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平成二十一年十一月二十六日提出
質問第一一八号

天下り・渡りに関する質問主意書

提出者  中川秀直




天下り・渡りに関する質問主意書


 天下り・渡りの全面禁止は、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 政府は天下りとあっせんについて、十一月六日の山内康一議員への政府答弁書の中で、「天下りとは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいう」「公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らし適材適所の再就職をすることは、天下りには該当しない」という見解を明らかにしている。しかし、国家行政組織法第五条第一項には「各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する」とある。「各省の長」としての「省庁大臣」は府省庁に所属する。よって、政府の見解によれば、府省庁に属する各省大臣のあっせんは天下り禁止の対象であるはずと考える。政府は国家行政組織法第五条第一項に定める各省大臣は天下り・渡りのあっせんが禁止されている府省庁に属すると考えるか。もしも省庁大臣が府省庁に属しないという場合には、その法的根拠を明らかにして頂きたい。
二 日銀総裁人事が「天下り」ではない理由は何か。鳩山首相は民主党幹事長時代の平成二十年三月十八日、記者団に、「財務省にとって日銀総裁は究極の天下り先。財務省主導の国家ではなく、国民主導の国家を作りたい」と述べており、日銀総裁人事を「天下り」との関連でとらえていたのは明白である。さらに、鳩山首相は民主党幹事長時代の平成二十年四月九日、渡辺博史氏の副総裁同意人事について、財務省による日銀ポストへの天下り人事に対してノーと示すことが国民の理解を得られると判断したといい、「民主党としては、天下り禁止に関して錦の御旗を掲げている」と説明したと報じられている。首相就任前に鳩山首相が日銀総裁人事を「天下り」ととらえていたことは明らかである。鳩山首相の日銀総裁人事に関する天下りの定義が変わったことを政府は認めるか。認めるとすれば、日銀総裁人事に関する天下りの定義が変わった理由は何か。
三 長妻厚生労働大臣は、平成二十一年二月四日の衆議院予算委員会で以下のように、「天下りの裏ルート」を説明している。
 「一回天下ったOBの方が、後輩をそこに呼んで、そしてその団体に後輩を引っ張っていって脈々とわたりの指定席で、天下り団体に指定席としてわたり続けるということで、これは中央省庁は関知しないことになっていますので、あっせんをしていないということで、これはないことになっているウラルートでございます」
 他方、政府は、山内康一議員に対する十一月十七日の政府答弁書の中で、「「民間組織において、元国家公務員が定期的または連続的に「指定席」のように就任していた場合」については、府省庁がそのあっせんにより、退職後の職員を特定の企業、団体等に定期的又は連続的に再就職させていた場合には「天下り」に該当し、「そのいくつかのポストを歴任していた場合」については、府省庁がそのあっせんにより、特定の退職後の職員を企業、団体等に再就職させることを複数繰り返していた場合には「渡り」に該当するものと考える」としているところである。
 このように政府は、「渡り」も「府省庁のあっせん」により行ったものに限定していると考える。これは、長妻大臣が野党時代に指摘した「天下りの裏ルート」を解禁したものと解釈できる。政府は、長妻議員が今年二月四日の衆議院予算委員会で指摘した「天下りの裏ルート」を、十一月十七日の政府答弁書により解禁したと考えてよいか。このような解禁を行う理由は何か。
四 本年十一月四日の衆議院予算委員会における閣僚発言に関連して、下記についての政府の見解を問う。
 1 前原国土交通大臣が本年十一月四日の衆議院予算委員会で発言した「天下りというのは、早期勧奨退職をし、そして、今まで決まったポストにどんどんかわっていく、そしてまた、それが固定化していく、そういうものを我々は、天下り、わたり、根絶をすると言っていたわけであります」と発言しているが、この発言は政府の見解か。
  また、仙谷行政刷新担当大臣も本年十一月四日の衆議院予算委員会において「だらだらと指定席のところに当てはめていくという、ある役所の指定席のところに当てはめていくという場合は、これはもう、まごうことなき天下りであり、あっせんであるというふうに思います」と発言しているが、この発言は政府の見解か。
 2 日本郵政社長に齋藤次郎氏が就任することに伴い、同氏が株式会社東京金融取引所社長を平成二十一年十月二十七日に退任した後任として、翌二十八日には元大蔵省印刷局長の太田省三氏が就任している。太田氏以前に同ポストに就いていたのは、東京金融先物取引所理事長、東京金融先物取引所社長時代を通じて、吉田太郎一・元大蔵省財務官(平成元年四月二十五日〜平成七年五月十九日)、吉本宏・元大蔵省理財局長(平成七年五月十九日〜平成十二年五月十六日)、齋藤次郎・元大蔵事務次官(平成十二年五月十六日〜平成二十一年十月二十七日)の各氏である。
  また、日本郵政副社長に坂篤郎氏が就任することに伴い、同氏が社団法人日本損害保険協会副会長を平成二十一年十月二十八日に退任した後任として、同年十一月六日には元国税庁長官の牧野治郎氏が就任している。牧野氏以前に同ポストに就いていたのは、石坂匡身・元環境事務次官(大蔵省出身、平成十六年七月十五日〜平成十九年九月二十日)、福田進・元国税庁長官(平成十九年九月二十日〜平成二十年九月二十四日)、坂篤郎・元内閣官房副長官補(大蔵省出身、平成二十年十月十六日〜平成二十一年十月二十八日)である。
  政府は、これら株式会社東京金融取引所社長及び社団法人日本損害保険協会副会長は、大蔵官僚OBにとっての「固定的ポスト」「指定席ポスト」と考えないか。考えないとすればその理由は何か。
  鳩山政権下において、日本郵政正副社長人事に伴う株式会社東京金融取引所社長及び社団法人日本損害保険協会副会長の後任人事は、前項において指摘した本年十一月四日の衆議院予算委員会における前原大臣・仙谷大臣の発言にある天下りの「指定ポスト」「固定的ポスト」であり、政権の天下り根絶の方針に反する人事と考えるが、なぜ、政府はこれら人事を容認しているのか。
五 官僚OBによるあっせんの有無を確認するためには、「再就職等監視委員会」を立ち上げる必要がある。国家公務員法では「総理が再就職等監視委員会の委員長と委員を、国会の同意を得て任命する」ことになっており、いますぐ人選して、しっかり監視すべきと考える。政府が国家公務員法に反して再就職等監視委員会の委員長と委員を、国会の同意を得て任命しない理由は何か。政府が任命を怠ることは法律違反ではないか。
六 独立行政法人の役員人事の公募が行われているが、仙谷行政刷新担当大臣は「現在役員に就任する者も含めて、公務員OBからの応募も認める。つまり、現在、いわゆる天下りというふうな指摘を受けながら、就任しているOBの方が再度その職務にチャレンジしようとする場合には、それはどうぞ応募してくださいということ」と九月二十九日の会見で述べている。「現役出向」を容認している現状において、「現役出向」した後に「公募」を受ければ天下りができるではないか。しかも、公募の条件を官僚OBに有利にすることも可能である。政府は「現役出向」と「公募」が新たな「天下りの裏ルート」にならないようにするために、いかなる手段を講ずるのか。
七 「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」に関し、下記について政府の見解を問う。
 1 同法案で設けられる新たな機構及び機構が保有し運営する病院のポストが、「公募」により、事実上の天下り指定ポストにならないようにするために、政府はいかなる手段を講ずるか。
 2 同法案で設けられる新たな機構が保有し運営することになる、現在の社会保険病院・厚生年金病院・船員保険病院に、社会保険庁や地方自治体の社会保険局の元一般職員は、何人、どのようなポストに再就職しているか。また、何人、どのようなポストに現役出向しているか。それら国家公務員・地方公務員が再就職しているポストについて、「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」成立後、公募する予定はあるか。公募する場合の資格要件が国家公務員・地方公務員に有利にならないようにどのような工夫をするか。
八 与野党で合意した国家公務員制度改革基本法では、内閣人事局は「一年以内(=今年六月まで)を目途に法制上の措置」と規定している。政府は内閣人事局設置の法制上の措置を来年秋の臨時国会に先送りすると報道されている。今すぐ内閣人事局に関する法案を国会提出しないことは、国家公務員制度改革基本法に反すると考えるが、政府の見解はどうか。また、いつ国会に提出する予定か。

 右質問する。



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