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平成二十二年二月十二日提出
質問第一一一号

天下りの実態に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




天下りの実態に関する質問主意書


 昨年十一月二十四日に提出した「天下りの実態に関する質問主意書」に対する答弁書(平成二十一年十二月四日内閣衆質一七三第一〇六号)を踏まえて、次の点についてお尋ねしたい。

一 政府は「天下り根絶」を掲げているが、民主党が政権の座に就いてからの日本郵政の社長人事をはじめとする各種幹部人事への公務員OBの起用は、長年「天下り」の問題を厳しく追及してきた民主党の姿勢とは相容れないものと考える。
 1 政府が「天下り先」とする団体の定義をお示しいただきたい。
 2 政府が考える「天下り」の問題点すなわち、「天下り」が国民の理解を得られないと考えるのはどのような点か。具体的に例示されたい。
二 国家公務員法第十八条の六では、官民人材交流センターが内閣総理大臣の委任を受けて、同法第十八条の五第一項に規定する事務(職員の離職に際しての離職後の就職の援助)を行う旨が規定されている。また、独立行政法人通則法第五十四条の二第一項により、役員についての離職後の就職援助も行うこととされる。しかるに、鳩山内閣総理大臣は平成二十一年九月二十九日の閣議において「官民人材交流センターによるあっせんも、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き、今後は一切行わない」と発言した。
 1 「あっせん」の定義をお示しいただきたい。
 2 「あっせん」を伴わない形での公務員の再就職を認めることは、一の2でお答えの問題点に触れず国民の理解を得られるとお考えか。
 3 実際の「あっせん」の有無は、各省庁の一方的な判断に委ねられており、その真偽は国民から見た場合定かではない。政府は、「あっせん」の有無につき、判断の明確な基準を設けているのか。事前あるいは事後に、一元的に「あっせん」の有無や再就職の適否を確認する者はいるのか。
 4 国民は「天下り」によって、税金から複数回にわたって高額の報酬や退職金が支払われることを問題視していると考えられる。そうだとすれば、「あっせん」の有無にかかわらず、公務員OBは基本的に、政府の出資比率が高い団体や政府が補助金を拠出している団体には再就職できないようにすることこそ、「天下り根絶」だと言えるのではないか。今後、公費の割合に応じた規制をする用意はあるか。
 5 国民は「天下り」によって、公務員OBを介して政府と団体の不透明な関係が生じることを問題視していると考えられる。そうだとすれば、国家公務員法第百六条の四にあるような時限的な措置ではなく、恒久的に公務員OBと関係団体との接触を禁止することが望ましいとの考え方もありうる。民主党は「天下り根絶」を主張してきたが、政府として、この考え方に対してどのような見解をお持ちか。「天下り根絶」の一環として本条の改正まで視野に入れているのか、併せてお示しいただきたい。
 6 今後の官民人材交流センターのあり方について、総理は廃止する方針を明言しておられるが、廃止後に新設予定の「民間人材登用・再就職適正化センター」をめぐっては原口総務大臣が、「官民人材交流センターの衣替え」に過ぎないと指摘したように、実効性には疑問がある。原口大臣が前述のように指摘した根拠および、政府として「民間人材登用・再就職適正化センター」にどのような権限・役割を付与して「官民人材交流センター」と異なる組織にするつもりなのか、見解をうかがいたい。
三 総務省が平成二十一年十二月二十二日に公表した資料によると、平成二十一年七月一日から同年九月三十日までの間に、国家公務員法第百六条の二十五第一項等の規定に基づいて内閣総理大臣から内閣に報告された国家公務員の再就職の事例は四百五十五件にのぼる。そのうち百六十二件では、官民人材交流センターによるあっせんがあったとされている。
 1 鳩山内閣総理大臣が閣議で官民人材交流センターによる「あっせん」の禁止とも取れる発言をした後、すなわち平成二十一年九月二十九日以降の、官民人材交流センターを介した再就職の事例の有無を明らかにされたい。
 2 もしも1に該当する事例がある場合、総理の閣議での発言と矛盾していることも考えられるが、再就職の経緯や必要性、発言と矛盾していないという根拠を明確に述べていただきたい。
四 政府は天下りの禁止に伴い、独立行政法人の役員を公募制にすることとした。しかし平成二十一年十二月三十日に発表された役員の選考結果によれば、今回公募の対象となった二十七独立行政法人四十九ポストのうち、民間からの起用は再任一人を含めて四十八人、一方で公務員OBからの起用は十六人、そのうち十一人は再任となっている。公務員以外からの起用が難しい状況が露呈したと考えられるが、以下の点についてお答えいただきたい。
 1 「あっせん」がないものとはいえ、公務員OBが実質的に役員に就任しやすい環境があれば、天下りの禁止は骨抜きになる。政府が、独立行政法人役員の公募対象者から公務員を除外しない理由は何か。「あっせん」がなければなぜ就任に問題がないと言えるのか、明確にお示しいただきたい。
 2 公務員OBからの再任が決まった以下のポストについて、他に公務員OB以外の者が多数応募している。それにもかかわらず、公務員OBの再任を決定した根拠となる専門委員会の評価、報酬、最終決定権者が再任を可とした根拠を各々お示しいただきたい。
  @ 造幣局理事…財務省OB
  A 日本万国博覧会記念機構監事…警察庁OB
  B 日本原子力研究開発機構理事(二名)…内閣府OB、経済産業省OB
  C 日本私立学校振興・共済事業団理事(二名)…文部科学省OB二名
  D 原子力安全基盤機構監事…人事院OB
  E 情報処理推進機構理事…経済産業省OB
  F 鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長代理…海上保安庁OB
  G 海上災害防止センター監事…財務省OB
  H 日本高速道路保有・債務返済機構理事…国土交通省OB
 3 仙谷前行政刷新担当大臣は独立行政法人役員の公募に当たって、「公募役員には、従来の独立行政法人の役員としての業務を果たすだけでなく、独立行政法人を活性化し国民の信頼を回復するという強い決意と、改革の第一線に立って困難を克服し独立行政法人の将来を切り開く行動力を発揮し、独立行政法人の側から改革を推進していくことができる人材を必要としています。」と述べている。従来の公務員OBの役員の再任を認めても、独立行政法人の抜本的改革という目標は達成できるとお考えなのか。
 4 公募に当たって、公務員に有利な応募条件が課されているとの報道がある。応募条件は誰が、どのように決定したのか。また、応募および選考の過程で、民間出身者と公務経験者との公平性を担保する必要があると思われるが、「選考の公平性及び透明性を十分確保しながら、優秀な人材の確保に努めていく」(内閣衆質一七四第二六号)ための具体的な改善策はお考えか。今後の公募制の方針を含めてお答えいただきたい。
 5 九つのポストについては適任者がいなかったとして再公募を決めたが、「適任者」は、誰が、どのような基準に基づいて決定するのか。
五 厚生労働省所管の独立行政法人の嘱託職員として採用されている公務員OBが実際には職務以上の高給を受け取っていたことが明らかになり、政府は全省を対象に実態調査を行った。その結果、総務省所管の独立行政法人などでも同様の事例が発覚している。
 1 第百七十三回臨時国会提出の質問第一〇六号「天下りの実態に関する質問主意書」に対する答弁書(平成二十一年十二月四日内閣衆質一七三第一〇六号)「四の1について」で政府は、「府省庁によるあっせんの有無を把握していないため、「天下り」に該当するか否かについてお答えすることは困難である。」と述べている。「あっせん」が当時は規制されていなくとも、現在調査してあっせんの有無を確認することは可能ではないか。なぜ確認しないのか。
 2 同答弁書の「四の3について」で政府は「調査結果も踏まえ、必要な対策を講じてまいりたい。」と述べておられるが、今回の調査結果を受けて対策の検討は進んでいるのか。調査の規模、公表の時期、および検討している対策についてお答えいただきたい。

 右質問する。



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