衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十六年二月二十七日提出
質問第五六号

いわゆる「証人テスト」に関する再質問主意書

提出者  鈴木貴子




いわゆる「証人テスト」に関する再質問主意書


 いわゆる「証人テスト」と呼ばれる手続きに関し、「前回答弁書」(内閣衆質一八六第一三号)では「刑事訴訟規則(昭和二十三年最高裁判所規則第三十二号)第百九十一条の三の『証人の尋問を請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によつて、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない。』との規定に基づいて行われているものである。」との説明がなされている。右を踏まえ、再質問する。

一 本年二月十二日付朝日新聞一面に「検事、証人に想定問答集 鈴木宗男氏汚職事件 内容通り証言」、三十九面に「検事『こう答えて』 メモ二百三十九項目 暗記促す」との見出しの記事(以下、「朝日記事」とする。)が掲載されている。「朝日記事」を政府は承知し、その内容を把握しているか。
二 「朝日記事」に関連し、法務省、検察庁として取材を受けているか。受けているのなら、それに応じた責任者の官職氏名を明らかにされたい。
三 「前回答弁書」で証人テストに関し、「刑法(明治四十年法律第四十五号)第百六十九条は、『法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。』と規定しており、御指摘の『証人テストの際、検察側が証人となる者に対し、事実ではないことを裁判の場で証言するよう求めること』が、この規定に該当する行為を行うよう求めることを指すのであれば、そのようなことをしてはならないことは当然である。」と答弁されている。「朝日記事」に書かれているように、証人として呼ばれた人に対して検察官がQ&A形式のメモを作成し、質問に対する答えまで事前に用意し、それを暗記させることは適正な行為であるか。
四 「朝日記事」には、「ベテラン刑事裁判官は『証人テストの本来の目的は「記憶の喚起」。Q&A形式のメモを検事が作るのは問題ないが、「A」の部分まで事前に作成して渡したのであれば、完全にアウト』と言う。『誘導尋問に等しい行為で、証人テストの趣旨を逸脱している』」という記述がある。本年二月二十一日の衆議院法務委員会(以下、「委員会」とする。)において、政府参考人として答弁に立った法務省林氏は、「証人尋問における証人に対して不当な誘導であったり、不当な、記憶に反するような供述を引き出すような、そういうことにつなげるとしたら、それは許されるものではない」と述べている。「朝日記事」に書かれている内容は、正に右答弁にある「許されるものでない」ことに該当するのではないのか。
五 日本経済新聞の一〇〇%子会社であるTCWで発生した不正経理事件の裁判に際し、検察官が証人テストの際、テキスト(以下、「テキスト」とする。本年二月二十一日衆議院法務委員会の鈴木貴子配付資料。)を用意している。「委員会」で指摘した通り、その中には「※絶対に『TCWの資金繰りのため』と言ってはならない。TCWのためにやったとなると、『悪いこと=犯罪を行った』とは言えなくなってしまう」、「弁護人から、『TCWのために一連のことをやっていたのではないのか』と聞かれたら、怒りながら答えてほしい。」と、裁判における証言内容のみならず、感情の表し方まで指示することがなされていたことが明らかになっている。右は、正に四の答弁にある「許されるものでない」ことに該当するのではないのか。
六 「委員会」において林氏は、「検察官が証人に対して特定の事項の証言を誘導するようなこと、そういったことの疑念を招きかねないような行為は避けるべきだと考えておるところでございます。」と述べている。一般論として、右にある「証人に対して特定の事項の証言を誘導するようなこと」を検察官がしないよう、法務省、検察庁としてどのような取り組みをしているのか、具体的かつ詳細に説明されたい。
七 「委員会」において谷垣禎一法務大臣は、「誘導尋問は、これは刑事訴訟規則ですか、誘導尋問というのは排除しているわけでございますから、そういう謗りを受けるようなことがあってはならない、適正な尋問の準備をするように努めなきゃいけない、このように思います」と述べている。その一方で「前回答弁書」では、「一般論として、検察当局においては、証人が体験した事実、記憶状況、表現能力等について十分確認するなどして、いわゆる証人テストを適切に実施しているものと承知しており、仮に不当な証人テストが実施されることにより証言の信用性に問題があると疑われる場合には、証人尋問において、その経緯等が吟味されるものと承知している。」と、現在行われている証人テストには何の問題もないという答弁がなされている。右の谷垣大臣の答弁と「前回答弁書」における答弁は、矛盾するのではないのか。
八 七の答弁には「仮に不当な証人テストが実施されることにより証言の信用性に問題があると疑われる場合には、証人尋問において、その経緯等が吟味される」とあるが、これまで不当な証人テストが実施されたことが証人尋問において吟味され、明らかになった事例はあるか。
九 「朝日記事」を見ても、「テキスト」を見ても、検察官による証人テストは、証人に対して特定の事項の証言を誘導することもなく、その趣旨にのっとり、適正になされていると到底言えないと考える。谷垣大臣として、証人テストが真にその趣旨にのっとった形で適正に行われているか否か、過去の事例も含め、検証をする考えはあるか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.