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平成二十三年三月四日提出
質問第一二四号

最高検察庁による取調べの一部可視化実施方針に関する再質問主意書

提出者  浅野貴博




最高検察庁による取調べの一部可視化実施方針に関する再質問主意書


 障害者団体等を対象とした低料金の第三種郵便物制度に係る文書を偽造し、実態のない自称障害者団体「凛の会」に同制度を悪用させたとして、厚生労働省の上村勉元担当係長が一昨年逮捕された。右の事件に絡み、文書偽造を上村元係長に指示したとして、一昨年六月に逮捕された村木厚子元同省雇用均等・児童家庭局長の公判が昨年九月十日に行われ、無罪判決が下された。右の事件を受け、最高検察庁においてチームが組まれ、事件の真相解明に向けた作業が行われていると承知する。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七七第一〇〇号)を踏まえ、再質問する。

一 民主党として、一昨年の第四十五回衆議院議員総選挙を戦う際、マニフェストの中に、
  「6 消費者・人権
  49 取り調べの可視化で冤罪を防止する
  【政策目的】
  〇自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
  〇自白強要による冤罪を防止する。
  【具体策】
  〇ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する。」
との記述を盛り込み、取調べの可視化実現を訴えていることにつき、前回質問主意書で、右マニフェストは、取調べの中の一部分のみの可視化で良しとするものであったのか、または全過程の可視化を目指すものであったのかと問うたところ、「前回答弁書」では「御指摘の民主党のマニフェストにおいては、『ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する』ことが示されていると承知しているところ、被疑者の取調べを録音・録画の方法により可視化することについては、その実現に向けて取り組むこととしており、法務省内の勉強会等において、可視化の具体的な在り方等について検討を行っているところである。」との答弁がなされている。また右に関連し、本年二月二十五日の衆議院予算委員会第三分科会における当方の質疑に対し、小川敏夫法務副大臣は、「なかなか、一部の可視化か、全部の可視化かという点を今ここで明確にするというのはちょっと難しいんですが、基本的には、やはりなぜ取り調べを録画するのか、可視化するのかといえば、それはその目的があるわけでございます。一番の目的は、それは不当な取り調べによって冤罪があってはいけない、虚偽の自白がなされてはいけない、これを防止するということにあるわけでございます。ですから、そうした意義をしっかりと発揮するために、必要な範囲の録画、可視化はしっかり実現しなくてはいけない、これが基本でございます。
 その可視化を実現するために、全過程が必要なのか、あるいは必ずしも全過程でなくて、除外される部分があるのか、それは今まさに議論しておるところでございます。」との答弁をされている。「前回答弁書」の答弁、小川副大臣の答弁のどちらも、要するに民主党、政府として、取調べの一部、または全過程の可視化を実現するかは、確定していないと述べているものと理解する。しかしその一方で、本年二月二十六日、ある民放テレビ番組に出演した藤井裕久内閣官房副長官は、取調べの可視化は、一部、または全過程のどちらの実現を目指すかについて、民主党の結論は全面可視化である旨の発言をしていると承知する。取調べの可視化について、一部、または全過程のどちらの実現を目指すのか、民主党、政府として明確なスタンスは決まっているのか否か、再度明確な説明を求める。
二 民主党主催の法務部門会議や各種議員連盟の会議で議論されている内容を聞く限りでは、あくまで全過程の可視化を目指す民主党議員側と、全過程では、取調べに様々な支障を来す可能性があるとして、その実現に後ろ向きな政務三役はじめ政府側と、政府と与党一体を謳いながらも、そのスタンスには明確な違いが生じていると承知する。江田五月法務大臣はじめ法務省政務三役として、様々な課題は課題として、その解決策を模索するにしても、あくまで全過程の可視化の実現を図る考えはあるか。
三 本年二月二十四日、最高検は、法務大臣の諮問機関である「検察の在り方検討会議」に対し、現在既に行われている、裁判員裁判事件における取調べの一部の可視化に加え、東京、大阪、名古屋の各地方検察庁特別捜査部が扱う刑事事件も、可視化の対象とする方針であることを報告している。右方針について、「前回答弁書」では「同指針においては、『特別捜査部が取り扱う身柄事件(捜査において、被疑者を逮捕・勾留する事件をいう。)に関し、被疑者の検察官面前調書が適正な取調べにおいて作成され任意性・信用性等に疑念を生ずるものではないことを的確に明らかにし、裁判所の公正な判断に資する立証方策の在り方を検討するため、立証責任を有する検察官の判断と責任において、上記事件における被疑者の取調べの録音・録画を行うことを試行する』とされているものと承知している。『録音・録画試行指針』によれば、当該試行は、被疑者の身柄拘束中の取調べについて実施するものとされ、録音・録画を行う部分については、右のような試行の趣旨を踏まえ、取調べの持つ真相解明機能を損なわない範囲内で、検察官による取調べのうち相当と認められる部分を適切に選択するものとされている」との答弁がなされている。そもそもこの最高検の検証は、前文で触れたように、検察官自身が取調べ並びにそれに付随する一連の捜査の段階で引き起こした不祥事が基で始められたものである。それにも関わらず、右にあるように、試行段階とはいえ、取調べの可視化を行う部分を検察官自身が選択すること自体、一連の不祥事の検証とはなり得ず、国民の理解は得られないと考えるが、江田法務大臣の見解如何。
四 「前回答弁書」では「取調べの全過程を録音・録画せず、その一部を録音・録画した場合であっても、これによって被疑者の供述状況等を客観的に明らかにすることができ、また、録音・録画を行う以前の取調べ状況も録音・録画を行った際の被疑者の供述内容や態度等に反映され、被疑者の供述調書の任意性・信用性等に関する裁判所の判断や取調べの適正の確保に資することとなるものと考えている。」との答弁がなされている。政府として、「録音・録画を行う以前の取調べ状況も録音・録画を行った際の被疑者の供述内容や態度等に反映され」ると考える根拠は何か説明されたい。

 右質問する。



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