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平成二十四年九月五日提出
質問第四一七号

モロッコ及び米フロリダ州において発生した米軍垂直離着陸機オスプレイの墜落事故に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




モロッコ及び米フロリダ州において発生した米軍垂直離着陸機オスプレイの墜落事故に関する質問主意書


 米軍の垂直離着陸機オスプレイが、今年四月にモロッコ、六月に米フロリダ州で相次いで墜落したが、これらの事故調査に関わる米側の報告書が、八月十七日と三十日にそれぞれ公表された。また、二十八日には、モロッコの墜落事故に関し、防衛省が独自に分析評価したとする内容をまとめた報告書(以下、「日本側モロッコ報告書」という)を公表している。
 いずれの報告書も、機体に異常は確認されず、人為ミスが事故原因であることを強調する内容だが、なぜその人為ミスが生じたのか、オスプレイがもともと持つ機体の構造や特性とどのような因果関係があるかについては判然としない。
 従って、次の事項について質問する。

一 米海兵隊のシュミドル航空副司令官は、八月十七日の記者会見で、今回の米海兵隊法務官(JAGMAN=Judge Advocate General's Manual)による事故調査報告書(以下、「海兵隊法務官報告書」という)とは別に、航空機事故調査委員会(Aircraft Mishap Board)による調査が同時並行して行われていること、さらに、今回の墜落事故における操縦士による操縦を審査するための委員会(field flight performance board)は、負傷した操縦士が出席できる状況にないことから未だ招集されていないことを指摘している。米海兵隊による事故調査の制度概要とモロッコの事故調査全体の現状を明らかにされたい。同様に、米空軍による事故調査の制度概要と米フロリダ州の事故調査全体の現状を明らかにされたい。
二 海兵隊法務官報告書は、機長及び副操縦士が事故現場であるノース着陸帯に向かっている際に、着陸帯付近の多くの人やテント、車両に気づいたことから、来た際と同じ方向で着陸帯を離れることを判断したとしている。また、日本側モロッコ報告書は、こうした着陸帯付近の状況が「事故の潜在的な要因となった可能性がある」と指摘している。機長及び副操縦士が多くの人やテント、車両の上空を飛行することを回避した理由は何か。
三 海兵隊法務官報告書によると、事故は、副操縦士が操縦中、風に向かう体勢でノース着陸帯に着陸し、十二名の海兵隊員を降ろした後、機体を離陸させ、右方向に百八十度のホバリング旋回を行い、着陸帯を離脱する過程で起こっている。ところが、その直前には、機長が同様の手順によって問題なく着陸・離脱を行っている。これらの間に、どのような気象条件、操縦の違いがあったのか。
四 一回目と二回目の着陸・離脱の双方について、離陸開始、旋回開始、旋回終了、ナセルの遷移開始、遷移終了(一回目のみ)、地面衝突(二回目のみ)の各時点における離陸開始からの経過時間、風向き、風速、機体の位置、磁方位、対地高度、対地速度、機首の向き、遷移角度を示されたい。
五 海兵隊法務官報告書は、副操縦士が着陸帯からの離陸に際して、実際の風速について明確な理解を有していなかったことを指摘しているが、なぜ有していなかったのか。機長はどうだったのか。
六 海兵隊法務官報告書は、オスプレイのNATOPS飛行マニュアルにおいて「通常のホバリング高度に至った時は、機首を水平とするためナセルの角度を調整する」と記載されている一方で、副操縦士、機長のいずれも、ホバリング旋回終了時に、一旦静止することなく、すぐに遷移を開始したと述べたことを指摘している。副操縦士と機長は、飛行マニュアルの規定をどのように認識していたのか。
七 海兵隊法務官報告書は、副操縦士、機長のいずれもナセルを後方に動かそうとせず、それがスティック制御のマージンを増やすために使えるものであることに気づかなかったことを指摘しているが、なぜ気づかなかったのか。
八 米フロリダ州の墜落に関する米空軍の航空機事故調査委員会報告書(以下、「空軍事故調報告書」という)は、機長及び副操縦士の経歴に関して、総飛行時間及びオスプレイとその他の回転翼機・固定翼機の飛行時間の内訳を明示している。ところが、海兵隊法務官報告書は、副操縦士がオスプレイ(MV−22B)に百六十.一飛行時間を記録していたことを記載するのみで、その他は記載しないか黒塗りにしている。モロッコの墜落事故の機長及び副操縦士について、総飛行時間及びオスプレイとその他の回転翼機・固定翼機の飛行時間の内訳を示されたい。また、回転翼機・固定翼機の操縦経験が、今回の事故に影響した事実はないのかについても明らかにされたい。
九 空軍事故調報告書によると、米フロリダ州の墜落事故は、オスプレイ二機がエグリン射爆撃場内の射場アルファ78に向けて、遷移角度八十度・速度八十ノットで編隊飛行している際に、左方向に百八十度旋回中、後続機が先行機の後方乱気流に巻き込まれ、急速に高度を失ったことで発生している。後続機を操縦していた副操縦士、機長のいずれも、先行機との位置関係を誤認していたことが事故原因としているが、なぜこのような誤認が起こったのか。
十 空軍事故調報告書は、空軍オスプレイ(CV−22)の手引書が、編隊飛行に際して、先行機の五時から七時の方角に入ることを避け、最低二十五フィートの高度差を維持することを明記していると指摘しているが、海兵隊はどのような基準を設けているのか。また、現在、米軍普天間基地に配備されているCH46ヘリの場合はどうか。
十一 空軍事故調報告書は、空軍オスプレイ(CV−22)の模擬操縦装置(シミュレーター)が、別のオスプレイによる乱気流状態を再現できないことを指摘しているが、海兵隊オスプレイ(MV−22)の模擬操縦装置はどうか。また、乱気流に巻き込まれた際に取るべき対応策に関する公式な手引書が存在しないことを指摘しているが、海兵隊の場合はどうか。
十二 空軍事故調報告書によると、事故発生後、先行機は事故現場上空でホバリングしながら、事故機の副操縦士を吊り上げて救出している。ところが、その際に生じた下降気流の状況から同じ手段で救出作業を継続することは危険と判断し、その他の乗員は米陸軍や民間のヘリなどで搬送されている。オスプレイによる下降気流の激しさを象徴的に示すものと考えるが、政府はどのように認識しているか。
十三 海兵隊オスプレイ(MV−22)と空軍オスプレイ(CV−22)の機体構造上の共通点と相違点を具体的に示されたい。

 右質問する。



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