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平成二十二年三月十六日提出
質問第二七二号

検察官による取調べの実態等に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




検察官による取調べの実態等に関する第三回質問主意書


 前々回質問主意書で、取調べ中に被疑者に対して殴る、蹴る、被疑者を壁に押しつけ、身動きをとれなくするといった暴行を働き、または机を叩く、大きな声を出し暴言を吐くといった威嚇をし、それが表沙汰になり罷免された、若しくは自ら職を辞した検察官は過去にいるかと問うたところ、「前々回答弁書」(内閣衆質一七四第一七一号)では、過去に四名の検察官が、取調べの相手方に右の内容の暴行を加える等の行為を働き、懲戒処分又は法務省の内規に基づく処分を受けていることが明らかにされている。
@ 平成五年十月、取調べの相手方二名にそれぞれ足蹴りするなどの暴行を加え、傷害を負わせる。同年十一月に免職処分を受ける。退職金の支払いはなし。
A 平成二年七月、取調べの相手方の顔を突き上げる暴行を加え、傷害を負わせる。平成六年六月に停職三カ月の処分を受け、その後退職する。退職金の支払いはあり。
B 平成六年三月、取調べの相手方の面前にあった机を持ち上げて床に落とし、同机の下端を同人に接触させ、傷害を負わせる。同年十月に停職三カ月の処分を受け、その後退職する。退職金の支払いはあり。
C 平成十三年三月、取調べの相手方に威迫的で不適切な発言を行う。平成十七年十二月に法務省内規に基づく厳重注意処分を受け、その後退職する。退職金の支払いはあり。
 右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第二一八号)を踏まえ、再度質問する。

一 前回質問主意書で、@からBの検察官による暴行は、それぞれいつ、どの様にして発覚したのか、実際に暴行が行われた時期とそれが発覚した時期に相違があるが、それはなぜか等と、その経緯を問うたところ、「前回答弁書」では「御指摘の三名の検察官が取調べの相手方に暴行を加えた件が発覚した経緯については、関係文書が保存されていないため、お尋ねにお答えすることは困難である。」との答弁がなされている。@からBの検察官による暴行が発覚した経緯、また実際に暴行が行われた時期とそれが発覚した時期に相違がある理由を明らかにすることは、行政に対する国民の理解、信頼を深める上でも重要であり、可能な限りの情報を国民に開示する必要があると承知する。少なくとも、A及びBの検察官が取調べの相手方に暴行を行った後、なぜこれほどの間それが発覚せず、隠されてきたのかを明らかにしない限り、検察官に対する国民の不信が消えることはないと考えるが、千葉景子法務大臣はじめ法務省政務三役の見解如何。
二 @からBの検察官は、それぞれ単独で取調べを行っていたか。単独ではなく、記録係等の他の者はその場にいたか。
三 二で、@からBの検察官が単独で取調べを行っていたのではなく、記録係の事務官等、他の者がその場にいたのなら、その者は@からBの検察官による暴行を目にしていたはずである。特にA及びBの検察官が取調べの相手方に暴行を行った後、それぞれ約四年、約七カ月もの間それが発覚しなかったということは、右のその場にいた他の者が、然るべき報告を怠っていたことに他ならないと考えるが、法務省政務三役の見解如何。
四 @からBの検察官による暴行が発覚した経緯、また実際に暴行が行われた時期とそれが発覚した時期に相違がある理由、そして右検察官が取調べを行っていた場にいた他の者がなぜ暴行の事実を報告していなかったのかにつき、関連文書が保存されていなくとも、当時の様子を知る現職の検察官等の関係者に聞き取りをする等の方策により、ある程度の概要を把握することは可能ではないのか。
五 前回質問主意書で、Cの検察官による威迫的で不適切な発言は、いつ、どの様にして発覚したのか、また右の者は、具体的にどの様な内容の発言をしていたのか、更に威迫的で不適切な発言を行ったのは平成十三年三月であるのに、なぜその後約四年九カ月も経ってから、ようやく厳重注意処分が下されることとなったのかと問うたところ、「前回答弁書」では「御指摘の検察官は、平成十三年三月に、取調べ中の被疑者の言動に触発されて感情的になり、当該被疑者に対し、『ふざけんなこの野郎、ぶっ殺すぞ、お前。』などと威迫的で不適切な発言を行い、平成十四年十月に、当該被疑者が起訴された刑事事件の公判において、同発言を行ったことを証言したものであり、その後の公判の推移等を踏まえつつ、平成十七年九月に同事件の判決が確定した後に当該検察官に対する厳重注意処分が行われたものと承知している。」との答弁がなされている。Cの検察官についても、取調べの際、記録係の事務官等、他の者はいたと思料するが、確認を求める。
六 五の者は、Cの検察官の威迫的で不適切な発言について、然るべき報告をしているか。していないのなら、それはなぜか。
七 「前回答弁書」では、@からCの検察官の不祥事に関し、それぞれ監督責任を有していた検事正や次席検事及び部長等に対して戒告の懲戒処分が行われていることが明らかにされている。しかし、二及び五の、@からCの検察官が取調べを行っていた際に居合わせていた他の者も同様に何らかの責任を負い、処分を受けるべきであると考えるが、それらの者に対し、何らかの処分は下されているか。
八 「前々回答弁書」に「法務省において把握している範囲では、過去に取調べの相手方に暴行を加えるなどして懲戒処分又は法務省の内規に基づく処分を受けた検察官は四名である。」とあることにつき、前回質問主意書で、右の「取調べの相手方」とは、逮捕された被疑者のみを指しているのか、例えば将来参考人、証人となる者、または検察庁として任意の事情聴取を求めた者等、逮捕された被疑者を除く者(以下、「被疑者以外の者」とする。)も含まれているかと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねの『取調べの相手方』には、御指摘の『被疑者以外の者』も含まれている。」との答弁がなされている。また「前回答弁書」では、@からCの検察官のうち、@とAの者が、「被疑者以外の者」に対して暴行を行っていたことが明らかになっている。「被疑者以外の者」とは具体的にどの様な立場の者であるのか説明されたい。
九 前回質問主意書でも指摘したが、平成十四年六月十九日に逮捕され、四百三十七日間に渡る勾留を受けた当方の事件に関連し、「被疑者以外の者」として東京地方検察庁特別捜査部による事情聴取を受けた人物は、検察官から「こちらの狙いは鈴木だ。あなたは捕まる心配はないのだから、鈴木に不利な話をしろ」との旨の威迫的で不適切な発言をされ、または、予め質問とそれに対する回答案が書かれた文書を渡され、公判ではそれに沿って話すことを強要され、ただひたすらそれを読む練習をさせられている。現実に当方は、それを証明する陳述書等を複数所有している。この様に、「被疑者以外の者」に対する、検察官による違法な取調べ、または事情聴取の中にも、表沙汰になっていないだけで、懲戒処分に値する、違法な行為が行われている事例はあり、また逮捕された被疑者に対する検察官の取調べについても同様に、表沙汰になっていないだけで、@からCの事例の他にも、違法な行為が行われている事例はあると考える。右につき、「前回答弁書」では「御指摘のような事例は承知しておらず、調査する必要があるとは考えていない。」との答弁がなされている。法務省政務三役が右で指摘した様な事例を承知していないことが、即ちその様な事例がないこととはならないと考えるが、法務省政務三役の見解如何。
十 角川学芸出版より発行されている「真実無罪」という著書の百九十七頁から百九十八頁にかけて、
 「訂正を願い出ると、尾形は、突然、イスから立ち上がり、両手でベルトをつかんで仁王立ちになると、『お前、殴り倒すぞ。張り倒すぞ。村上正邦、見苦しいぞ、お前を先生と呼ぶ価値はない。おい、村上だ』と、罵声を浴びせかけてきた。(中略)『お前、村上、きさま、チンピラやくざよりまだ悪いな。チンピラやくざよりも劣るよ』『お前は国会の証人喚問で「腹を切る」と言ったよな。いま、私の目の前で腹を切ってみろ。切れるものなら切ってみろ』『口先三寸で人を利用して。玉置(和郎)先生はお前のことをエゴの塊だと言っていたようだ』『検察は、徹底的に対決するからな。お前のような国会議員がいたと思うと情けない。裏と表がありすぎるんだよ。裏の部分を世間に明らかにしてやる。新聞記者を集めて公開してやるよ。お前がいかに巧言令色かということを証明してやる。覚えておけ。三途の川に送って、国民を欺瞞したお前の舌を二、三枚抜いてやる。あなたは今、どういう立場にいるか知ってるかい。コンクリートの地獄の中にアリが落ちたようなものだよ。這い上がるすき間はないんだよ。そのコンクリートのふたを閉めてやる』」
と、二〇〇一年三月、受託収賄の容疑で逮捕された村上正邦元参議院議員に対し、尾形なる検察官が右の様な暴言を吐き、村上氏を威迫している様子が描かれている。法務省政務三役は、「真実無罪」における右の記述を承知しているか。
十一 十で触れた、「真実無罪」における記述は事実を反映したものか。
十二 十で触れた「真実無罪」における記述が事実なら、村上氏の取調べをした尾形なる検察官は、検察官として異常な取調べを行ったのであり、@からCの検察官と同等もしくはそれ以上に厳しい懲戒処分を受けるべきであると考えるが、法務省政務三役の見解如何。
十三 法務省政務三役が把握していないだけで、@からCの検察官の事例の他にも、九で触れた当方の事例や、また十で触れた村上氏の様に、他の検察官により、違法な取調べが行われている事例は確かにあると考える。法務省政務三役は、ただ「御指摘のような事例は承知していない」とするのではなく、発覚してはいないが、その様な事例が隠されていないかどうか、改めて調査をするべきではないのか。

 右質問する。



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