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平成二十一年五月二十二日提出
質問第四三七号

補正予算に関する政府の説明責任に関する質問主意書

提出者  滝  実




補正予算に関する政府の説明責任に関する質問主意書


 平成二十一年度の補正予算は財政支出が十五・四兆円であり、国民一人当たりに直すと約十二万円にもなる巨額なものであるから、この補正予算に関して政府は国民の疑問に対して納得いくまで説明する義務があるのは当然である。しかし、「十五・四兆円で日本経済は経済危機から脱却できるのかどうかに関する質問主意書」(以下「第一回質問」という)では、その質問主意書に対する答弁書内閣衆質一七一第三二七号(以下「第一回答弁」という)と、それに対する再質問主意書(以下「第二回質問」という)に対する答弁書内閣衆質一七一第三六五号(以下「第二回答弁」という)に書かれた説明は驚くほど不誠実で無責任なものであった。政府は補正予算に関して国民に説明責任を十分果たしていないのではないかという疑問が生じたので、これに関して質問する。

一 第一回質問では、今回の国債を財源とする財政出動により将来世代への国債負担がむしろ軽くなることを具体的に数値を示して政府の見解を聞いた。それに対して第一回答弁では「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなることはないとは一概にいえない」ということだった。そうであるならば、「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなるとは一概にいえない」ということを暗に認めているのだから、これまでのように「国債発行が将来世代への負担になる」と決めつけるのを止めるべきではないかというのが第二回質問であった。驚いたことに、これに対する第二回答弁は「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなることはないとは一概にいえない」と第一回答弁と全く同じ答弁を繰り返した。これは今回の財政出動が国内総生産を引き上げられない虞が強いことを政府自らが繰り返して認めるものであり、そのような財政出動をすることは、国民及び国権の最高機関である国会を愚弄することになるのではないか。
二 政府は従来から掲げてきた二〇一一年度の基礎的財政収支黒字化が絶望的になったことを踏まえて、新たにGDPに対する債務残高比率の引き下げを新たな目標として検討していると報道されている。そうであれば、総額五十七兆円(うち国費約十五兆円)の「経済危機対策」の効果に関する内閣府試算が発表されているのだから、それに基づいて債務のGDP比が計算できるはずであり、それを公表すべきである。この景気対策により債務のGDP比は増えるのか、減るのか、それともどちらとも言えないのか。その計算結果を明らかにされたい。
三 第一回及び第二回答弁において、この度の補正予算において「景気の底割れ」を防ぐという政府の最重要課題を示しているが、この「景気の底割れ」を防ぐという定義は、具体的な定量的目標があるはずであり、それを明らかにされたい。
四 第一回答弁によると、「需要不足のすべてを財政支出で埋め合わせることについては、過度に公需依存となり、民間経済の自律的回復をむしろ遅らせる」とある。その根拠は何か。
 また、自由経済体制下の先進諸国がいずれも政府部門(公需)、民間部門(民需)の混合経済で成り立っているなかで、政府が示す「民間経済の自律的回復」の定義とは何かを明らかにされたい。
 第二回質問においては、上記の当該第一回答弁内容が必ずしも当らないことについて、データや例示を挙げて説明を試みたにも拘らず、第二回答弁ではそれに対する回答が無かったため、上記「質問一」と同様な観点から十分な説明責任を果たすことを要求する。
 さらに、上記の当該第一回答弁内容は、受取り方によっては、いわゆる「クラウディングアウト効果(政府による国債の大量発行が民間の資金調達と競合を起こし、金融市場が逼迫して金利を上昇させ、民間の資金調達が阻害される現象)」のことを指しているとも考えられるが、その通りと理解していいのか。
五 内閣府が五月二十日に発表した一−三月期の実質GDPは、年率換算でマイナス十五・二%、二〇〇八年度の実質成長率はマイナス三・五%といずれも戦後最悪であり、米国(年率マイナス六・一%)やドイツ(同マイナス十四・四%)などと比べても先進国中最悪であった。対前期比マイナス四・〇%のうち、外需寄与度がマイナス一・四%、内需寄与度がマイナス二・六%と、外需寄与度に比べて内需寄与度が約二倍の大幅なマイナスになっている点を踏まえると、これは政府による景気下支え策が十分ではなかったことを意味する。
 したがって、昨年十月末の緊急経済政策を始め、もっと効果的に景気下支えを行っていれば、このようなことにはならず、「需要不足のすべてを財政支出で埋め合わせることについては、過度に公需依存となり、民間経済の自律的回復をむしろ遅らせる」ということにもならなかったのではないか。

 右質問する。



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