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平成二十三年五月十一日提出
質問第一七四号

福島第一原子力発電所事故に係る被災者支援に関する質問主意書

提出者  橘 慶一郎




福島第一原子力発電所事故に係る被災者支援に関する質問主意書


 東日本大震災により発生した福島第一原子力発電所の事故は、周辺住民が不意に長期にわたる避難を余儀なくされ、生活、事業、雇用等が断絶させられており、大変なご苦労を強いられているところである。大方の自然災害とは異なり、今なお災害の状態が継続しており、関係者による事態終息への懸命の努力がなされているものの、実効性ある被災者支援を迅速に進めることが強く求められている。様々な施策のうち、「原子力損害の賠償に関する法律」(昭和三十六年法律第百四十七号、以下「原賠法」という。)に係る対応については、東京電力による避難住民の方々に対する仮払補償金の支払が開始されているものの、事業者に対する仮払い等の対応は未だ準備中である。緊急融資等の資金手当ての施策は取られているものの、事態の深刻さに鑑み、一日も早く必要な資金が仮払い等の形で支払われるべきであると考える。ついては、事態の早期進捗を求める立場から、以下十三項目にわたり質問する。

一 警戒区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域の三区域を合わせて、該当地域の人口、世帯数及び事業所数を伺う。
二 一の地域の直近の年間の農業粗生産額、工業出荷額、商業販売額及び福島県の年間の漁業生産額を伺う。
三 被災事業所の中には、通常、三月末に決算・税務申告する所が多いものと思料するが、税務上の対応を伺う。また、これら事業所の関係者が帳簿やパソコン等を持ち出そうとする場合の対応は、一時帰宅等の措置でなされているのか、伺う。
四 先に東京電力は避難された方々に対し、原則一世帯当たり百万円の仮払いを開始したところだが、現時点で申請書の配布枚数、申請件数及び仮払金の振込件数について、政府で把握されている現状を伺う。
五 この仮払いは、東京電力と避難された方々との間でなされる訳だが、東京電力がどのような体制で取り組んでいるのか把握されているところを伺う。また、関係者は、国内の広範囲な地域へ避難されているが、制度の周知やきめ細かな対応等、円滑な事務処理のためには自治体の協力も仰がなければならないと考える。政府において把握されている現状及び対処の姿勢について伺う。
六 避難された方々のみならず、影響を受けた様々な事業者に対しても、「原子力被害の範囲等の判定指針」を早期に定め、仮払補償金の支払い等の対応をすべきものと考えるが、今後の見通しを伺う。
七 原賠法に基づく賠償額の規模については、現状では確たる数値を示すことは困難であると理解するものの、避難された方々に対する、仮払いや四月二十八日に決定された「第一次指針」により、現段階で固まった金額を伺う。
八 避難された方々に対する「一世帯当たり百万円」という仮払い額は、既往の災害時支援の実例等に鑑み、設定されたものと思料するが、政府で把握されている根拠を確認する。また、今後避難期間が延びれば、追加支払いも必要になると考えるが、政府における見通しを伺う。
九 これまでの所、東京電力の資金で支払いがなされているが、東京電力の昨年末の決算書では、流動資産が一・二兆円、現預金は二千七百億円である。本年三月にさらに二兆円の借り入れをしたとの報道もあったが、現状、資金面の問題は無いと把握されているのか確認する。また、表明されている資産売却は、可能な限り早期に進めるべきものと考えるが、政府で把握されている現状を伺う。
十 東京電力には、原賠法第三条第一項に基づく損害賠償の責任遂行が求められているが、広い意味で東京電力が果たすべき「責任」には、企業責任、経営責任、株主責任等も含まれると考える。原賠法第十六条第一項に規定する国の「必要な援助」を論じるには、総体として東京電力側が責任を果たしている姿が見えることが不可欠と考えるが、内閣の所見を伺う。
十一 東京電力の決算期は三月末であり、会社法や企業会計基準に従い、確定した財務諸表に基づき、適正な会計監査を経て株主総会に臨まなければならない。このため、原賠法の責任遂行のスキームを早急に決めなければ、影響が各方面に広がり、ひいては迅速・確実な被災者支援という究極の目的の達成が難しくなるのではと懸念するが、内閣の見解と対処方針を伺う。
十二 五月二日に成立した平成二十三年度補正予算には、原賠法に基づく国の「必要な援助」に係る経費は盛り込まれていない旨、確認する。今後、そのような経費が必要となった場合は、被災者の立場に立って早急な対応が望まれるが、内閣の見解を伺う。
十三 原賠法の所管は文部科学省、電力供給の所管は経済産業省であり、原子力安全委員会は内閣府、原子力安全・保安院は経済産業省に属するなど、関係する組織が各府省に及んでいる現状である。内閣において、将来に向けて、この体制をより効果的な形にするべく検討する考えはないか、伺う。

 右質問する。



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