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平成二十二年四月二日提出
質問第三五〇号

一九六〇年の日米安全保障条約改定時における核持ち込みに係る密約に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




一九六〇年の日米安全保障条約改定時における核持ち込みに係る密約に関する第三回質問主意書


 昨年九月十六日、岡田克也外務大臣は、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、いわゆる密約(以下、「密約」という。)があったと言われている、
 @ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
 A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
 B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
 C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
の四点につき、徹底した調査を命じる大臣命令を同省に出した。そして本年三月九日、岡田大臣は、「委員会」による「密約」に関する調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表している。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第二九九号)及び「前々回答弁書」(内閣衆質一七四第二四一号)、「政府答弁書」(内閣衆質一七三第一〇一号)を踏まえ、再度質問する。

一 「報告書」では@の密約に関し、特に次の記述がなされている。
「第二章 核搭載艦船の一時寄港
 (中略)
 (4) 結論
 (中略)
  (ニ) 日本政府の説明は、嘘を含む不正直なもの。民主主義の原則から、本来あってはならない。ただしその責任と反省は、冷戦という国際環境と国民の反核感情との間の容易ならざる調整を踏まえるべき。」
 この度「委員会」、ひいては外務省、つまり政府として、@の密約があったことを明確に認めているが、過去に当方が提出した質問主意書に対する政府答弁書では、例えば「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)の下での核兵器の持込みに関する事前協議制度についての日米間の合意は、日米安保条約第六条の実施に関する交換公文及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解がすべてであり、秘密であると否とを問わずこの他に何らかの取決めがあるという事実はない。」と、それに反する虚偽の答弁がなされてきた。前々回質問主意書及び前回質問主意書で、これらの答弁は同省のどこの課において、誰の責任の下、起案・作成されたのか、また、右の答弁を同省として決定する際に、その決裁に関わった同省職員は誰かと問うているが、「前々回答弁書」及び「前回答弁書」でも、「お尋ねの答弁書は、当時、外務省北米局において起案し、外務省においてしかるべく決裁を経た上で、内閣として決定したものである。」との答弁が繰り返されているだけであり、官職氏名が明らかにされていない。同省として、虚偽の答弁書を起案・作成し、それを同省として決定する際の決裁に関わった者の官職氏名を明らかにできない理由は何か。
二 先の質問主意書で、@の密約に関して虚偽の答弁書を起案・作成し、それを外務省として決定する際の決裁に関わった者は、今次岡田大臣が@の密約の存在を認める方針を固めたことに関し、どの様な認識を有しているかと問うたところ、「政府答弁書」では「いわゆる『密約』の有無をめぐる問題については、本年九月十六日の岡田外務大臣の大臣命令に基づき引き続き調査中であり、調査内容に係る事柄については、調査結果について予断を与えるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。」との答弁がなされていた。前回質問主意書で、「密約」に関する調査が終了し、「報告書」が提出され、@の密約の存在が明らかになった今、右の者はどの様な認識を有しているのか説明を求めたが、「前回答弁書」では何の答弁もなされていない。今次質問主意書において、右につき再度質問する。
三 先の質問主意書で、@の密約の存在が明らかになった場合、@の密約に関して虚偽の答弁書を起案・作成し、それを外務省として決定する際の決裁に関わった者に対して何らかの処分は下されるかと問うたところ、「政府答弁書」では「お尋ねについては、現在行っているいわゆる『密約』の有無をめぐる問題に関する調査の結果も踏まえ、適切に対処してまいりたい。」との答弁がなされていた。「密約」に関し、「前々回答弁書」では「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今回の作業が外交に対する国民の信頼回復につながることを期待しており、今後とも、国民と共に歩む外交を実践し、国民の負託にこたえる外交の実現に努力していきたいと考えている。」との答弁がなされている。前回質問主意書で、外交に対する国民の理解と信頼を回復させる上でも、「報告書」が公表され、@の密約の存在が明らかになった今、右の者に対し、やはり何らかの対応をとる必要があるのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「昨年九月十六日の岡田外務大臣の大臣命令に基づく調査開始前に決定されたお尋ねの答弁書は、政府としてのそれまでの一貫した立場を答弁してきたものである。したがって、これらの個々の答弁書の作成等に関与した職員について、その認識を問い、また、何らかの対応をとる必要があるとは考えていない。」と、岡田大臣として、右の者に何らかの対応をとることは考えていないとの答弁がなされている。岡田大臣は、かねてより国民の信頼と理解を得ずして外交は行えないと主張してきたと承知する。当方もその考えに完全に同意するものであり、またそのためには、「密約」についても、なぜこれまで国民を騙す答弁が作られてきたのか、その責任は誰が負うべきであるのか、事実関係を明らかにし、事実は事実として、国民にきちんと伝えることが必要不可欠である。「前々回答弁書」では「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾である」とされているが、前自民・公明政権において、国民を騙す答弁書が作られてきたことに対する責任は誰が負うべきであるのか、そもそもなぜこの様な嘘をつく答弁書が作られるという行為が行われてきたのか、岡田大臣として、その事実関係を国民に明らかにする考えはあるか。
四 「前回答弁書」にある様に、岡田大臣は、@の密約について嘘をつく答弁が作られてきたのは、当時の政府としての一貫した立場を反映したものであると認識しているものと思料する。では、前政権において、国民を騙す答弁書が作られてきたことに対する責任は、外務省において虚偽の答弁を作り、その決裁に関わった者ではなく、あくまで当時の政府、つまり内閣総理大臣、外務大臣等の閣僚が負うべきであると考えているということか。
五 岡田大臣として、前政権において、@の密約に関し、当方の質問主意書に対して嘘の答弁書を作ってきた、当時の総理大臣、外務大臣の任にあった者に対し、何らかの対応をとることは考えているか。

 右質問する。



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