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平成二十二年二月十八日提出
質問第一四五号

鯨類捕獲調査に関する質問主意書

提出者  浜田靖一




鯨類捕獲調査に関する質問主意書


 古来から捕鯨はわが国で行われており、鯨は国民の良質な動物性たんぱく質の供給源であって、捕鯨を行う地域では鯨塚を設け慰霊祭を行うところもあるなど、国民生活・地域に密着した存在である。鯨肉は伝統的食品であり、第二次世界大戦後の食糧難の時代には国民の栄養供給源として重要な役割を果たしてきた。
 わが国の鯨類捕獲調査は、一九八二年に商業捕鯨のモラトリアムが可決され、国民に密着した伝統捕鯨を基に発展した商業捕鯨が禁止されたことに伴い、国際捕鯨取締条約に基づいた正当な権利の行使として行われているものであり、科学的知見を得るためには必要なものである。
 南極海鯨類捕獲調査への妨害は近年激しさを増しているが、今年はまさに調査捕鯨に従事している人命・財産への危害が加えられるところまで危険が増大している。
 国際捕鯨委員会年次会合への対応方針と、調査捕鯨をめぐる過激な反捕鯨団体(シーシェパード)による命の危険もある妨害活動への政府の対応に関し、以下質問する。

1 南極海鯨類捕獲調査で明らかになった調査結果を示されたい。なお、調査結果の中で捕獲調査でなければ明らかにならなかった調査結果を明示されたい。
2 シーシェパードの妨害活動は、本年一月六日には抗議船「アディ・ギル号」が調査船団への執拗な追尾をしたうえ、照射した光線が人の目に当たると失明する「レーザー光線」を船団へ向け照射し、酪酸を放り込んだうえ、自ら船団へ衝突させるなど非常に危険な行動に出たのみならず、衝突し放置された抗議船からは「殺傷能力のあるボウガンの矢が四本回収」され、まだ数十本が漂っていたことが確認されている。さらに、二月六日にはシーシェパードの抗議船「ボブ・バーカー号」がレーザー光線を船団へ向けて繰り返し照射し、衝突してきている。この抗議(妨害)船は総トン数が七八八トンもあり、衝突の具合によっては衝突された調査船が沈没する危険があるものである。
 政府からの特別の許可によって、国際捕鯨取締条約に基づいたわが国の正当な権利の行使を行っている国民である民間人への危害、それも命に係る危険に直面させられている事態をどのように認識しているのか、お伺いしたい。
3 政府におかれては、今回の妨害工作を受けこれまでどのような対応をしてこられたのか、総理官邸、農林水産省、外務省、内閣府、国土交通省、それぞれの所管ごとに行った対応を明示されたい。
4 シーシェパードの抗議船は船籍国と異なるノルウェー国旗を掲げたり、船籍国旗とノルウェー国旗との二カ国の国旗を掲げたりしているが、これは国際法上違法ではないのか、このことだけでも無国籍船に該当するのではないのか、お伺いする。
5 シーシェパードの抗議船が航行中の船へ衝突してくることは違法ではないのか、航行中の他の船へ向けて失明の危険がある「レーザー光線」を照射することは違法ではないのか、航行中の船の進行を妨害することは違法ではないのか、お伺いする。
6 二月十五日にはシーシェパードの抗議船から、シーシェパードのメンバー「アディ・ギル号の船長」が一人、捕鯨調査船団の第二昭南丸へ防護用ネットを破って侵入し、身柄を拘束された。本侵入者は二月十一日に酪酸が投げ込まれ船員三名の顔にかかった事件についても実行犯と認めているが、政府におかれては同人を今後どう取り扱われるのか、政府としての対応について、お伺いする。
7 シーシェパードの抗議船の今回の数次にわたる妨害行動は、明らかにわが国国民の生命・財産への侵害を目的としていると見えるが政府はどのように判断されているのか、お伺いする。
8 シーシェパードは反捕鯨キャンペーンとしての南極海鯨類捕獲調査への妨害活動の後、地中海のクロマグロ漁の妨害を行うことを宣言しているが、今年の妨害活動をみると真に生命への侵害が心配されるところであり、他の無垢の国民に生命の危険が及ばないよう、昨年成立した「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」に基づいた独立国家として当然の行動を、この反捕鯨団体の妨害活動にも適用し、早期に起こすべきだと考えるがいかがか、お伺いする。
9 赤松広隆農林水産大臣は、大臣就任以前には民主党の捕鯨議員連盟の副会長に就任されておられたので、捕鯨に係る交渉の経緯及び内容を十分に存じ上げたうえでの発言だと思うが、二月五日の記者会見において「IWC(国際捕鯨委員会)の総会に、許されれば、私自身が出て、新たな提案もきちっとして、特に、日本の沿岸の商業捕鯨を認めさせると、ミンククジラのですね、その代わり、一定程度、南太平洋の方のサンクチュアリを作るだとか、あるいは、今の調査捕鯨のあり方をもう少し見直すとかいうような妥協案も含めながら、今の四分の三では、何をやったって全然変わりませんから、そういうことを、アメリカも含めて、今、いろいろ相談をしながら、何とかそれで四分の三集められるように努力をしていると。」と述べられている。「日本の沿岸の商業捕鯨を認めさせる」、「今の調査捕鯨のあり方をもう少し見直すとかいうような妥協案」、「南太平洋の方のサンクチュアリを作る」というようなことを、政府において相談されているのか、相談されているとすればどのような場で相談されているのか、相談に与っているのは誰なのか、会見で述べられたことは農林水産省政務三役の一致したご意見か、外務省政務三役も一致しておられるのか、官邸も一致しているのか、それぞれについて、お伺いする。
10 赤松広隆農林水産大臣は、二月五日の記者会見で「アメリカも含めて、今、いろいろ相談をしながら」と述べておられる。記者会見で述べられたということは世界に向けて発信されたということだが、「サンクチュアリを作る」、「商業捕鯨を認めさせる」、「調査捕鯨のあり方をもう少し見直す」ということを既にアメリカに提案されたのか、提案が済んでいるのであればアメリカはどのような反応だったのか、アメリカ以外にはどの国に提案されたのか、そしてそれぞれの国はどのような反応だったのか、またどのような立場のどなたがそれぞれの国のどのような立場のどなたに提案されたのか、お伺いする。
 また、記者会見で赤松広隆農林水産大臣が述べられたことは、赤松広隆農林水産大臣の責任での提案か、農林水産省政務三役の責任での提案か、政府全体で一致し、政府全体の責任としての提案なのか、お伺いする。

 右質問する。



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