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平成二十五年六月二十日提出
質問第一一二号

八ッ場ダム本体工事と工期に関する質問主意書

提出者  塩川鉄也




八ッ場ダム本体工事と工期に関する質問主意書


 八ッ場ダムの建設に関する基本計画(第三回変更)では八ッ場ダム建設事業の工期は平成二十七年度までとなっている。国土交通省関東地方整備局は本年五月十七日、八ッ場ダム建設事業について本体工事の準備に必要な関連工事(本体関連工事)の契約手続きを開始した。新聞報道によれば、来年度には本体工事に取りかかるとされている。この本体工事と基本計画の工期との関係等に関して、以下質問する。

一 平成二十一年一月の八ッ場ダム本体工事の入札公告について
 平成二十一年一月十日の上毛新聞の記事に次のように書かれている。「国土交通省は九日、八ッ場ダム(長野原町)の本体工事のうち一期工事(工期・二〇一三年度末)の入札を官報に公告した。一期工事費を含む〇九年度政府予算案は開会中の通常国会で審議入りもしていないが、同省は『二〇一五年度に完成させるために逆算すると、今、入札公告しなければ間に合わない』と説明、早期完成を求める地元の要望を踏まえ建設を急ぐ構えだ」「官報などによると入札は一般競争入札で、公告した一期工事にはダム本体の基礎掘削など準備工事のほか、一二年度を予定している本体のコンクリート打設も含まれる」「その後の二期工事で残りの堤体部分などを完成させる」
 その後、同年十月になって、入札中止になるが、同年一月時点における本体工事一期工事の入札公告の内容とその後の二期工事の見通しについてはこの記事の記述で相違ないか。
二 平成二十五年五月の八ッ場ダム本体関連工事の入札公告について
 (一) 関東地方整備局の記者発表資料による本体関連工事の入札公告の内容
  関東地方整備局は本年五月十六日に八ッ場ダム本体関連工事の入札公告を翌日、十七日に行うことを発表した。関東地方整備局のホームページには入札を行う本体関連工事として「骨材プラントヤード造成」、「工事用道路」、「作業ヤード造成」の三点が記されているが、この内容で相違ないか。
 (二) 入札情報サービスによる八ッ場ダム関連工事の入札公告の内容
  入札情報サービスで、関東地方整備局が五月十七日に入札公告を行った工事の内容を見ると、「骨材プラントヤード造成工事」、「盛土造成地線改良工事(大柏木地区の工事用道路工事等)」、「八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事(八ッ場ダム本体建設工事に伴う掘削工事のうち、川原畑地区において掘削工事を行うもの)」の三件となっている。この内容で相違ないか。
 (三) 本体工事への着手を表に出さない理由
  上記(一)の記者発表資料と(二)の入札情報サービスを比較すると、前者の「骨材プラントヤード造成」、「工事用道路」は後者の「骨材プラントヤード造成工事」、「盛土造成地線改良工事」と対応しているが、前者の「作業ヤード造成」は後者の「八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事」とは対応せず、別物である。後者のそれは八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事であるから、本体工事そのものである。
  関東地方整備局は実際には本体工事を今年度から始めようとしているにもかかわらず、なぜ、記者発表資料では「作業ヤード造成」であるとして本体工事への着手を表に出さないようにしたのか、その理由を明らかにされたい。
  なお、工事目的である「作業ヤード造成」を入札公告に書かないことはありえないことであるので、後者は「作業ヤード造成」を書かなかっただけとする弁明は通用しないことを申し添えておく。
三 今年五月の八ッ場ダムの入札公告で本体関連工事のみを対象とした理由について
 上述のように、平成二十一年一月の入札公告では本体関連工事と本体工事を一体のものとして扱い、入札公告を行ったが、今年五月の入札公告の記者発表資料では本体関連工事を本体工事から切り離して、本体関連工事のみを対象としている。平成二十五年は、平成二十一年一月のように本体関連工事と本体工事を一体のものとしてなぜ入札公告を行わなかったのか、その理由を明らかにされたい。
四 八ッ場ダム本体工事の契約をした場合の債務負担行為と八ッ場ダム基本計画の工期との関係について
 八ッ場ダム本体工事の契約をした場合の債務負担行為および八ッ場ダム基本計画の工期との関係について次の三点を質問する。
 (一) 一で述べたように、平成二十一年一月の入札公告では本体工事のうち一期工事(工期・平成二十五年度末)の入札を官報に公告した。この公告に基づいて入札を行い、受注企業と契約を結んでいれば、国の債務負担行為は平成二十五年度末まで及ぶと考えられるが、そのとおりでよいのか。
 (二) 本体工事は一期工事と二期工事に分けて行うとしても、一期工事と二期工事は一連一体のものであり、一期工事の契約は二期工事にも引き継がれることになるはずである。その結果として、上記(一)の場合、国の債務負担行為は二期工事完了予定の平成二十七年度末まで及ぶことはないのか。
 (三) 上記(一)で述べた国の債務負担行為の期間は八ッ場ダム基本計画の工期の範囲でなければならないと考えられるが、そのとおりでよいのか。
五 八ッ場ダム建設基本計画の工期延長がされない限り、本体工事の契約はありえないことについて
 四で述べたことを踏まえれば、平成二十五年度において平成二十一年一月と同様に本体関連工事も含めてダム本体の第一期工事の契約手続きを行うと、その契約期間は平成二十九年度までとなり、国の債務負担行為は控えめに見ても二十九年度まで必要となる。一方、八ッ場ダム建設基本計画の工期は平成二十七年度までであるから、債務負担行為の期間は工期を二年も超過することになる。八ッ場ダム建設基本計画を逸脱した契約は認められないと考えれられるので、基本計画の工期延長がされない限り、本体工事の契約はありえないことになる。
 このことに関して政府の見解を示されたい。
 また、二の(三)で述べたように、関東地方整備局は本年五月十七日の入札公告の記者発表資料で「八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事」を「作業ヤード造成」であるとして本体工事への着手を表に出さないようにした。これは八ッ場ダム基本計画の工期による制約があったからではないのか。このことについても政府の見解を示されたい。
六 八ッ場ダム建設基本計画の変更予定時期について
 昨年二月二日の衆議院予算委員会において当時の前田武志国土交通大臣は、八ッ場ダムの完成時期に関する質問に対して「本体に着工してから、七年で完成すると想定されている」と答弁している。この答弁からすれば、八ッ場ダムの工期は平成三十二年度頃まで延長せざるを得ないと考えられる。また、平成二十三年度の八ッ場ダム事業の検証で、工期延長等による事業費の増額、コスト縮減による減額、追加的な地すべり対策と代替地安全対策の点検による増額で、差し引き約一八三億円の増額が必要との試算結果が示されているので、現基本計画の事業費四六〇〇億円の増額も必至である。
 国土交通省は八ッ場ダムの工期延長と事業費増額のため、基本計画の変更をいつ行う考えであるのか、八ッ場ダム建設基本計画の変更予定時期を明らかにされたい。
七 八ッ場ダム建設基本計画の変更に対する関係都県の拒絶反応について
 平成二十三年度に開かれた「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場(幹事会)」において関係都県は八ッ場ダムの事業費増額と工期延長に対して拒絶反応を示した。八ッ場ダム建設事業の事業費四六〇〇億円、平成二十七年度末完成という約束のもとに関係都県は今まで三回に及ぶ基本計画変更に同意してきた。その関係都県の立場からすれば、当然の反応である。今後予定されている八ッ場ダム基本計画変更について国は関係都県の同意を得ることが可能なのか、その見通しを明らかにされたい。

 右質問する。



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