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平成二十一年十一月二十四日提出
質問第一〇八号

内閣官房報償費に関する質問主意書

提出者  高市早苗




内閣官房報償費に関する質問主意書


 鳩山由紀夫内閣総理大臣が代表を務める民主党は、過去に、衆議院本会議や党首討論(国家基本政策委員会)における鳩山代表ご自身の発言によって、「内閣官房報償費の必要性」を否定するとともに、当時の内閣総理大臣に対して「使途の公開」を求めてきた。
 ところが、鳩山内閣発足後は一転して、内閣官房報償費を「必要なもの」として予算計上したばかりではなく、鳩山内閣総理大臣は「内閣官房報償費の存在すら承知していない」旨の発言を行い、平野官房長官は使途の公開を否定するなど、これまでの民主党の主張からは著しい変節が見られる。これは、国民の負託を軽視した行為であると断じざるを得ない。
 また、内閣官房報償費をめぐる平野官房長官の発言が二転三転したことも、内閣への信頼を失わせるものである。
 右の点を踏まえ、次の事項について質問する。

一 内閣官房報償費の「必要性」について
 鳩山内閣総理大臣は、平成十三年二月五日、衆議院本会議の代表質問で、内閣官房報償費の必要性について、「五十五年体制の政治的遺物で、官邸が持つ必要性はなくなった」と発言している。
 また、岡田外務大臣は、民主党政調会長だった平成十三年二月の記者会見で、「官房機密費(内閣官房報償費)は、細川内閣の時にやめるべきだった。こういうものは政権が変わった時しか変えられない。当時の官房長官の責任だ」と発言したと報じられている。
 ところが、鳩山内閣総理大臣は、平成二十一年十一月十九日には、記者団に対して、「国益に資するために使わせていただく貴重な資金だ」と発言したと報じられている。
 また、平野官房長官は、平成二十一年十一月二十日の記者会見で、「必要だという認識の上に立って予算計上した」、「貴重な税金なので、国益のために支出させていただく」と発言している。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 鳩山内閣総理大臣は、内閣官房報償費について、「五十五年体制の政治的遺物で、官邸が持つ必要性はなくなった」とした平成十三年二月五日の発言を撤回されるのか。
 A 撤回されるとしたら、内閣官房報償費の「必要性」について、鳩山内閣総理大臣の認識が変わった時期はいつか。
 B 鳩山内閣総理大臣が「五十五年体制の政治的遺物」と表現していた内閣官房報償費を予算計上するに至った理由は何か。
 C 岡田外務大臣は、現在も、内閣官房報償費は廃止するべきものだと考えているか。
 D 岡田外務大臣が、平成十三年二月当時と同じように、「官房機密費(内閣官房報償費)は、細川内閣の時にやめるべきだった。こういうものは政権が変わった時しか変えられない。当時の官房長官の責任だ」と考えておられるのであれば、まさに今が「政権が変わった時」であり、「官房長官の責任」で廃止する好機である。内閣の一員として、閣議や閣僚懇談会などの場において、平野官房長官に対して内閣官房報償費の廃止を進言したか。または、その予定はあるか。ないとしたら、その理由は何か。
 E 鳩山内閣総理大臣や平野官房長官が内閣官房報償費を使って守ろうとしている「国益」とは、何か。
 F 鳩山内閣総理大臣は「国益に資するために使わせていただく」と発言されたが、国益に資する使い道とは、例えばどういうものか、例示を求める。
二 内閣総理大臣自らの国民に対する説明義務について
 鳩山内閣総理大臣は、平成十三年二月五日、衆議院本会議の代表質問で、「森首相は、機密費(内閣官房報償費)のあり方と使い道を国民に説明する義務がある」と発言している。
 ところが、平成二十一年十一月五日、記者団に対して、「国民にすべてをオープンにすべき筋合いのものと思っていない」、「官房長官から『自分に任せてもらいたい』と言われているので、一切この問題には触らないようにしていきたい」と発言したと報じられている。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 鳩山内閣総理大臣は、内閣総理大臣自らが、内閣官房報償費の使い道について国民に説明する義務があるとした平成十三年二月五日の発言については、撤回されるのか。
 A また、撤回されるとしたら、その理由は何か。
三 内閣官房報償費の「使途の公開」に関する鳩山内閣総理大臣の考え方について
 鳩山内閣総理大臣は、内閣官房報償費の使途公開について、平成十三年六月二十日の国家基本政策委員会合同審査会では、「調査、解明、私たちにやらせていただきたい。私たちなら、三日間あれば、この問題、解決してみせます」、「機密費(内閣官房報償費)に関しては、徹底的に情報の公開を求めていきたいと思います」と発言された。
 ところが、平野官房長官は、平成二十一年十一月十九日の記者会見では、具体的な使途の公表については否定し、公表できない理由を「先方との関係で、適切な情報提供が可能でなくなるなら、国益や政府の諸活動に障害が出る恐れがある」とした。また、十一月二十日の記者会見では、「まずは一年間、私が責任を持って判断し、年度が終わった時に、公開できるものなのかどうかを含めて考えたい」と発言している。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 平成十三年六月二十日の国家基本政策委員会合同審査会で鳩山内閣総理大臣が発言された「調査、解明、私たちにやらせていただきたい。私たちなら、三日間あれば、この問題、解決してみせます」という言葉について、具体的には何を「調査、解明」するつもりだったのか。また、「この問題」とは、具体的に何だったのか。そして、何がどのような状態になれば、問題が解決されたと言えるのか。
 A 平成十三年六月二十日の国家基本政策委員会合同審査会で、鳩山内閣総理大臣は、「機密費(内閣官房報償費)に関しては、徹底的に情報の公開を求めていきたいと思います」とも発言されたが、徹底的に公開を求めるとした情報の範囲は、具体的に何と何だったのか。
 B 既に鳩山内閣の発足から二ヶ月以上が経過しているが、鳩山内閣総理大臣は、「私たちなら、三日間あれば、この問題、解決してみせます」という発言については、撤回されるのか。
 C 平野官房長官は、内閣官房報償費の使途の公開の是非については一年間をかけて判断する旨の発言をされている。問題の解決に要する期間が、鳩山内閣総理大臣が主張しておられた「三日間」から「一年間」に大幅に変更された理由は何か。
 D 鳩山内閣総理大臣が代表を務めておられる民主党は、野党だった時に、官房機密費流用防止法案を国会に提出している。政権交代が実現した今、法案を成立させる絶好の機会が到来していると思うが、本法案を国会に再提出する考えはあるか。
 E 官房機密費流用防止法案の提出予定がないとすれば、それはいかなる理由によるものなのか。
 F 官房機密費流用防止法案の提出予定がないとすれば、民主党が今後下野をしたとしても、本法案を国会に提出する考えはないものと理解するが、どうか。
四 内閣官房報償費の「使途の公開」に関する岡田外務大臣の考え方について
 @ 平成十四年二月十二日の衆議院予算委員会において、当時、予算委員会委員であった岡田外務大臣は、内閣官房報償費の使途公開に関し、外務省報償費がすべて大臣決裁になったことをとらえて、「できないような使い道をたくさんしているからできないわけでしょう。そこにもう少しきちんとメスを入れるという、そういう考え方はないんですか」との発言を行っている。現在も、この考え方に変更はないか。
 A 岡田外務大臣は、平成十四年二月十二日の衆議院予算委員会で、田中前外務大臣(当時)の発言を引用して、「総理は総裁候補だったときは機密費(内閣官房報償費)を批判したが、機密費を管理、使用する立場になったら機密費に対する態度が突然変わった」として、当時の小泉首相を批判している。この批判内容は、まさに現在の鳩山内閣総理大臣の変節に該当すると思うが、どう考えているか。
 B 岡田外務大臣は、外務省報償費の使途は、全て公開するべきだと考えるか。その理由は何か。
五 内閣官房報償費の「使途の公開」に関する原口総務大臣の考え方について
 @ 平成十四年一月二十八日の衆議院予算委員会において、当時、予算委員会委員であった原口総務大臣は、内閣官房報償費や外務省報償費について、当時の津島雄二予算委員長に対し、「誠意を持って国民に対する説明責任を果たすよう、御注意をいただきたい」との発言を行っている。原口総務大臣は、前記した本年十一月五日の鳩山首相の発言や十一月十九日及び十一月二十日の平野官房長官の発言をもって、鳩山内閣が内閣官房報償費に関して国民への説明責任を果たしたものと考えるか。
 A 仮に、現状をもって鳩山内閣が国民に対する説明責任を果たしていると考えておられるならば、過去の原口総務大臣の発言から大きく変節したことになると思う。変節した理由は何か。
六 内閣官房報償費の支出にあたっての「領収書の必要性」等について
 平成十四年二月十二日の衆議院予算委員会において、当時、予算委員会委員であった岡田外務大臣は、内閣官房報償費の支出に関して、「全然何に使ったかわからない、全部官房長官が領収書もとらずに勝手に決める、それはやはり私は民主主義国家としておかしいんじゃないか、そういうふうに思います」と発言している。
 内閣官房報償費の支出にあたっての領収書については、平野官房長官が、平成二十一年十一月二十日の記者会見で、「領収書が取れないものがかなりあると思うし、取ることで必要な情報が取れないこともあり得る」と発言している。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 岡田外務大臣は、現在も、内閣官房報償費の支出にあたっては領収書が必要だと考えるか。
 A 岡田外務大臣が、領収書が必要ではないと考えるのであれば、その理由は何か。
 B 岡田外務大臣が、領収書が必要だと考えるのであれば、平野官房長官に対して領収書をとるべきであることを進言したか。または、その予定はあるか。予定がないとしたら、その理由は何か。
 C 「全部官房長官が領収書もとらずに勝手に決める、それはやはり私は民主主義国家としておかしいんじゃないか」という問題意識を持っておられた岡田外務大臣は、内閣官房報償費の使途を官房長官が勝手に決めることについて、改善するべきだと考えるか。
 D 岡田外務大臣は、「民主主義国家として相応しい内閣官房報償費の在り方」とは、いかなるものだと考えるか。
 E 岡田外務大臣は、外務省報償費の支出にあたっては、領収書が必要だと考えるか。その理由は何か。
七 平野官房長官が内閣官房報償費の存在を認識した時期等について
 平野官房長官は、平成二十一年九月十七日の記者会見において、内閣官房報償費について、「そんなのあるんですか。全く承知していません」、「私自身はその部分については説明を受けていない」と発言された。
 ところが、十一月五日の記者会見では、一転して内閣官房報償費の存在を認め、河村前官房長官から事務引継ぎが行われ、その際に内閣官房報償費についても引き継がれたことを認めている。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 平野官房長官が、河村前官房長官から内閣官房報償費について引継ぎを受けたのは、九月十七日の記者会見より前か、記者会見より後か。
 A 仮に記者会見より前に引継ぎが行われていたとすると、平野官房長官は、記者会見という公式の場で事実と異なる発言を行ったことになり、政府の要職にある者として、あるまじき行為である。九月十七日の記者会見では虚偽を述べたことを認められるのか。
 B 平野官房長官は、平成二十一年十一月十九日の記者会見では、鳩山政権発足後、九月と十月の二回に分けて合計一億二千万円の内閣官房報償費を自らの決裁で内閣府に請求し、受け取っていたことを明らかにしているが、平野官房長官が初めて内閣官房報償費の存在を知った日時と、内閣官房報償費の請求方法について知った日時は、それぞれいつか。また、それぞれについて、誰から説明を受けて知ったのか。
 C 本年九月と十月に、内閣府に対して内閣官房報償費を請求した際、同月に請求しておくべき具体的な使途を想定した上で請求をしたのか。
 D 仮に、具体的使途を想定しないで内閣官房報償費を請求したとすると、合計一億二千万円という請求金額を決めた根拠は何か。
八 鳩山内閣総理大臣が内閣官房報償費の存在を認識した時期等について
 @ 鳩山内閣総理大臣は、平成十三年六月二十日の国家基本政策委員会合同審査会において、内閣官房報償費について、「調査、解明、私たちにやらせていただきたい。私たちなら、三日間あれば、この問題、解決してみせます」と、明らかに「内閣官房報償費の存在を前提とした発言」をしていた。ところが、内閣総理大臣就任後の平成二十一年十一月五日には、記者団に対して、「官房機密費(内閣官房報償費)があるのかどうかも存じていない状況で、官房長官から『自分に任せてもらいたい』と言われているので、一切この問題には触らないようにしていきたい」と、一転して、「内閣官房報償費の存在すら知らないという立場での発言」をしている。平成二十一年十一月五日の発言は虚偽であったのか。
 A 鳩山内閣総理大臣が「内閣官房報償費」というものの存在を初めて知った年月日はいつか。
九 鳩山政権における内閣官房報償費の「定義」について
 @ 鳩山政権において、内閣官房報償費とはどのようなものであると定義するのか。
 A 前記の定義について、民主党が政権にある限り、変更はないか。

 右質問する。



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