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平成二十五年五月十六日提出
質問第八一号

「海軍航空基地第二設営班資料」と慰安所開設における中曽根元総理の「取計」に関する質問主意書

提出者  辻元清美




「海軍航空基地第二設営班資料」と慰安所開設における中曽根元総理の「取計」に関する質問主意書


 安倍首相は、二〇一三年二月七日の衆議院予算委員会において、前原誠司委員の質問に対し、以下のように答弁している。「辻元議員の質問主意書に対して当時の安倍内閣において閣議決定をしたものについては、裏づけとなるものはなかったということであります。いわば強制連行の裏づけとなるものはなかった。」「さきの第一次安倍内閣のときにおいて、質問主意書に対して答弁書を出しています。これは安倍内閣として閣議決定したものですね。つまりそれは、強制連行を示す証拠はなかったということです。つまり、人さらいのように、人の家に入っていってさらってきて、いわば慰安婦にしてしまったということは、それを示すものはなかったということを明らかにしたわけであります。しかし、それまでは、そうだったと言われていたわけですよ。そうだったと言われていたものを、それを示す証拠はなかったということを、安倍内閣においてこれは明らかにしたんです。しかし、それはなかなか、多くの人たちはその認識を共有していませんね。ただ、もちろん、私が言おうとしていることは、二十世紀というのは多くの女性が人権を侵害された時代でありました。日本においてもそうだったと思いますよ。二十一世紀はそういう時代にしないという決意を持って、我々は今政治の場にいるわけであります。女性の人権がしっかりと守られる世紀にしていきたい、これは不動の信念で前に進んでいきたいと思っています。そのことはまず申し上げなければいけないし、そしてまた、慰安婦の方々が非常に苦しい状況に置かれていたことも事実であります。心からそういう方々に対してお見舞いを申し上げたいと思う、この気持ちにおいては歴代の内閣と変わりはない。しかし、今の事実については、そうではない、それを証明するものはなかったということをはっきりと示したわけであります。」
 当該の、二〇〇七年三月八日に辻元清美が提出した質問主意書に対しては、以下のような答弁が出されている。
 「関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」。
 また、二〇〇七年四月一〇日に辻元清美が提出した質問主意書に対しては、以下のような答弁が出されている。
 「平成五年八月四日の内閣官房長官談話は、政府において、平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、当該談話の内容となったものであり、強制性に関する政府の基本的立場は、当該談話のとおりである」(答弁一)。
 さかのぼって、一九九八年四月七日に当時の村岡官房長官は「第一点は、先生今御指摘になられましたように、政府が発見した資料、公的な資料の中には軍や官憲による組織的な強制連行を直接示すような記述は見出せなかったと。第二点目は、その他のいろいろな調査、この中には、おっしゃったような韓国における元慰安婦からの証言の聴取もありますし、各種の証言集における記述もありますし、また日本の当時の関係者からの証言もございますが、そういうものをあわせまして総合的に判断した結果一定の強制性が認められた、こういう心証に基づいて官房長官談話が作成されたと、こういうことでございます。こういうことで、私のお答えとしては、いわゆる従軍慰安婦問題に関する政府調査は政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を全体的に取りまとめたものであり、これまでのところ、政府調査結果を公表した際の官房長官談話の内容を変更すべき事由はないものと考えているところでございます。」と答弁している(答弁二)。
 二〇〇七年三月八日に辻元清美が提出した質問主意書でも指摘してきたが、中曽根元首相には、「二十三歳で三千人の総指揮官」(松浦敬紀編著「終わりなき海軍」文化放送、一九七八年六月発行)という手記があり、「やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんなかれらのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある。」という記述がある。この記述について中曽根元首相は「海軍の工員の休憩と娯楽の施設をつくってほしいということだったので作ってやった」と発言、従軍慰安婦がつめる「慰安所」ではないと否定している(二〇〇七年三月二三日、日本外国特派員協会)。
 しかし、二〇一三年三月八日の衆議院予算委員会で辻元清美が示した「海軍航空基地第二設営班資料」(防衛研修所戦史室)という防衛省の所蔵資料には、「主計長の取計で土人女を集め慰安所を開設 気持の緩和に非常に効果ありたり」「主計長 海軍主計中尉 中曽根康弘」「慰安所(設営班)開設」という記述がある。
 従って、以下、質問する。

一 答弁一「平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取り」とあるが、政府は当該資料について調査したうえで「強制連行の裏づけとなるものはなかった」と判断したのか。上記期間中にしていなければ、現在に至るまで調査しているか。しているとすれば、いつ調査したのか。していないのであれば至急調査すべきではないか。
二 答弁一「平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取り」及び答弁二「日本の当時の関係者からの証言」とあるなかで、政府は中曽根元総理について聞き取りしたうえで「強制連行の裏づけとなるものはなかった」と判断したのか。上記期間中にしていなければ、現在に至るまで聞き取りしているか。しているとすれば、いつ聞き取りしたのか。していないのであれば至急聞き取りすべきではないか。
三 当該資料における「主計長」とは、中曽根康弘元首相で間違いないか。
四 中曽根元首相でなくとも、現役将校が「取計」して慰安所を開設したという事実は認めるのか。
五 当該資料における「慰安所」とは、「海軍の工員の休憩と娯楽の施設」という認識か。それは具体的にはどういう施設なのか。それともいわゆる「慰安婦」を置く慰安所という認識か。
六 中曽根元首相は、どのような「取計」を行ったのか。そこに「強制性」はあったか。

 右質問する。



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