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平成二十一年五月二十二日提出質問第四四〇号
北方領土に居住するロシア人に対する外務省によるビザの発給に関する第三回質問主意書
提出者 鈴木宗男
北方領土に居住するロシア人に対する外務省によるビザの発給に関する第三回質問主意書
本年四月二十三日、札幌で行われたビザなし交流の北方四島交流代表者間協議(以下、「協議」という。)に出席する北方領土居住のロシア人に対し、外務省として初めて我が国への入国ビザを発給した。右につき、「前々回答弁書」(内閣衆質一七一第三三七号)では、「御指摘の協議に参加した北方四島の代表者については、本来であれば四島交流の枠組みの下、査証なしで北方四島から直接北海道本島を訪問することが適当であるが、気候条件等の理由から、四島交流の枠組みの下、船舶により北方四島から直接北海道本島を訪問することが不可能であったため、例外的にサハリン経由で北海道本島を訪問せざるを得ないこととなった。一般論として、サハリンからロシア連邦の国籍を有する者が我が国に入国する場合には、当然査証が必要となる。今回の場合は、北方四島住民による北海道本島への訪問ではあるが、サハリン経由で北海道本島を訪問する以上、通常の四島交流の枠組みの下での北方四島住民による北海道本島への訪問とは扱いが異なるべきこと、及び四島交流を円滑に実施するためには北方四島の代表者の参加を得て御指摘の協議を開催する必要があったことから、それらの者に対し、査証を発給することとしたものである。」との答弁がなされている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七一第三七二号)を踏まえ、再度質問する。
二 政府として、一九八九年九月十九日の閣議了解を含む一連の閣議了解により、我が国国民がロシア政府によるビザの発給等、ロシア側の管轄権に服した形で北方四島に渡航することの自粛を我が国国民に求めている。先日、日本テレビの記者がロシア政府によるビザ発給を受け、本年五月十二日から十三日にかけて択捉島に渡航していたことが明らかになった際、外務省として「極めて遺憾である」との認識を示している。政府として国民に対し、右の様に北方四島におけるロシアの管轄権を認めかねない行為を自粛することを求める一方で、自ら北方四島に居住するロシア系住民に対してはビザを発給するというのは、明らかに矛盾し、筋の通らない行為であり、一連の閣議了解の効力を無にし、また、それに従ってきた大部分の我が国国民によるこれまでの努力を水の泡とすることになるのではないか。政府、特に外務省の見解如何。
三 政府、特に外務省として、一で挙げた様な知恵すら出せず、北方四島に居住するロシア系住民に対してビザを発給し、政府、特に外務省自ら、北方四島におけるロシアの管轄権を認めるかの様な行動をとるくらいなら、平成十年二月に日ロ間で締結された北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組みに関する協定、いわゆる安全操業協定の様に、日ロ間の主権問題を一時棚上げし、双方の交流を図ることを、海だけではなく陸でも行える様な枠組みを作り、我が国国民が積極的に北方四島を訪問できる様にするべきではないのか。例えばその際に、一時的にロシアの管轄権を認める様な手続きを取ることが求められても、我が国が北方四島に食い込み、我が国の物資や技術等を北方四島で浸透させていく等の点で、現在の政府、外務省の対応の様に、北方四島に対するロシアの実効支配が強化されていくのをただ座視するだけで、一向に北方領土問題解決に向けた手を打つことができない状態でいるよりも、遙かに有効な手だてとなりうるのではないか。政府、特に外務省の見解如何。
右質問する。