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平成二十三年七月二十七日提出
質問第三五二号

今夏の電力需給見通しの詳細及び根拠に関する質問主意書

提出者  服部良一




今夏の電力需給見通しの詳細及び根拠に関する質問主意書


 全国の原子力発電所が順次定期点検入りする一方で、早期再稼働が困難となる中で、今夏の電力需給がひっ迫していると強調されている。また、このまま原発の再稼働が進まなければ、今冬、さらには来夏の電力供給が不足するとの見通しが示されている。しかしながら、枝野官房長官らが強調しているように、電力需給のために安全性を犠牲にすることは許されない。それ以前に、政府及び各電力会社の電力需給に係る情報開示は未だ不十分であり、検証可能な基礎情報が提供されていない。十分な説明がないままに数字だけが一人歩きすれば、必要以上に危機感が煽られかねず、過度の節電等の弊害をもたらす懸念がある。また、原発の再稼働を進めたいが故に、需要の過大想定と供給力の過少見積りに基づく見通しを提示しているのではないかとの疑念を払拭する説明も得られていない。
 今必要なことは、電力需給に係る情報を全面的に開示し、客観的データに基づいて幅広く議論をし、有効な対策を推進することである。それでこそ、節電に対する広範な理解と協力を得ることができるのであり、必要以上のエアコン使用回避、過度な生産抑制等の悪影響も回避できる。よって、以下の通り質問する。

一 現在示されている最大電力想定は、本年三月時点で各電力会社が提出した供給計画に記載されたものではなく、記録的猛暑となった昨夏の最大電力(H1)又はこれに基づき算出された数字となっている。また、基本的に、東日本大震災の影響を勘案して再計算した様子も伺えない。停電を起こさないための想定であるという説明だけでは説得的でない。なぜこのような最大電力想定の引き上げを行ったのか、各電力会社毎に根拠となるデータとともに説明されたい。
二 今夏の最大電力想定には節電の効果が反映されていない。確かに、対策がない場合の想定を示すことに意味なしとはしないが、現在のように最大電力と供給力のみを与えてそのギャップを強調する仕方は脅迫的で、不適切である。工場の操業シフトなど大口需要家の節電策については把握できているはずであり、構造的節電効果とも言える領域を特定することは可能である。また、七月二五日の参議院予算委員会で答弁があった通り、需給調整契約により削減可能な総量は一千万キロワット以上であることが明らかになっている。さらには、家庭を含む小口需要家についても、この間の傾向から一定の予測は可能であると思われる。よって、次の諸点につき電力会社管内毎に説明されたい。
 (一) 大口需要家による節電策(四及び九で示す自家用発電設備及び特定規模電気事業者の活用を含む)によって最低限確保されている最大電力時の需要削減量
 (二) 需給調整契約により確保されている需要削減量
 (三) 家庭を含む小口需要家による節電策によって最低限確保されていると見込まれる、最大電力時の需要削減量(九に示す住宅用太陽光発電設備等の寄与を含む)
 (四) 以上を控除した場合の、最大電力想定
三 最大電力時の需要構造(部門別、地域別、大口・小口の別によって示されるものを言う。以下同じ。)については、資源エネルギー庁が東京電力管内について行った粗い推計が示されているのみであり、それによって「家庭が三割」という数字だけが一人歩きし、家庭に過剰な節電圧力がかかっている。無理なく効果的に節電を行うためには客観的データが必要である。ついては、可能な限り実績データに基づき、最大電力時の需要構造を示されたい。その際、検証可能なように、根拠データも示されたい。
四 いわゆる「埋蔵電力」があるのかないのかが、大きな話題となっているが、政府及び各電力会社は自家用発電設備の現況及び活用可能性について十分に説明できているとは言えない。ついては、以下の諸点につき、電力会社管内毎に、かつ共同火力等卸供給に用いられているものとその他の自家用発電設備とを区分して、データを示されたい。
 (一) 自家用発電設備の容量合計、そのうち稼働不能な容量(理由毎に分類したもの)
 (二) 自家用発電設備の昨夏の稼働率及び今夏の想定稼働率
 (三) 電力各社の当初供給計画において盛り込まれていた自家用発電設備の容量
 (四) 特定規模電気事業者に供給している自家用発電設備の容量(可能であれば、当初想定と今夏の追加対策とに区分して示すこと)
 (五) 今夏において追加的に供給力に算入する自家用発電設備の容量
 (六) 事業者等が自家用発電設備の稼働率を高めて自家消費を増加し、又は特定規模電気事業者からの調達を増加すること等により減少する最大電力時の電力会社に対する需要量
五 各電力会社は長期計画停止火力を抱えているが、現時点で今夏稼働するのは東京電力横須賀火力の一部のみである。残りの火力については、早期起動が困難であり、「二〜三年かかる」などと説明され、具体的な見通しが示されていない。一方で、起動にはそこまでの時間を要しないとの指摘もある。この間、被災し又は故障した火力が押し並べて当初の説明より早く復旧しているという事実もある。ついては、長期計画停止火力の各号機毎に、起動の具体的見通しとその技術的根拠を示されたい。
六 火力発電設備については、大気温上昇による出力減少があると説明されているが、十分に根拠が示されているとは言い難い。よって、設備毎に減少幅、及び実績値等の根拠データを示されたい。
七 揚水発電所については、概ね設備容量未満の数字で供給力に算入されているが、その根拠を説明するとともに、夏期の出力実績値を示されたい。また、実績値に基づく保守的想定を行っている場合には、過度の保守性を排除し、今夏の気候や水量等の傾向から再評価して、現実的な想定幅を示す必要があると考えるが、そのようにして再計算した供給力見通しを示されたい。
八 一般水力発電所についても、概ね設備容量の六割程度の数字で供給力に算入されている。これについては、過去三十年の実績の最低位帯の値を取った等の説明がなされている。しかし、七で述べたことと同様に、過度の保守性を排除し、今夏の気候や水量等の傾向から再評価する必要があると考える。ついては、現在示されている供給力見通しの根拠、夏期出力の実績値及び再計算した供給力を可能な限り設備毎に細分化して示されたい。
九 再生可能エネルギー(大規模水力を除く。以下同じ。)については、需給両面においてその寄与が説明されていない。ついては、以下について明らかにされたい。
 (一) 各電力会社の供給力に算入されている再生可能エネルギー発電設備(他社受電分を含む)及びそれらの供給力
 (二) 特定規模電気事業者等を通じて供給されており、電力会社の供給見通しに算入されていない再生可能エネルギーの供給力及び、その内、今夏の需給対策として見込まれる追加供給力
 (三) 最大電力時における住宅用太陽光発電設備の稼働容量
 (四) 住宅用太陽光発電設備及び家庭用蓄電池等の利用による最大電力抑制効果(電源等の別により示すこと)

 右質問する。



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