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平成二十年十一月十三日提出
質問第二四一号

医薬品のインターネット販売に関する質問主意書

提出者  前原誠司




医薬品のインターネット販売に関する質問主意書


 厚生労働省は、平成十八年に成立した改正薬事法を受けて薬事法施行規則の改正案をパブリックコメントに付していたが、医薬品のインターネット販売の取扱いに関する政府としての認識について次のとおり質問する。なお、ここでの「医薬品のインターネット販売」とは、薬局としての許可又は一般販売業の許可を取得している者がインターネットという手段を用いて行う販売を指すものとし、以下単に「ネット販売」と記述する。

【現在のネット販売をめぐる状況について】
一 厚生労働省は、規制改革会議との公開討論(本年十月七日開催)の場で質問に答える形で、ネット販売を起因とした重篤な健康被害について一件も把握していないことを明らかにしたと聞いているが、そのとおりと解してよいか。
二 厚生労働省は、規制改革会議との公開討論の場で、現行薬事法においては、ネット販売は「適法」と回答していたが、現行法令上、薬事法第三十七条も含め当該販売を禁止する規定は法令上ないと解してよいか。政府(内閣法制局)としての見解如何。
三 厚生労働省の通達(「医薬品のインターネットによる通信販売について」(平成十六年九月三日付け薬食監麻発第〇九〇三〇一三号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知))の法的根拠と発出理由如何。なお、厚生労働省は、規制改革会議からの質問に答える形で、法的根拠を「厚生労働省設置法第四条第一項第十五号、薬事法第一条、地方自治法第二百四十五条の四」としている(平成二十年十月七日規制改革会議第三回重点事項推進委員会での資料Bの一頁参照)が、これらは、一般規定であるので薬事法の個別規定との関係で根拠を明示していただきたい。
四 右記通達では、薬効群を列挙しているが、列挙されていない薬効群に該当する医薬品は販売してはいけないということなのか。仮にそうであるならば、それらの販売を禁止する法律上の根拠如何。また、そのことと、厚生労働省がネット販売を「適法」と回答したこととの整合性はどうなるのか。これらにつき、政府(内閣法制局)としての見解如何。
【ネット販売を制限する理由について】
五 平成二十年九月十七日に厚生労働省からパブリックコメントに付された薬事法施行規則改正案によれば、ネット販売を含む「郵便その他の方法による医薬品の販売」については、第三類医薬品以外の医薬品の販売が禁止されているが、その理由如何。また、「郵便その他の方法」とは何かにつきその外縁が明確になるように具体的かつ網羅的に列挙されたい。
六 厚生労働省が医薬品の販売につき主張する「対面の原則」について、「「対面」とは専門家が購入者と直接顔を合わせることを求めるものであり、「対面」による適切な情報提供や適切な相談応需を通じて、購入者側の状態を的確に把握するとともに、購入者と専門家との間で円滑な意思疎通を図ること」と説明している(平成二十年十月七日規制改革会議第三回重点事項推進委員会での資料Bの三頁参照)。この点に関して次のとおり質問する。
 (一) 「購入者側の状態を的確に把握する」について、「状態」の具体的な内容如何。また、把握した結果を専門家がどのように反映させるという意味なのか具体的に示していただきたい。
 (二) 「購入者と専門家との間で円滑な意思疎通を図る」の「円滑な意思疎通」の具体的な内容如何。
 (三) 「対面」の内容として、「直接顔を合わせる」ことが必要である理由如何。
 (四) 医薬品の安全性と効能を確保し、購入者に安心と安全を提供していくためには、右記の内容の「対面の原則」を確保することが必要不可欠とする理由如何。
 (五) 専門家が購入者と直接顔を合わせれば、顔色等顔の状況に基づき購入者の状態を判断することができるという意味なのか。そうであれば、薬剤師や登録販売者という専門家は、購入者の顔の状況を見てその状態を把握できる能力を有していることにつき資格試験の制度上担保されているということなのか。そのことは、医者以外の医療行為を禁止する規定との齟齬は生じないのか。
 (六) 例えば、直接服用するわけではない妊娠検査薬については、@正しい検査結果が得られない場合があることや、A妊娠している・していないのどちらの結果であっても最終的には医者の診断が必要であることにつき十分な情報提供を図れば安全性は確保できるとも考えられるが、妊娠検査薬に即して直接顔を合わせる「対面の原則」が必要である理由を具体的に示していただきたい。
七 ネット販売は、ネットの特性を活用した工夫により充実した情報提供等が可能と思われるが、ネット販売は、実店舗における購入者の顔が見える状況での対面販売と違って、国民の安全を確保できないとする科学的証拠は何か。
八 厚生労働省は、規制改革会議の質問に対して、「インターネット等による販売では、購入に当たって製品を示しながらコミュニケーションを取ることができないこと、購入者側のその時点における状態を把握することが困難であること、購入者側が情報提供を求めた場合に、その対応に時間を要し、また、専門家によって行われているかどうかを確認することが難しい点において、対面による販売と比べて問題があると考えている」と回答している(平成二十年十月七日規制改革会議第三回重点事項推進委員会での資料Bの四・五頁参照)。これに関して次のとおり質問する。
 (一) ネット販売では、使用上の注意に関する情報等をウェブ上で分かりやすく示すことができ、メール、電話等を活用してコミュニケーションは取れるし、必要な情報を入力させるなどの方法により購入者側の状態を把握することが可能であることを踏まえると、厚生労働省の右記回答には疑義があるが、その点につき見解如何。
 (二) ネット販売では、右記のとおり情報提供等を行っているほか、問合せ内容や購買履歴等を活用して専門家が発送してよいかどうかを判断するといった安全面の配慮を行っており、購入者側が情報提供を求めた場合にその対応に時間を要すること自体が安全面で即問題になるとは考えにくいが、購入者側が情報提供を求めた場合にその対応に時間を要すること自体と、国民の安全の確保を担保できないこととどのような因果関係があるのか。
 (三) ウェブ上で専門家の資格に関する情報を提供することが可能であることから、「専門家によって行われているかどうかを確認することが難しい」というのは理由がないと考えるが、その点につき見解如何。
【ネット販売を行う消費者のニーズ等について】
九 ネット販売は、高齢者、障害者、妊婦、育児中の方など外出が困難な方のニーズ、田舎のため近くに医薬品を扱う店舗がない場合のニーズなどといったネット販売での購入を必要不可欠とする消費者の切実な声に応えている。今回の改正で仮にコンビニエンスストア等における販売などが容易となっても、それだけでこれらのニーズを満足させられるとはとても考えられない。今回の省令案では、それらのニーズが完全に無視されることになることについて、政府の見解如何。
【ネット販売を制限する法律上の根拠や規制の適切性について】
十 厚生労働省は、規制改革会議の質問に対して「対面の原則」の法律上の根拠規定を「薬事法第一条、第三十六条の五(改正後)、第三十六条の六(改正後)、第七十七条の三第四項(改正前)」と回答している(平成二十年十月七日規制改革会議第三回重点事項推進委員会での資料Bの三頁参照)。これらは一般規定であるか又はあくまで「適正な使用のために必要な情報を提供」することを記述したものであるので、文面上「対面の原則」の根拠とは解せない旨規制改革会議側が公開討論の場で指摘したと聞いているが、「対面の原則」に関する法律上の根拠が存在するのか否かに関する政府(内閣法制局)としての見解如何。
十一 厚生労働省は、規制改革会議の質問に対して、ネット販売を制限する法律上の根拠規定を「薬事法第三十六条の五、第三十六条の六」と回答している(平成二十年十月七日規制改革会議第三回重点事項推進委員会での資料Bの二頁参照)。これに対して、規制改革会議側は、当該規定はあくまでも情報提供を定めるものであり、「販売方法等の制限」との見出しを持つ第三十七条の規定は今般の薬事法改正で実質的に修正されていない以上ネット販売を制限する根拠条文は法律上になく、省令への委任内容を超えており違法ではないかと主張している。このように政府部内で見解が真二つに分かれているが、ネット販売を制限する法律上の根拠規定の有無及び省令で制限を課す合法性の有無につき、政府(内閣法制局)としての見解如何。
【今後の政府内での取扱いについて】
十二 規制改革会議は、平成二十年十月二十四日の「第三次答申に向けた規制改革会議の重点分野と課題」等において、ネット販売に関して、省令案に係る「措置の導入には問題があり、IT時代にふさわしい新たなルール整備が必要」としており、厚生労働省と規制改革会議とで見解が明らかに分かれている。そのような中で、厚生労働省の省令案が確定されてしまうことは非常に問題があると考えるが、政府としての見解如何。

 右質問する。



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