質問本文情報
平成二十六年十月三十一日提出質問第四八号
再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法に関する質問主意書
提出者 阿部知子
再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法に関する質問主意書
九州電力をはじめ各電力会社が再生可能エネルギー発電設備の系統接続申込みへの回答を保留する事態が発生し混乱が広がったことから、経済産業省は平成二十六年十月、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の下に系統ワーキンググループを設置し、電力会社の接続可能量の検証、接続可能量の拡大方策等について検討を行うこととした。
資源エネルギー庁は同WGに「再生可能エネルギーの接続可能量の算定方法に関する基本的考え方について(案)」(以下、「資源エネルギー庁案」という)と題する資料を提出しているが、そもそも「再生エネを送電網に受け入れられる限度を示す接続可能量という概念については、技術的な上限はないというのが欧米の電力関係者の見解」(安田陽関西大学准教授、平成二十六年十月二十五日付朝日新聞掲載のインタビュー)であるとされる上に、「資源エネルギー庁案」で置かれている前提条件には様々な疑問がある。
「資源エネルギー庁案」は同WGの最終的な結論を示すものではないが、概ね同案に沿って接続可能量の算定がなされる見込みであり、資源エネルギー庁がいかなる認識に基づいて提案をしているのかについては、現下の系統接続問題への対応や再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直し作業のみならず、今後のエネルギー政策の方向性にも関わるため、現段階で明確な説明がなされる必要がある。
よって、以下質問する。
A 原発の再稼働については、基数、時期ともに見通しがはっきりとしておらず、高経年炉等の廃炉についても結論が出ていない。また、敷地内に活断層の存在が疑われる原子炉についても検証作業が継続中である。そうした中で、いかなる基準によって右記の設備容量を設定するのか、又、現時点で各電力会社について想定する当該設備容量はそれぞれ何基・何キロワットであるのか、政府の考え方を示されたい。
B このように原子力の出力を想定し、再生可能エネルギーの接続可能量を算定することは、原発を維持するために再生可能エネルギー発電を不当に抑制する効果を持ち、極めて問題であると考えるが、政府の見解を明確に示されたい。
二 @ 第二回系統WGに提出された「資源エネルギー庁案」における「接続可能量の拡大方策」の内、「地域間連系線を活用した場合の効果については……様々な要因に影響を受けるが、各電力会社が広域で調達する電源の調整などによって、いかなる効果を持つか、検討することが必要」とし、また、「従来の取組を超えた地域間連系線の活用や増強」による接続可能量増加については、「電力システム改革の制度設計ワーキンググループでの連系線利用ルール等に関する議論も踏まえつつ、FIT制度の在り方を含めた再エネ導入拡大を検討していくことが必要」としており、結論先送りの印象がある。政府は、地域間連系線の活用に係る検討及び実行についてどのようなスケジュールを想定しているのか具体的に答えられたい。
A 地域間連系線については、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い北海道及び東北地域に係る北海道本州間連系設備及び東北東京間連系線は空き容量が大きい状況にある。また、懸案の九州地域に係る中国四国間連系線も九州から中国への方向はあまり利用されていない上に、関西、中部、四国及び北陸を含めた西日本広域運用の余力は大きいと考えられる。地域間連系線の増強については多額の費用と時間を要するが、利用ルールを改善することによって、広域で柔軟に運用することにより再生可能エネルギー受け入れ可能量を大幅に拡大することは、地域間連系線の利用状況から見ても可能であって、系統接続をめぐる現下の混乱への対応策として早急に実行すべきであると考えるが、政府の見解及びその根拠を具体的に示されたい。
右質問する。