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平成二十二年十一月二十四日提出
質問第一九一号

脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究促進に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究促進に関する質問主意書


 現在、脳脊髄液減少症に苦しんでいる患者・子どもたちは全国で数十万人とも言われている。患者・家族・関係者は、一刻も早い治療法の確立と、同疾患で有効とされているブラッドパッチ療法の保険適用を切実に求めている。
 厚生労働省は平成十九年度より「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究班」(以下「研究班」という。)を立ち上げ、研究班は同疾患の診断や治療の指針(ガイドライン)の作成をめざしている。私も国会質問・質問主意書で重ねてその研究の促進を求めてきた。しかるに先般、研究班はその研究期間を平成二十四年度までに延長した。
 国・厚生労働省は今度こそ研究班が成果・結果を出すために、指導力を発揮してあらゆる対応・措置をとる責務があると考える。
 本年十一月十二日の衆議院厚生労働委員会でわが党の高橋千鶴子議員も同研究の促進を強く求めている。同委員会で明らかにされた点もふまえ、以下質問する。

一 厚生労働省の今後の対応について
 1 患者・関係者は日々過酷な病状に苦しみ、高額な医療費の負担に悲鳴をあげている。こうした患者・関係者の期待にこたえきれず、公的研究班が当初予定の三年間に診断・治療の確立ができなかった結果に対して、厚生労働省としてどう受け止めているか。
 2 前述の厚生労働委員会で細川律夫厚生労働大臣は「国としても、この研究を促進していくということは大変大事なこと」と考え、「できるだけ早く研究成果が取りまとめられるように期待もいたしておりますし、頑張ってみたい。」と答弁されている。厚生労働省は、本年度中に、どのような具体的手立てをとろうとしているのか。
 3 患者・関係者はブラッドパッチ療法の一刻も早い保険適用を求めている。あらためて問うが、厚生労働省として、遅くとも平成二十四年度の中央社会保険医療協議会の保険適用検討に研究結果を間に合わせようという考えはあるのか。
二 研究班の進捗状況について問う。
 前述の厚生労働委員会の中で、登録患者数は「平成二十二年八月の段階で、中間解析に必要な百症例が確保された。」ことが報告され、「今年度で診断に関するガイドラインを作成するのが目標」ということが確認された。
 1 今年八月で百症例は超えたとのことだが、その後、今現在、症例(登録患者の数)はいくつ集まっているのか。
 2 昨年私が、研究参加医療施設ごとの症例数の内訳を求めたのに対し、平成二十一年六月二日の政府答弁書(内閣衆質一七一第四三六号)において「研究参加医療機関ごとの登録患者数の内訳については、個々の医療機関における患者数が少ないため、これを公表することにより、登録患者が特定されるおそれがある」として明らかにしていない。しかし現在登録患者数は百症例を超えて、患者数が少ないという理由はあたらない。患者からの研究協力参加をよびかけるためにも、再延長に臨み、研究参加医療施設ごとの症例数の内訳を再度問う。
 3 十六参加施設のうち、症例が一つも集まっていない施設、「ゼロ症例」の施設があるとのことだが、それは何施設あるのか。「登録患者が特定されるおそれ」はないので、明確に答えられよ。
 4 十六参加施設のうち十症例以下の施設はいくつあるのか。
 5 子ども(十五歳以下)の症例はどのくらい集まっているのか。
 6 研究の再延長にあたって、平成十九年度、平成二十年度には研究会議は何回もたれたのか。
 7 研究班は、平成二十一年度においては、どのような具体的活動をされたのか。研究班は日常的にはさまざまなメール等で連絡をとっているとのことだが、診療指針(ガイドライン)を決定するために、(当初の研究期間の)最終年度の研究会議は特に重要であったと思われる。平成二十一年度は、何回研究検討会議をもたれたのか。
 8 今年度の研究会議は何回もたれたのか。日にちと場所を明らかにされたい。
 9 今年度中にいつ、どのような形で研究班の中間解析と治療・診断基準(ガイドライン)の作成等の発表はおこなわれるのか。
 10 数十万の患者がいると言われている中で、研究班が集めた症例数はまだまだ少ないと言わざるをえない。この間、研究班は医療機関の追加に努力されているが、最新の成果を生かした、さらなる臨床研究体制の促進が必要と思われる。そのために、実際に治療実績をあげている医療施設のさらなる研究班追加を求める考えはないのか。
 11 研究班は「座位または立位で悪化する頭痛」をもった患者のみを研究対象としている。「座位または立位で悪化する頭痛」が症状としては最も重要であるからとの回答だが、患者の多くは「頭痛のみを対象とした厳しい診断基準ができれば、多くの患者がはずされることにならないか」と大変危惧している。多様な症状・経緯をたどるのがこの疾患の特徴であるからだ。患者の訴えによると慢性期などにおいては、かならずしも起立性頭痛は絶対的なものではない。研究班は最終的に「誰がみても納得できる診療指針(ガイドライン)」の作成をめざしている。しかるに、この患者たち自身の大きな不安の声に対し、公的研究班としてどう受け止め、解決していくのか。
 12 最後に、研究班の今後の活動計画・節目ごとの目標を聞く。
三 脳脊髄液減少症の診断・治療の確立の研究を取り巻く現状について
 依然として同疾患に対する一般的な認知がすすんでいない。早期発見による適切な治療が非常に重要にもかかわらず、患者は治療してもらえる病院を見つけるまで大変時間を要している。病院によっては診察を断っているところもある。依然この病気への無理解からくる患者・関係者の精神的・肉体的苦痛は計り知れない。
 脳脊髄液減少症で苦しんでいる子どもたちは、学校生活や学習取得の過程で大きな困難をかかえている。平成十九年には、文部科学省が各都道府県の教育関係機関に「学校におけるスポーツ外傷等の後遺症への適切な対応について」の通達を出したが、通達以降も「ほとんどの先生がこの病気を知らない。」などの状況が報告されており、子どもたちの実情はこの間も変わっていない。学校現場での対応・徹底はきわめて不十分である。
 1 厚生労働省は脳脊髄液減少症にいたるまでの各種検査費用については保険適用し、その旨の通知を本年四月に関係機関に通知しているが、病院や地域によって医療行為に差がある。医療格差の是正は急務であると考えるがどうか。
 2 文部科学省は前述の通達を出した後、学校や教育委員会・関係機関にどのような対応・周知徹底をはかったのか。
 3 先日の厚生労働委員会では、文部科学大臣政務官が「いわゆる脳脊髄液減少症については(学校)現場の状況等も踏まえ、その周知徹底について、さらなる改善ができるように、しっかりと検討をしてまいりたい。」と答弁されている。今後どのような改善策を講ずるのか。具体的に答えられよ。
 4 子どもたちは通常の学級では過ごせなかったり、学校の学習についていけなかったりしている。一部ではあるが、こうした子どもたちへの学校現場・地域での支援も始まっている。文部科学省はこうした取り組みを励まし、困難をかかえる子どもたち・関係者に対しての組織的支援を早急に講じるべきであると考えるがどうか。
 5 独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校安全・災害共済給付事業」において、学校の管理下における児童生徒等の災害・事故であることが明らかにもかかわらず、脳脊髄液減少症の子どもたちには保険金の給付がなされていない。脳脊髄液減少症であれ、何であれ、残った障害などの程度に応じて、他のケース同様に支払われるのが当然であると考えるがどうか。学校での児童生徒の安全を守り、原因いかんにかかわらず、児童生徒の災害に対処するというのがこの制度の根本の趣旨ではないのか。
 6 この疾患を広く社会に知らせるための広報活動など、認知度向上のための取り組みが必要であると考えるがどうか。

 右質問する。



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