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平成二十二年三月十五日提出
質問第二五九号

東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議及び法務省政務三役の説明に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議及び法務省政務三役の説明に関する質問主意書


 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども人質≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文一」という。)が掲載されている。右に対し本年二月三日、東京地方検察庁の谷川恒太次席検事は、「上杉論文一」は事実でないとする抗議文(以下、「抗議文」という。)を週刊朝日の山口一臣編集長に出している。また「抗議文」に関し、週刊朝日二月十九日発売号の二十一頁から二十三頁にかけて、「暴走検察の果て 東京地検の『抗議』に抗議する」との見出しの、「抗議文」に対して上杉氏が抗議する内容の論文(以下、「上杉論文二」という。)が掲載されている。
 まず「抗議文」には、
「@ 当該検事が、押収品の返却名目で『女性秘書』(以下「供述人」という。)をだまして呼び出した(二十二頁三段目、二十四頁二段目)。
 A 供述人が子供を迎えに行く必要があるので一旦帰るか、あるいは家族に連絡させてほしいと言ったのに、当該検事がこれを許さなかったため、供述人はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸状態に陥った(二十二頁二段目、二十三頁四段目、五段目)。
 B 供述人が『せめて夫に電話させてほしい』と何百回も繰り返し哀願した結果、夫への電話が認められた(二十三頁五段目、二十四頁一段目)。
 などとする全く虚偽の事実が記載されている。」
と、東京地方検察庁特別捜査部の民野健治検事が、石川知裕衆議院議員の女性秘書に対し、「上杉論文一」に書かれてある様な対応をとった事実はない旨述べ、更に右の@からBに関し、実際はどの様な対応をとったのかについて、
「@ 当該検事は、供述人に対し、『何点か確認したいことがある』旨を告げて来庁を依頼した。
 A 夕刻、供述人から、子供の迎えもあるので帰りたい旨申出があったので、当該検事が、『家族の誰かに代わりに迎えに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたところ、供述人が夫に電話をかけ、その結果、子供の迎えの都合が付いたことから事情聴取が続けられたものであり、その際、供述人が子供の迎えだけは行かせてほしい旨発言したり、取り乱したりしたことはない。
 B 事情聴取中、供述人から、家族や事務所に連絡したい旨の申出が何度かあったが、当該検事がこれを拒絶したことはなく、供述人は、その都度連絡を取った。当該検事は、本件事情聴取中、終始、冷静かつ丁寧に対応しており、『恫喝』、『監禁』、『拷問的』などと評されるような言動は一切とっていない。」
との説明がなされ、右につき「上杉論文二」においては、
 @について
 「民野検事が『何点か確認したいことがある』と言ったのは事実であるが、正確には『押収品の返却の他に、何点か確認したいことがある』と発言している。それに対して、女性秘書は『押収品の返却ですね』と三回も聞き直したにもかかわらず、結局、それはウソだった。
  また、〈来庁を依頼した〉とあるが、それもまったく違う。『午後一時四十五分に来てください』と有無を言わさず『出頭』の時刻を指定して呼び出している。だからこそ押収品の返却だと信じた女性秘書は、コートも羽織らず、ランチバッグひとつで検察庁に出かけたのだ。」
 Aについて
 「検事が『家族の誰かに代わりに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたことになっているが真相は真逆だ。それは母親からの依頼である。
  しかも、繰り返しの哀願でようやくかけることのできた夫への電話も、その時点で保育園への迎えの都合はついていない。だから、それによって聴取が続けられたというのも虚偽である。しかも、夫は仕事中で迎えに行けず、女性秘書の別の親族が迎えに行っている。夫への電話で子どものお迎えの都合がつかなかったことで、この瞬間、この若い母親はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸症候群に陥ったのだ。」
 Bについて
 「これもまったくの虚偽であり、悪質極まる。
  騙し聴取の始まった十三時四十五分直後から女性秘書は繰り返し外部への連絡を求めているが、民野検事はことごとく拒否している。初めて外部と連絡が取れたのは、先述した夫への電話で、窓の外が暗くなった夕刻である。抗議書にはなぜか記述がないが、繰り返し要請した弁護人への連絡も、解放直前の二十二時半になって初めて許されている。
  そしてその電話によって、長時間拘束されていることを知った弁護人が、東京地検へ電話をし、女性秘書の解放につながったのだ。
  また、『終始、冷静かつ丁寧に対応』したとあるが、それも真っ赤なウソである。
  夕刻、無言の女性秘書に対して、『本当のことを言わないから、帰れないんだよ!』と声を荒げ始めている。女性秘書が大きな声を出さないようにお願いするが、まったく聞く耳を持たなかった。密室で初対面の男性と二人きり、しかも相手は圧倒的に立場の強い検事である。その人物から怒鳴りあげられたこの時の彼女の恐怖心はいかばかりだっただろう。結局終始、民野検事は大声をあげ、女性秘書に向かって怒鳴り続けた。
  『いいんだよっ!とにかく、本当のことを言えばいいんだよ!』
  こうしたことが、女性秘書に精神的苦痛を与え、ショック状態に至らしめたことは想像に難くない。」
との反論がなされている。
 右と「政府答弁書一」(内閣衆質一七四第一九七号)、「政府答弁書二」(内閣衆質一七四第一五一号)及び「政府答弁書三」(内閣衆質一七四第九七号)を踏まえ、質問する。

一 「政府答弁書三」及び「政府答弁書二」で千葉景子法務大臣は「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」、「『石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いている』との御指摘は当たらない」と、「上杉論文一」及び「上杉論文二」により、国民が検察当局に対して疑問、不信感を抱いていることはないとの答弁をしている。しかし、右の二つの論文は、検察当局が立場の弱い者を脅し挙げ、無理矢理自白に持ち込み、自分達に有利な状況を作り出そうとする姿を描いているものであり、例えば昨年八月の第四十五回衆議院議員総選挙において、当方は約四十三万の票を獲得し当選したが、当方の支持者の多くは、被疑者のみならず、将来参考人や証人となる人物に対して強圧的、脅迫的な取調べをする、または、報道機関に捜査上知り得た情報を流し、世論を誘導する等の検察当局の手法に大きな疑念を抱いている。先の質問主意書で、右に触れ、法務省政務三役は、一般国民が「上杉論文一」及び「上杉論文二」を読んでも、何ら検察当局による捜査の手法に疑念を抱くことはないと考えているのかと問うたところ、「政府答弁書一」では「特定の週刊誌の記事が個々の読者に与える影響については、政府としてお答えすべき立場にない。」との答弁がなされている。しかし法務省政務三役が、右で指摘している様に、「政府答弁書三」及び「政府答弁書二」において、「上杉論文一」及び「上杉論文二」により、東京地検特捜部の事情聴取のあり方について国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いているとの当方の指摘は当たらないと述べている。右は、「特定の週刊誌の記事が個々の読者に与える影響」について、政府として答えたことに他ならないのではないか。法務省政務三役は、なぜこの様な矛盾した答弁をするのか。
二 これまで累次に渡り指摘しているが、東京地検は、「上杉論文一」に対して「抗議文」を出し、明確な抗議をしているものの、「上杉論文二」に対しては何の抗議もしていない。「政府答弁書二」では「当初の抗議で十分と考えられる場合もある」とされているが、先の質問主意書で、法務省政務三役が、東京地検の対応としては「抗議文」を出すだけで十分であり、「上杉論文二」に対する反論をする必要はないと考えている根拠は何かと問うたところ、「政府答弁書一」では「一般論として申し上げれば、捜査機関は、特定の週刊誌の記事の内容が個別具体的事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄である場合は、必要に応じて抗議をすることを含め、適宜適切に対処しており、当該記事の内容や捜査・公判の遂行に対する支障の有無等にかんがみ、同一の事柄について複数の記事が掲載されたとしても、当初の抗議で十分と考えられる場合もあるものと承知しているが、個別具体的事件における検察当局の対応の根拠については、捜査・公判の具体的内容にかかわる事柄であるので、答弁は差し控える。」との答弁がなされている。法務省政務三役として、「上杉論文二」が出されてから、東京地検が何の反論もしていないことが妥当であるとする根拠を示すことを拒否するのなら、いくら「当初の抗議で十分と考えられる」と述べたところで、また、いくら「政府答弁書三」及び「政府答弁書二」で「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」、「『石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いている』との御指摘は当たらない」と述べたところで、国民に対し、何の説得力もなく、東京地検、ひいては検察当局に対する国民の信頼は得られないのではないか。法務省政務三役の見解如何。
三 法務省政務三役として、東京地検に対し、「上杉論文一」に対する「抗議文」同様、「上杉論文二」に対しても明確な反論をする様、指示する考えはあるか。
四 三で、法務省政務三役として、その様な指示をする考えがないのなら、それは法務省政務三役としても、「上杉論文二」にある様に、民野検事が実際には嘘をついて石川代議士の女性秘書を呼び出したこと、同秘書が自身の家族はじめ外部と連絡を取ることをなかなか許さなかったこと、また同秘書に対して「本当のことを言わないから、帰れないんだよ!」、「いいんだよっ!とにかく、本当のことを言えばいいんだよ!」等と、大声を出し、怒鳴りあげ、精神的ショックを与えたことは事実であった、または、少なくともその様な事実があったことはないと明確に否定はできないと認識していると理解して良いか。確認を求める。
五 「上杉論文一」及び「上杉論文二」において、その事情聴取の違法性、非人道性を指摘されている、検察当局、東京地検は、紛れもない政府機関であり、政府の一部を成す組織である。そうであるのにも関わらず、それらについて指摘した「上杉論文一」及び「上杉論文二」に対して、「政府答弁書三」等で法務省政務三役が「個々の週刊誌の記事の内容に関し、政府として答弁することは差し控える」とだけ答弁し、政府の一部である東京地検において行われたことについての説明を一切拒むことは、やはり法務省政務三役としての職務怠慢であり、国民に対する説明責任を拒んでいることに他ならないのではないか。例えそれが「個々の週刊誌の記事の内容」に関するものであっても、政府について書かれたものであるのなら、政府として然るべき説明をするべきではないのか。

 右質問する。



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