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平成二十六年四月十六日提出
質問第一二四号

一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約に対する第一次・第二次安倍内閣の認識等に関する質問主意書

提出者  鈴木貴子




一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約に対する第一次・第二次安倍内閣の認識等に関する質問主意書


 一九七二年の沖縄返還時に、本来なら米国側が支払うべき原状回復補償費を日本政府が肩代わりすることを定めたとされる密約(以下、「密約」とする。)に関し、二〇一三年十一月十三日の参議院国家安全保障特別委員会(以下、「委員会」とする。)において、福島みずほ参議院議員が質問をしている。右に対して、第一八五回臨時国会において質問主意書を提出し、全五項目に渡る質問を行ったところ、政府答弁書(内閣衆質一八五第七二号。以下、「政府答弁書」とする。)では「いわゆる『密約』問題については、この問題により、外交に対する国民の理解と信頼が失われているとの観点から、過去の事実を徹底的に明らかにするため、平成二十一年九月から外務省が徹底した調査(以下「外務省調査」という。)を行い、その結果を平成二十二年三月に公表したところである。
 また、『いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書』では、四百万ドルの土地の原状回復補償費について『広義の密約』があったとの見解が示されているが、他方で、外務省調査の報告書は、『原状回復補償費四百万ドルを日本側が肩代わりすることを内容とする非公表の文書(「議論の要約」)』は発見されず、作成されたかどうかも確認できなかったとしている。
 当時の状況については、簡単に判断できるものではなく、『いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書』においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益・国益に照らして判断すべきものである旨述べられている。しかし一方で、この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今後とも、国民と共に歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えている。」との答弁がなされているだけである。右を踏まえ、質問する。

一 「委員会」において福島議員が、「密約」の存否に関する現在の安倍晋三内閣の認識を問に質したのに対し、菅義偉内閣官房長官は「民主党政権当時の報告書については現政権でも踏襲をしてまいります。」との答弁をしている。右答弁は、安倍晋三内閣としての公式の見解であるかとの質問に対し、「政府答弁書」では何も明確な答弁がなされていない。右の理由は何か説明されたい。
二 民主党政権時につくられた外務省による調査結果を受けた報告書と、民間有識者により構成された検証委員会による調査を受けた報告書では、「密約」の存否に対するスタンスに差異がある。前文で触れた「政府答弁書」の答弁を見ても、それは明らかである。一の菅長官の答弁は、外務省と検証委員会の報告書、どちらのスタンスを踏襲するものであるのか。「政府答弁書」の「当時の状況については…」以下を読んでも、どちらでもない、またはどちらも正しいともとれる、極めてあいまいな答弁しかなされていないと考えるが、「密約」はあったのか、またはなかったのか、安倍内閣の認識を簡潔に述べられたい。
三 「密約」に関し「政府答弁書」では、「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾である」との答弁がなされている。安倍内閣として、「密約」に関するどのような情報が国民に明らかにされてこなかったと認識しているのか、明確に説明されたい。
四 「密約」に関し「政府答弁書」では、「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾である」との答弁がなされている。安倍内閣として、「密約」に関する三の情報が、なぜ長期間に渡り国民に明らかにされてこなかったと認識しているのか、明確に説明されたい。
五 「密約」に関し「政府答弁書」には、「外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益・国益に照らして判断すべきものである旨述べられている。」との答弁がなされている。安倍内閣として、当時、「密約」がすぐ国民に明らかにされず、今日まで秘匿されてきた背景には、どのような国際環境があったと認識しているのか、明確に説明されたい。
六 「密約」に関し「政府答弁書」には、「外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益・国益に照らして判断すべきものである旨述べられている。」との答弁がなされている。安倍内閣として、当時、「密約」がすぐ国民に明らかにされず、今日まで秘匿されてきたことで、我が国国民全体の利益・国益にどのような効果があったと認識しているのか、明確に説明されたい。
七 「密約」に関しては、第一次安倍内閣において、それを明確に否定する政府答弁書(例えば内閣衆質一六六第一五号、二三二号、二三三号、二三四号、四二〇号、四六八号、四七二号)が閣議決定されてきた。その答弁の内容は、「沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてである」というものであった。当時の第一次安倍内閣の答弁と、一の菅長官の答弁には明らかに差異がある。右について説明を求めたが、「政府答弁書」では何の答弁もなされていない。右の理由は何か説明をされたい。
八 第一次安倍内閣において、「密約」に関してウソの答弁を続けてきたことの理由を問うたが、「政府答弁書」では何の答弁もなされていない。右の理由は何か説明されたい。
九 沖縄返還時において、「いわゆる『密約』」があったと安倍政権は認識しているか。

 右質問する。



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