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平成二十一年六月二十二日提出
質問第五七六号

いわゆる足利事件について最高検察庁次長検事が謝罪した件に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる足利事件について最高検察庁次長検事が謝罪した件に関する再質問主意書


 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、本年六月四日、千葉刑務所から釈放されたことに対し、同月十日、最高検察庁の伊藤鉄男次長検事は、午後三時半から開いた記者会見(以下、「会見」という。)において、「真犯人とは思われない人を起訴し、服役させたことについて、大変申し訳ないことをしたと思っている」と、菅家さんに対して謝罪する言葉を述べた。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七一第五三一号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書で、「会見」が開かれること並びに伊藤次長検事が菅家さんに対して謝罪をすることについて、森英介法務大臣は事前に報告を受けていたかと問うたが、「前回答弁書」では「個別具体的な事件の検察当局から法務大臣に対する報告については、捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、お答えは差し控える」との答弁がなされている。しかし、本年六月十日の衆議院決算行政監視委員会(以下、「委員会」という。)において、菅家さんの釈放についていつ報告を受けたかとの問いに対して、森大臣は、釈放前日の同月三日に報告を受けていた旨述べている。この様に、菅家さん釈放に係る報告がなされた日にちについては明らかにする一方で、伊藤次長検事の謝罪に関する報告がなされた日にちについては右答弁にある様に明らかにしないのはなぜか説明されたい。
二 「前回答弁書」には「本年六月五日、森法務大臣が、記者会見において、『検察としては極めてこの事態を重く受け止めていると承知をしていまして、いずれ検察当局においてしかるべき時期に適切に対処するものと思っています。』と述べ、」とあるが、森大臣は、検察庁に対する指揮権を有し、同庁を指導監督する立場にある法務大臣として、今回菅家さんが十七年半という人生の時間を奪われたことに対し、責任を感じているか。あくまで同庁の瑕疵であり、自身に責任はないと認識しているか。
三 「会見」における伊藤次長検事の謝罪は、検察庁、法務省という組織としての、ひいてはこれら組織の最高責任者である森大臣としての、つまり全組織挙げての菅家さんへの謝罪であるのか。「前回答弁書」では何の回答もなされていないところ、再度質問する。
四 「委員会」において、今次菅家さんが釈放されたことについて、森大臣として検察庁の瑕疵を認め、森大臣が菅家さんに謝罪をするべきではないかと当方が質問したところ、森大臣は「再審請求の即時抗告審において係属中の事件に関することでございます。詳細についてはお答えを差し控えたいと思います、現時点においては。」、「私は今法務大臣として御答弁を申し上げておりますので、いろいろ個人としては思うことはございますけれども、この公の席においては、先ほど申し上げたように、まさに即時抗告審係属中の事件でございますので、これについて今私が意見を申し上げることは、裁判所との関係等々のさまざまな関係から差し控えさせていただきたいと思います。御理解いただきたいと思います。」、「私は真剣にお答えしておりますが、とにもかくにも再審請求の即時抗告審において係属中の事件でございます。そういった点を、現時点において私が申し上げられることに制限があるということを御理解いただきたいと思います。」等と、法務大臣という立場にある者として、菅家さんに対する謝罪を含め、コメントすることを避ける旨の答弁を繰り返していた。右につき、前回質問主意書で、検察庁、法務省、ひいてはこれら組織の最高責任者である森大臣が菅家さんに謝罪をせず、部下である伊藤次長検事が謝罪をするというのは、法務省という組織のやり方として異常ではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察当局においては、最高裁判所で無期懲役が確定している事件につき、刑の執行停止により受刑者を釈放するに至った事態を重く受け止め、次長検事が御指摘の発言を行うことが適当であると判断したものと承知している。」との答弁がなされている。森大臣として、検察庁を含む法務省という組織の最高責任者である自身が謝罪をするのではなく、部下が謝罪することが適当であると認識しているのはなぜか。菅家さんが十七年半もの人生の時間を奪われたことは、森大臣にとってそれほどに軽いことであるのか。
五 四の答弁には「次長検事が御指摘の発言を行うことが適当であると判断した」とあるが、右の判断が下された根拠は何か。なぜ次長検事が謝罪することが適当であると判断されたのか説明されたい。
六 五の判断を下したのは誰か。
七 「会見」では、次長検事ではなく、せめて検察庁のトップである検事総長が菅家さんに対して謝罪するべきではなかったのか。
八 前回質問主意書で、森大臣は、検察庁、法務省、ひいてはこれら組織の最高責任者として、部下である官僚をきちんと指導監督できているか、菅家さんへの謝罪の件を見ても、部下である官僚の言いなりになり、何ら指導力を発揮できていないのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねについては、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第五条第一項において、『各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。』と規定され、法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)第二条第二項において、『法務省の長は、法務大臣とする。』と規定されているとおりである。」との答弁がなされている。当方は、右の様な法制度に係る事項について問うているのではない。検察庁を含む法務省の長として森大臣は、菅家さんへの謝罪に係る対応を含め、部下である官僚をきちんと指導監督できていると認識しているか。菅家さんへの謝罪に係る対応を見ても、部下である官僚の言いなりになり、何ら指導力を発揮できていないと思料するが、森大臣の見解如何。
九 法務省の長である法務大臣として、森大臣は自ら菅家さんに謝罪をする考えはあるか。

 右質問する。



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