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平成二十一年七月二日提出
質問第六三一号

脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究促進に関する第三回質問主意書

提出者  赤嶺政賢




脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究促進に関する第三回質問主意書


 現在、脳脊髄液減少症に苦しんでいる患者は、子どもを含めて三十万人とも言われている。
 患者・家族、脳脊髄液減少症患者支援の会・子ども支援チームをはじめ関係団体は、同疾患のブラットバッチ(骨髄液の硬膜外自家血注入)療法の健康保険の早期適用を求めている。
 そのためには、「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」が、最終年を迎えても、なお遅々と進んでいない現状を踏まえて、厚生労働省としても、同研究を促進させるために、あらゆる対応と措置を講じる責務がある。そして、同疾患の診療・診断指針を早期に確立することである。私はこのことを重ねて強く要求するものである。
 そこで、私の脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究促進(以下「確立研究」という。)に関する再質問主意書に対する、平成二十一年六月二日付答弁書等に関し、さらに、いくつかの点についてお尋ねしたいので、厚生労働省は、主任研究者等からの聴取と直接調査をされた上で、明確な答弁をされたい。
 従って、以下質問する。

一 答弁書(五月十二日付)は、研究参加医療機関十五施設を挙げ、そのなかに、平成二十年度末時点で、防衛医科大学校病院と独立行政法人国立病院機構仙台医療センターの名があるが、この二施設が研究班の正式メンバーとして加えられた理由を伺いたい。
 また、二施設は、各倫理委員会での審議・承認は完了されているのかどうか明らかにされたい。
二 平成十九年度総括研究報告書(以下「十九年度報告書」という。)の「D.考察およびE.結論」では、「本研究の初年度である平成十九年度中に臨床試験のためのプロトコールを完成することができ、倫理委員会への申請後、審議開始までに時間を要した施設が多かったが、三月下旬までには、すべての施設で倫理委員会での審議が開始された」と述べている。
 さらに、同報告書は、「既に四施設で、修正なく承認されていることから、当初の研究計画どおり平成二十年度には、ほとんどの施設で患者の登録開始、症例集積が可能となる見込みである」と述べている。
 しかるに答弁書(五月十二日付)は、「登録患者の数が少なかったのは、研究参加機関の多くで倫理委員会における審査に予想以上の時間を要したため」と説明している。
 十九年度報告書の記述と、答弁書の説明は異なるものと考えるが、明確に答えられたい。
三 研究参加医療機関である、上記の四施設とは、山形大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、福島県立医科大学附属病院、徳島大学病院である。
 十九年度報告書によれば、この四施設は、平成二十年三月末までに、既に倫理委員会で審査・承認されており、答弁書(五月十二日付)の「倫理委員会における審査に予想以上の時間を要した」という理由は成り立たないと考えるが、明確に答弁されたい。
 平成二十年度の初期から、四施設においては、患者登録は開始されていたのではないのか、併せて見解を伺いたい。
四 答弁書(六月二日付)は、倫理委員会の審査の予想以上の遅れについて、「確立研究以外の研究に係る審議もあるため」及び、「倫理委員会自体の開催が数ヶ月に一度であった」旨を、主な理由としている。
 研究参加医療機関の倫理委員会において、答弁書で説明している理由および施設の個々の事情があるにせよ、他の施設の倫理委員会が四施設と比べて、審査・承認に何ヶ月も時間を要する程、審議案件が多いとは考えにくいが、具体的かつ詳細に説明されたい。
五 答弁書(六月二日付)が説明しているように、倫理委員会の審査に予想以上の時間を要したとしても、患者登録の期間二十三ヶ月のうち十六ヶ月過ぎた、現在もなお登録患者が、予定する二五〇症例の十分の一に満たない患者しか集まっていない。
 これは、十九年度報告書の内容とは、著しく異なっているものと考えるが、納得のいく説明をされたい。
六 平成二十年度総括研究報告書(以下「二十年度報告書」という。)によると、平成二十年度末時点で、研究参加医療機関等は十五施設である。これらの施設は、すべて倫理委員会の審査・承認を終了しているものと考えるが、施設ごとに審査・承認をいつ終えたのか、その時期を明らかにされたい。
七 答弁書(六月二日付)は、研究参加医療機関ごとの登録患者の内訳について、「個々の医療機関における患者数が少ないため、これを公表することにより、登録患者が特定されるおそれがある」と答えている。
 登録患者(被験者)の個人情報およびプライバシーは、厳重に保護されなければならない。答弁書によれば、主任研究者は、施設ごとの登録患者数の公表については、数が少ないために特定されるおそれがあるという趣旨の説明をしている。
 登録患者数が少ないと、何故、「特定されるおそれがある」のか、具体的に説明されたい。
 @ 二十年度報告書の「行政機関個人情報保護法に基づく追加事項」には、「患者登録票には、氏名、住所、生年月日、カルテ番号等の情報は記載されないので、個人を特定できない。被験者の特定には登録番号が用いられ、被験者情報の機密は保持される」と述べているのではないのか、見解を伺いたい。
 A 従って、登録患者・家族、医師、看護師以外に、第三者がその事実を知り患者が特定されるということは考えにくい、と思うがどうか。
 B この際、あらためて検討の上、現在の施設ごとの登録患者数を明らかにしていただきたい。
 C 研究参加医療機関等十五施設で、現在、登録患者が一例も登録されていない施設名を明らかにされたい。
八 答弁書(六月二日付)は、「登録患者の数が百名となった段階で中間的な分析を行い、それを踏まえて脳脊髄液減少症に関する診断基準の作成等を行う」と答えている。
 ここでいう診断基準とは、診療・診断指針(ガイドライン)のことなのか伺いたい。
 仮にそうだとすれば、登録患者百名で診療・診断指針(ガイドライン)を作成するという考えなのか、併せて見解を問う。
 @ 二十年度報告書は「本症例数は、検査の陽性率など不明であった研究計画段階の数字であり、登録数一〇〇例の時点で中間解析を行い、見直す可能性がある」と述べている。
  これは、どのようなことを意味しているのか説明されたい。
 A これが中間的分析とするならば、最終的な分析に基づく診療・診断指針(ガイドライン)の作成は、登録患者が二百五十名に達した段階で行うことになるのか。
 B 厚生労働省は、研究班が、目標の登録患者二百五十名を募るために関係学会のシンポジュームなどで、呼びかける努力をしている趣旨の説明している。
  そこで、いつまでに登録患者二百五十名を達成するつもりなのか、努力目標があれば明らかにされたい。
九 確立研究の研究対象者の選択基準について、答弁書(六月二日付)は「脳脊髄液減少症に関する文献及び研究班がこれまで臨床において扱った症例に関する検討を踏まえ」と答弁している。
 症例に関する検討は、いつ、どのような場で検討されたのか、具体的に伺いたい。
十 答弁書(六月二日付)は、確立研究の研究対象者の選択基準を作成する際に、参考にした文献として、国際頭痛学会・頭痛分類委員会が作成した「国際頭痛分類第二版」、脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会が作成した「脳脊髄液減少症ガイドライン二〇〇七」と答えている。
 二十年度報告書には「本研究班は、既に存在する国際頭痛学会、神経外傷学会等のガイドラインをプロトタイプとしながら」と述べている。
 「脳脊髄液減少症ガイドライン二〇〇七」は、脳脊髄液減少症の症状について、「頭痛、頚部痛、眩暈、耳鳴り、視機能障害、倦怠、易疲労感」を主要な症状と定義し、これらの症状は、「座位又は立位」により三時間以内に悪化することが多いと指摘している。
 また、神経外傷学会のガイドラインには、「起立性頭痛、又は体位による症状の変化」とあり、起立性頭痛は十五分以内の増悪、体位による症状の変化は、項部硬直、耳鳴、聴力低下、光過敏、悪心とされている。
 この二つのガイドラインそれぞれについては、どのような考えを持っているのか。
 @ 「脳脊髄液減少症ガイドライン二〇〇七」は、多くの症例を踏まえて検討が加えられ、まとめられた貴重な文献と承知している。対象症例の選択基準を作成する際に、この文献については、どのような評価をして参酌されたのか伺いたい。
 A 確立研究にあたっては、文献研究は言うまでもなく、症例研究は重要なものと考えるが、見解を伺いたい。
 B 対象症例の選択基準を作成するにあたり、他の文献とともに、「脳脊髄液減少症ガイドライン二〇〇七」を踏まえて検討したとすれば、症状を「座位又は立位により発生、あるいは増悪する頭痛」に限定するということにはなりえないと思うが、見解を伺いたい。
 C 答弁書(六月二日付)によれば、研究班は、「座位又は立位により発生、あるいは増悪する頭痛があることが最も重要であると判断」したと答えている。研究班が、多様な症状のなかで、それが「最も重要だと判断した」理由を具体的に伺いたい。
 D 脳脊髄液減少症の症状は、多症状であるにもかかわらず、初めから、研究対象者の選択基準を「座位又は立位により発生、あるいは増悪する頭痛」のみに限定するというのは、患者の症状や実態と乖離することになりはしないか。
 E 症状を限定して、患者の症状を医学的・科学的に正確に反映した診療・診断指針(ガイドライン)の作成が可能なのかどうか伺いたい。
 F 通常の医学的診断においては、一次検査、二次検査、三次検査というように段階的に、徐々に狭めていき最終的な診断を下すのが、一般的な手法と承知している。
  こうしたことなどを考慮されて、対象患者の選択基準の見直しを検討すべきと考えるが、見解を伺いたい。
十一 患者・家族や関係支援団体は、研究班のなかに、損害保険会社と密接な関係を持つ構成員が確立研究に携わっているが、中立・公正な研究が妨げられるのではないかとの危惧を持っている。また、患者らは、「厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針」の目的及び規定に抵触するのではないかとの意見を持っている。
 厚生労働省は、こうした意見等を聞いているので、利益相反委員会(COI)を主任研究者の所属する山形大学医学部附属病院に、早期に設置して、その構成員についての審議・調査を行う方向である旨、説明している。COIの設置及び構成員についての審議・調査の進捗状況はどうなっているのか明らかにされたい。
 仮に、COIが、いまだ設置されていないか、あるいは審議・調査が実施されていないとすれば、厚生労働省としては、COIに対してどのような対応を考えているのか、見解を伺いたい。

 右質問する。



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