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平成二十三年六月二十七日提出
質問第二七七号

九州電力・玄海原子力発電所の安全性に関する質問主意書

提出者  吉井英勝

 




九州電力・玄海原子力発電所の安全性に関する質問主意書

 東京電力・福島第一原子力発電所の過酷事故の被害状況は日を増すごとに拡大している。収束の目途さえ全く分からない深刻な状況のもと、定期検査中や検査終了後の運転再開の目途が立たない全国の原子力発電所(以下、原発と略)について、政府は安全対策が適切に実施されているとして、地元自治体に対して原発の再稼働を要請している。
 福島第一原発3号機では、プルトニウム酸化物とウラン酸化物を混合したMOX燃料を使用するプルサーマル発電が行われていた。九州電力の玄海原発3号機(佐賀県)でもプルサーマル発電が行われている。プルサーマル方式は核分裂反応が不均質に起こるなど、通常の原発に比べても安定した運転が困難である。
 よって、次のとおり質問する。なお、年次はすべて西暦で表記されたい。

(一) プルサーマル方式によって運転されていた福島第一原発3号機の原子炉の現状、使用済み核燃料の現状はどうなっているか。
 また、同原発3号機から放出されたプルトニウムはどういう状況で、その放出量は1号機、2号機と比べてどの程度違うのか。
(二) 原子炉の圧力容器は中性子の照射によって、脆性劣化が進行する。特に玄海原発1号機の圧力容器の脆性遷移温度は急上昇していると考えられるが、現在何度か。燃料装荷時以降、これまでの1号機から4号機まで、脆性遷移温度の調査日とその際の温度を示されたい。
 また、脆性遷移温度による健全性は、いつ、どこの機関において調査したのか。その結果、健全性はどう証明されたのか。いずれも号機ごとに示されたい。
(三) 津波の「引き波」によって、原発の機器冷却系の取水口が海面から出てしまう恐れがある。玄海原発における津波発生時の引き波は、基準海水面からいくら下がるのか。すなわち、標高何メートルから何メートルの範囲と想定しているのか。また、その数値はいつ、どこの機関によって算出したものか。あわせて、復水器取水口と機器冷却系の取水口は、それぞれ標高何メートルの位置に何ヶ所設置しているのか示されたい。
(四) 福島第一原発を襲った津波は想定の三倍を超えたといわれるが、その高さは何メートルであったか。玄海原発の津波の「押し波」の高さは、標高何メートルと想定しているのか。また、その数値はいつ、どこの機関によって算出したものか。
 玄海原発の機器冷却系のポンプと、DG(ディーゼル発電機)、バッテリーの位置は標高何メートルの場所に設置しているか。それは玄海原発で想定している津波の三倍の高さに耐えられる場所か。
(五) 福島第一原発では地震によって受電鉄塔が倒壊し、外部電源を喪失した。玄海原発の受電鉄塔の耐震設計値はいくらか。地震に対する強度は十分であると考えているか。電線の路線名、鉄塔の番号ごとに試験数値を示されたい。また、その試験はいつ、どこの機関が行ったものか。
(六) 表土層だけでなく、地滑りや崖崩れが深層の地盤まで崩壊する「深層崩壊」が問題になってきている。深層崩壊も含む地滑りに対し、玄海原発の受電鉄塔の強度はどこまで耐えうる設計になっているか。
(七) 玄海原発の受電設備の耐震強度はいくらか。号機ごとに示されたい。また、その強度はいつ、どこの機関が定めたものか。
(八) 全電源喪失に至った福島第一原発の受電設備は、いくらの強度で造っていたのか。また、それが地震で破壊されたのはなぜか。
(九) 玄海原発での想定地震動はいくらか。基礎地盤面、原発建屋上部、タービン建屋の各所の地震計での想定値を明らかにされたい。また、その数値はいつ、どこの機関が定めたものか。
(十) M六・八を記録した新潟県中越沖地震で、東京電力・柏崎刈羽原発は三千五百ヶ所以上の機器の破損が生じた。東海地震等の連動型の場合にはM九以上になるともいわれている。同程度の規模の巨大地震が発生した場合、玄海原発では原発プラントの機器等の故障はどれくらい発生すると想定しているのか。
(十一) 巨大地震が発生し全電源喪失の事態に至った場合、電源車を横付けするとしても、道路が原発構内でも著しく破損し車両の走行が困難となる例は、柏崎刈羽原発でも経験済みのことである。巨大地震で路面が大きく損傷した場合、原発構内で電源車をすみやかに必要な場所に接近させ接続できる保障はあるのか。
(十二) 福島第一原発から半径三十km圏を超えて、今なお放射能汚染被害は拡大し続けている。玄海原発で福島第一原発のような過酷事故が発生した場合、佐賀県・長崎県・福岡県内では、住民をどこへどのように避難させる計画を定めているのか。避難計画の具体的な内容を示されたい。
 また、その際、海洋への放射能汚染はどのように拡がると想定しているのか、あわせて明らかにされたい。
(十三) 原子力災害が発生した場合に備えて、法律に基づき原子力災害緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)が設けられているが、福島第一原発の場合、オフサイトセンターが地震によって電源を失い、さらにオフサイトセンターが原発サイトから五kmしか離れていないため、施設自体が使用不能となった。玄海原発においては、福島第一原発のような過酷事故が発生した場合に備え、オフサイトセンターが十分に機能するようにどのような対策が打たれているのか。
(十四) 玄海原発2号機・3号機は定期点検中のため運転停止中であるが、国は六月二十六日、佐賀市で「県民説明会」を開催した。会場は非公開で、傍聴は禁止され、国が選んだ県民代表七名が資源エネルギー庁や原子力安全・保安院の担当者から説明を聞き、質疑・応答が行われた。あわせて「学識経験者」も同席したという。この「県民説明会」は何を目的として開いたのか。また、原発が立地する他の道県でなく、佐賀県で行った理由は何か。
(十五) 県民の代表を、なぜ公募によって行わずに国が選んだのか。また、県民の代表者とは誰か。氏名・職業を明らかにされたい。あわせて、国が代表者の選考基準としたものを明らかにされたい。
(十六) 国側の出席者は誰か。説明や応答に関わった者だけでなく、業務に関わったすべての者について氏名・官職を明らかにされたい。
(十七) 学識経験者の氏名・職業を明らかにされたい。また、その同席の目的は何で、何を基準に誰が選んだのか。
(十八) 「県民説明会」を非公開とし、一般の傍聴やマスコミの取材を禁止した理由はなぜか。また、「県民説明会」の模様は地元ケーブルテレビやインターネットで配信されたというが、誰でも視聴できるように一般のテレビ等で放送しなかったのはなぜか。
(十九) 当日の県民代表からの質疑内容と、それに対する国の答え、学識経験者の発言を明らかにされたい。また、「県民説明会」の結果は後日、会議録のような形で一般に公開するのか。
(二十) 国側と県民代表者、司会者との間では、事前に発言の内容についてどのような打合せを行ったのか。
(二十一) 報道によれば、原子力安全・保安院の担当者は、「福島第一原発の事故は地震動に起因するものではない」と述べたというが、これは事実か。
 また、同じく原子力安全・保安院の担当者は、福島第一原発の外部電源を確保するための鉄塔が地震で倒壊したことを認めたというが、鉄塔が倒壊せず外部電源が確保されていれば、今回のような炉心溶融や水素爆発等にまで至る過酷事故は起こらなかった可能性があるのではないか。
(二十二) 「県民説明会」は外部に委託したものと報じられているが、委託先、委託金額、契約の形態、予定価格、一般競争入札であれば応札者とその金額、再委託先と再委託金額を明らかにされたい。
(二十三) 佐賀県で実施したような「県民説明会」を今後、他の原発立地自治体でも行う予定なのか。その計画の詳細を明らかにされたい。

 右質問する。



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