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平成二十六年六月十日提出質問第二〇七号
自殺した自衛官を巡る訴訟問題に対する防衛省の対応の是非に関する質問主意書
自殺した自衛官を巡る訴訟問題に対する防衛省の対応の是非に関する質問主意書
二〇〇四年、海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」に勤務していた当時二十一歳の一等海士が自殺した事件(以下、「たちかぜ事件」という。)につき、本年四月二十三日、東京高等裁判所で二審判決が下された。東京高裁の鈴木健太裁判長は、一等海士の自殺と上司によるいじめの因果関係を認め、「上司が調査や適切な指導をしていれば、自殺は回避できた可能性がある」とし、国と上司の元二曹に計四百四十万円の賠償を命じた一審横浜地裁判決を変更して、約七千三百万円の賠償を言い渡した。右の判決に対し、過去の答弁書(内閣衆質一八六第一四〇号)で政府、特に防衛省は「御指摘のいわゆる護衛艦『たちかぜ』乗員であった一等海士(当時)の自殺事案(以下「本件事案」という。)の東京高等裁判所の判決(以下「東京高裁判決」という。)において、一等海士(当時)の自殺について、二等海曹(当時)の暴行及び恐喝並びに上司職員らの指導監督義務違反との間の相当因果関係が認められたこと、本件事案に関連して実施された艦内生活実態アンケートに対する各乗員の回答が記載されたアンケート用紙(以下「アンケート原本」という。)等に関する情報公開請求に対する文書の特定作業において、海上自衛隊横須賀地方総監部監察官(当時)及び護衛艦『たちかぜ』の艦長(当時)が、アンケート原本等を保存していたにもかかわらず、これらを特定せず隠匿した行為が違法であるというべきである旨判示されたこと等を重く受け止めており、再発防止に努めていく考えである。」との見解を示している。右と「政府答弁書」(内閣衆質一八六第一八五号)並びに過去の一連の答弁書を踏まえ、質問する。
二 一の「調査」はいつまでをめどに終了するのか説明されたい。
三 一の「調査」が終わり次第、「関係職員」が具体的に誰を指しているのか、政府、防衛省として明らかにする考えでいると理解してよいか。
四 過去の答弁書の答弁には、「アンケート」の存在を指摘した三等海佐の処分を巡る種々報道について「承知していない」とされている。しかしその一方で、別の答弁書では、それが閣議決定された本年五月十三日夜の記者会見において、河野克俊海上幕僚長が三等海佐について「公益通報者保護法の趣旨を踏まえ、処分するつもりはない」と述べている。閣議という重い手続きを経て決定された答弁書では三等海佐に関することを何も述べず、その後の記者会見で明らかにするというのは、国民から選ばれた国会議員を軽視する行為であり、国民を軽視していることに他ならない。右の経緯に関連し、閣議にかけられる前に当該答弁書の作成が終わった日、時、分と、「三等海佐に対する調査」が終了した日、時、分を問うたところ、「政府答弁書」では「先の答弁書(平成二十六年五月十三日内閣衆質一八六第一四〇号)については、平成二十六年五月七日に防衛省において起案され、同月八日に同省内の決裁を終え、同月十三日の閣議において決定されたものである。他方、三等海佐に対する調査が終了したのは、同日午前十時頃である。」とある。「三等海佐に対する調査」の結果が最終的に終了したのが五月十三日午前十時であっても、そのおおよその結果は当該日にち以前に防衛省内で把握されていたはずである。それならば、当該答弁書においても、三等海佐を処分する考えはない旨の答弁があってしかるべきであり、それをせず、河野幕僚長の記者会見でその話が出るのは、質問主意書を軽視し、国民の代表たる国会議員、ひいては国民を軽視する所業であると言わざるを得ないと考える。右に対し「政府答弁書」では「先の答弁書(平成二十六年五月二十七日内閣衆質一八六第一六五号)五及び六についてでお答えしたとおりである。」との答弁がなされている。右答弁は、小野寺五典防衛大臣が判断し、作成されたものであるか。確認を求める。
右質問する。