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平成二十四年三月一日提出
質問第一一二号

国土交通省の八ッ場ダム治水効果の検証に関する質問主意書

提出者  塩川鉄也




国土交通省の八ッ場ダム治水効果の検証に関する質問主意書


 私は、八ッ場ダム建設中止を一貫して求め、流域住民と力を合わせて取り組んできたが、民主党も、二〇〇九年の総選挙で八ッ場ダム中止の公約を掲げ、政権交代直後には、八ッ場ダム中止を表明した。ところが、昨年、国土交通省は、「事業継続は妥当」とする「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(以下、報告書)をまとめると、野田内閣は、この検証結果に沿って、八ッ場ダムの事業継続に舵を切った。国民の願いを踏みにじるものと言わざるをえない。「報告書」の洪水調整の観点からの検討においても、「報告書」で行われた検証を評価する上で不可欠の数値が開示されていないなど、そもそも、「事業継続は妥当」とした「報告書」の評価そのものが検証されなければならない。

一 「報告書」の洪水調整の検討では、八ッ場ダム案と八ッ場ダム以外の四案が比較されている。八ッ場ダム以外の案では、八ッ場ダムの洪水調節量を八ッ場ダムに替わって引き受ける代替施設が必要となる。八ッ場ダム以外の案では、それぞれ代替施設でどれだけの量の洪水調節を行うこととしているか。それぞれの洪水調節量を明らかにされたい。
二 八ッ場ダム案では、超過確率1/70〜1/80に相当する17000m3/S(八斗島地点)のうち、3000m3/S程度を八斗島上流で、残りの14000m3/S程度を八斗島下流で対応する案と承知するが、八ッ場ダム以外の四案は、それぞれ、八斗島上流と下流でそれぞれ何m3/Sの洪水調節を行う治水対策案となっているのか。それぞれの洪水調節量を八斗島上流と下流で調節を行うピーク流量(m3/S)で明らかにされたい。
三 一及び二でそれぞれに明らかにされたそれぞれの代替施設での洪水調節量をどのように算出されたのか明らかにされたい。
四 「報告書」によれば、複数の治水対策案の検討は、表4−2−3に掲げられた8洪水により検討を行うこととされている。この8洪水は、八斗島地点の流量が洪水調節施設がない場合に17000m3/Sとなるように雨量の引き伸ばし(引き締め)が行われていると承知しているが、その引き伸ばし(引き締め)をおこなった雨量の超過確率は、それぞれ何/何(何ミリメートル/3日間)となるか。
五 「報告書」4−22ページの※3では、表4−2−2の10洪水のうちS56・8・21洪水及びH19・9・5洪水の降雨波形については、八斗島地点の流量を河川整備計画相当の目標流量である17000(m3/S)とするためには、超過確率が1/200(336ミリメートル/3日間)となるために、今後8洪水により八ッ場ダムの検証における複数の治水対策案の検討をおこなうこととするとしているが、超過確率が1/200(336ミリメートル/3日間)を超えることが、なぜ、複数の治水対策案を検討するための洪水から外れる理由になるのか明らかにされたい。
六 年超過確率1/200は、河川整備方針の計画規模年超過確率の数値であるが、今回の検討では、河川整備計画相当の年超過確率1/70〜1/80が目標とされており、雨量の年超過確率が複数の治水対策案の検討をするための洪水の選定の根拠となるのであれば、年超過確率1/70〜1/80を超える雨量の洪水も検討対象洪水から除外されなければならないのではないか。年超過確率1/70〜1/80を超える雨量の洪水が表4−2−3の8洪水の中にあれば、今回の治水安全度1/70〜1/80を超える洪水を複数の治水対策案の検討をするための洪水に加えている理由を説明されたい。
七 「報告書」表4−2−3は、複数の治水対策案の検討を行うための8洪水の「洪水調節施設による洪水調節効果量」として、「洪水調節施設無し(A)」、「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」、「八斗島地点上流の洪水調節量(C=A−B)」及び「洪水調節量の内訳」を明らかにしている。複数の治水対策案の検討を行うためには、八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合に、八斗島地点上流の洪水調節量がどうなっているかが明らかにされる必要があるが、その記載がない。国土交通省の担当者は、レクチャーの場で、八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合に、S34・8・12洪水の「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」に対応する数値が、15800m3/Sであることを明らかにしたが、間違いないか。間違いがある場合には、正しい数値を明らかにされたい。あわせて、8洪水すべてについて、八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合に、表4−2−3の「洪水調節施設無し(A)」、「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」、「八斗島地点上流の洪水調節量(C=A−B)」及び「洪水調節量の内訳」に対応する数値がどうなっているか明らかにされたい。
八 国土交通省の担当者は、レクチャーの場で、八斗島上流の洪水調節施設のうち八ッ場ダムがない場合に、S34・8・12洪水の「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」に対応する数値が、15800m3/Sであることを明らかにするとともに、その数値から14000m3/Sを差し引いた数値が、八ッ場ダムを含まない四つの治水案の八ッ場ダムに替わる代替洪水調節施設の洪水調節量にあたることを明らかにしたが、間違いないか。間違いがある場合には、正しい洪水名、数値を明らかにされたい。
九 S34・8・12洪水の「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」に対応する数値から、14000m3/Sを差し引いた数値が、八ッ場ダムを含まない四つの治水案の八ッ場ダムに替わる代替洪水調節施設の洪水調節量とされた場合、なぜ、S34・8・12洪水のその流量が、代替洪水調節施設の洪水調節量とされたのか、その理由を明らかにされたい。あわせて、他の洪水の「河道分担流量洪水調節施設全施設完成時(B)」に対応する数値から、14000m3/Sを差し引いた数値は、八ッ場ダムを含まない四つの治水案の代替洪水調節施設の洪水調節量を算定する際にどのように活用されたのか、あるいは活用されなかったのか明らかにされたい。
十 前田国土交通大臣は、今年2月1日の衆議院予算委員会で、八ッ場ダムについて「平均すると、目標流量に対して大体千立米ぐらいの洪水調節効果がある、こう見積もられております」と答弁されているが、何の目標流量に対して、どういう数値を平均すると「大体千立米ぐらいの洪水調節効果」となるのか。その根拠を明らかにされたい。
十一 前田国土交通大臣が答弁した「大体千立米ぐらいの洪水調節効果」が、「報告書」の表4−2−3の8洪水の八ッ場ダムの洪水調節効果の平均であるとすれば、レクの際に国土交通省の担当者が明らかにした洪水調節効果量、1800m3/Sとは約2倍弱の開きがあると同時に、洪水調節効果量の算定方法も異なっている。八ッ場ダムの洪水調節量の大きさは、治水案の比較検討をする上で決定的な要素でもある八ッ場ダム以外の治水対策四案のコストを直接左右する。にもかかわらず、「報告書」には、そのコスト算定の元になった洪水調節量の大きさの記述もなければ、その算定方法、算定根拠も明らかにされていない。これでは、この「報告書」が行った洪水調節機能の検証が正しかったかを判断することができないと考えるが、野田内閣の見解を問う。

 右質問する。



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