では欠格事由は設けられていないと理解している。暴力団員や右翼団体構成員が一般社団法人及び一般財団法人を設立することは可能か。規制できるとすれば、どこの官庁が、どのような根拠条文により行えるのか。
七 NPO法人に関しては、暴力団関係者がそれを隠れみのとして悪用し、恐喝など犯罪に利用されたケースが相次いで報道されている。しかし、社会一般の感覚では、比較的新しく誕生したNPOより、財団・社団は歴史もあり、より権威や、信頼性、世間の評価も高いのではないかと考える。新しい公益法人制度改正により、こうしたより評価の高い団体が悪意により設立され、利用される懸念はないのか。このような事態を想定した対策について、どのような論議がされたのか。その結果、どのような対策がとられているのか。内閣府、法務省、警察庁は、この問題について、いつ、どのような形で検討をしたのか、日時、会合名、場所等、具体的に示されたい。また政府は、見直し規定にかかわらず、早急に対策を打ち出すべきと考えるが、方針を示されたい。

 右質問する。



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