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平成二十三年七月二十八日提出
質問第三五五号

北方領土における日露資源協力に関する質問主意書

提出者  木村太郎




北方領土における日露資源協力に関する質問主意書


 昨年十一月、メドベージェフ大統領の国後島訪問後、ロシアは、領土問題について中韓両国と共闘する方針を鮮明にし、本年五月十五日には、東日本大震災発生後初めて、イワノフ副首相ら五閣僚が、又しても我が国の中止要請を無視し、国後、択捉両島を視察した。間髪入れず同月二十四日には、韓国国会「独島領土守護対策特別委員会」の姜昌一委員長ら民主党議員三人が、我が国に対して何らの手続き或いは通告もなく、「日本との領有権問題がある地域の支配・管理状況の視察」を訪問目的にし、恣意的ともとれるロシア極東ユジノサハリンスクから国後島へ入った。これらは震災後においても、引き続きロシアが領土主権を固定化する方針に変わりのない姿勢を示したものである。
 このような中、日本経済新聞がロシア極東連邦管区のイシャエフ大統領全権代表に書面インタビューを行ったが、それによると、同代表から北方領土周辺海域での原油・ガスの共同開発を提示し、日露間の領土問題において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加された。さらに、日本が応じなければ、中国、韓国など他国との共同開発に乗り出すことも言及しており、その傲岸なる態度は留まるところを知らない。
 平成二十四年にはウラジオストックで開かれる予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で公表するとしているが、現段階において、ロシアの主権を認めるが如き共同経済活動に参加するとなれば、領土問題がさらに棚上げされ、ロシア国内でも益々領土返還に反対の声が高まり、由々しき事態に発展する恐れを極めて憂慮するものである。
 従って、次の事項について質問する。

一 本年五月十五日、東日本大震災発生後初めて、イワノフ副首相ら五閣僚が国後、択捉両島を視察し、間髪入れず同月二十四日には、韓国国会議員らが、我が国を歯牙にもかけず、ロシア極東ユジノサハリンスクから国後島へ入ったことは、依然ロシアが領土主権を固定化する方針に変わりのない姿勢を示したものと考えるが、どのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
二 日本経済新聞の書面インタビューでロシア極東連邦管区のイシャエフ大統領全権代表が、北方領土周辺海域での原油・ガスの共同開発を提示し、日露間の領土問題において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加されたことについて、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。但し、「去る二月の日露外相会議において、議論することが決まった『共同経済活動』の具体策として提案されたもの」とするが如き、慇懃無礼な答弁を期待しない。
三 二に関連し、日本が応じなければ、中国、韓国など他国との共同開発に乗り出すことも言及しているが、他国とはどのような国名が考えられるのか、またこれについてどのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
四 二〜三に関連し、東日本大震災後の原子力発電の減少に関連して、プーチン首相が極東における化石燃料の生産拡大を指示し、日本企業とウラジオストックにLNG工場を建設するための調査で合意したとしているが、現政府はこの情報を把握しているのか。また、サハリン1の天然ガスを将来的にこの基地を使い、LNG化して我が国に供給していくのか、菅内閣の見解如何。
五 二〜四に関連し、日露間において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加されたことを受けて、エネルギー分野の協力を検討する作業部会が近日中に立ち上がると聞くが、その進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。
六 五に関連し、今秋、ロシアで関係閣僚や民間企業幹部などによる日露の円卓会議が開かれると聞く。当然、新総理の下での関係大臣の出席となると期待するが、現時点においてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
七 二〜六に関連し、現段階において、ロシアの主権を認めるが如き共同経済活動に参加するとなれば、領土問題がさらに棚上げされ、ロシア国内でも益々領土返還に反対の声が高まることは必至と考えるが、菅内閣の見解如何。
八 二〜七に関連し、中露間において、東シベリアの油田から中国に原油を運ぶパイプラインが完成し、本格的な供給が既に始まっている。しかし天然ガスについては、先月、胡錦濤国家主席は訪露中に価格面で不服とし妥結を見送った。ロシアは我が国を取り込むことによって、資源における覇権の優位性が得られ、対中交渉も有利に進められると目論んでいると考えるが、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
九 震災後、カタールやインドネシア、オーストラリアなどの国からLNGの供給増の申し入れ、さらには米国を中心とした地中の岩盤層に眠る原油・天然ガスを生産するための開発事業も進行中ときくが、これらの進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。
十 我が国の官民によるサハリン石油ガス開発が、長年に亘り莫大な資金を投下してきた「サハリン1」は中露間のパイプラインを利用し中国に売却する計画だったが、その後の進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。

 右質問する。



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