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平成二十四年八月三十日提出
質問第三九五号

文化財を保存し後世に伝える必要性に関する質問主意書

提出者  鳩山邦夫




文化財を保存し後世に伝える必要性に関する質問主意書


 現在、大阪中央郵便局の庁舎を重要文化財として指定することを求める義務付け訴訟が提起されていると聞く。
 当該庁舎は昭和初期に建築家、吉田鉄郎氏の設計により建てられたわが国を代表するモダニズム建築であり、その後の建築に与えた影響は計り知れないものである。建築史上極めて貴重な建造物であることは、重要文化財として後世に伝えるべき価値を有するものであると日本建築学会でも認められているところである。
 吉田鉄郎氏の設計による建築としては、東京中央郵便局の庁舎もあったが、残念ながら、一部しか保存されずに高層ビルに建て替えられ、往時とは別の建築物になってしまった。
 東京中央郵便局の建て替え計画に対しては、超党派の議員連盟が結成され、旧庁舎をそのままの形で保存活用するよう求める活動を精力的に展開したものの、戦火をくぐり抜けた歴史の生き証人であった東京中央郵便局旧庁舎を保存し、後世に伝えることができなかったのは、まことに残念である。
 それでも、わが国には、まだ、大阪中央郵便局旧庁舎が残されている。保存価値では東京を上回るとの評価もある。もしこれを、昭和初期を代表する公共建築を破壊してしまうならば、昭和という時代を後世に伝えるものは永遠に失われてしまうことになる。
 国家のアイデンティティーにとって、民族の歴史や文化を継承することが肝要であることは言うまでもない。だからこそ教育や文化を国家が積極的に守る姿勢が必要と考える。
 そこで、以下、質問する。

1 吉田鉄郎氏設計による昭和初期の公共建築は、大阪中央郵便局以外に残っているか。建て替えられてしまった東京中央郵便局は除き、現存し把握されているものを明示されたい。
2 大阪中央郵便局の旧庁舎について、建築学会や建築士会等から保存の要請は出ているか。出されているとしたら、どのような団体から出されているか答弁いただきたい。
3 文化財保護法によれば、所有者の同意は必ずしも文化財指定の要件ではないはずだが、いかなる根拠で所有者の同意を実務上要求しているのか。法的根拠を明らかにされたい。
4 大阪中央郵便局旧庁舎の所有者は郵便局(株)で間違いないか。また、郵便局(株)の持株会社である日本郵政(株)の株主は誰か。
5 日本郵政は有識者による『「大阪駅前にふさわしい景観形成・歴史継承のあり方」に関する検討委員会』報告書に基づき解体していると聞くが、報告書の結論はどのようなものか。またその内容は、文化財保護の観点から適切なものであるか。
6 文化財指定を求める訴訟においては、文化財となるべき建物は、訴訟物そのものではないが、訴訟物たる権利の実現には不可欠な物件である。このような場合において、建物を毀損する行為は訴訟物たる権利の実現を著しく困難にする行為である。
  目的物が無くなれば、いかに勝訴しても権利の実現は不可能となるから、文化財指定を同意しないことに利益があると考える所有者は、文化財相当の建物を先に破壊してしまうことで指定を免れて自らの目的を果たすことができる。
  今日の不況で大阪中央郵便局庁舎の再開発計画は先送りされ、跡地は三年程度、広場として利用すると発表されているようである。東京中央郵便局はまだ、JPタワーへの建て替えという大義名分があった。しかし広場として利用する計画しかないならば、単なる破壊のための破壊でしかない。重要文化財にあたる建物をただ破壊することについて、所管省庁の認識を問う。

 右質問する。



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