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平成二十七年三月三日提出
質問第一〇七号

防衛大学校卒業生の任官拒否等に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




防衛大学校卒業生の任官拒否等に関する質問主意書


 今、防衛省及び自衛隊の組織が大きく変わろうとしている。
 憲法第六十六条第二項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めている。
 憲法第六十六条第二項が定める文民統制は、民主主義国家の基本原則であるシビリアンコントロールの訳語である。
 文民統制は、政治が軍事に優越するという考え方である。旧憲法下で軍部が暴走し、第二次世界大戦の惨禍をもたらした、との反省から日本国憲法に規定された。
 さらに、防衛省設置法(昭和二十九年六月九日、法律第百六十四号)第十二条には、防衛省内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官をコントロールする「文官統制」の規定が設けられている。
 「文官統制」は政治と軍事の距離を保つため、政策的な見地から自衛隊の活動をチェックする仕組みであり、憲法上の文民統制を確保する手段である。
 中谷元防衛大臣は、去る二月二十四日の閣議後記者会見で、「文官統制」規定を撤廃する防衛省設置法改正案提出を予定していることを否定しなかった。
 現行自衛隊は、武力行使ができる我が国唯一の組織である。「文官統制」が緩めば、制服自衛官の暴走に歯止めがかからない事態も危惧される。
 私は、「文官統制」規定撤廃によって我が国の平和と民主主義の基盤が大きく損なわれる、と考える立場から、防衛省設置法第十二条の改正に反対するものである。
 このような政治情勢の中で、過日私宛に防衛大学校卒業式典の案内状が届いた。
 案内状を受け取って、私の脳裏に浮かんだのは、二〇一四年八月七日、福岡県在住の防衛大学校第二大隊所属第二中隊二学年生K(以下、告訴人Kという)が同校内において、組織的で悪質、かつ陰湿ないじめや暴力行為、傷害等の被害を受け、加害上級生ら八名を刑法第二百四条傷害罪及び同法第二百二十三条第一項強要罪で同人及びその両親が告訴したことである。(以下、本件告訴事件という)
 本件告訴事件は、現在横浜地方検察庁で捜査中であるため、その内容について言及するものではない。
 ただ、告訴人Kに対する被告訴人らの悪質・卑劣な行為に対する責任は、いかなる弁明をもってしても免れないものと考える。同時に、防衛大学校の監督責任も厳しく問われねばならない。
 被告訴人らは何のお咎めもなく、防衛大学校を卒業していくのだろうか。そうであれば、あまりにも不条理、不正義だ。
 以下、質問する。

一 平成二十二年度から平成二十六年度までの防衛大学校の募集定員、入学応募者、入学者、中途退学者及び卒業後の任官を拒否、もしくは辞退した者(以下、任官拒否者または任官辞退者という)の年度毎の人数について、本科、理工学研究科前期課程、同後期課程、総合安全保障研究科前期課程、同後期課程の別に明らかにした上で、かかる人数の推移について政府の見解を明らかにされたい。
 特に、任官拒否者または任官辞退者の人数の推移については、その理由がどこにあると考えるか、説明されたい。
二 政府は、使命感を抱いて入学した防衛大学校卒業生が任官を拒否、または辞退する事態をどのように受け止めているか、見解を明らかにされたい。
三 防衛大学校は、告訴人K及びその両親の被告訴人らに対する本件告訴事件の各告訴事実について、被告訴人ら及びその他の在校生や教官らから独自の聞き取り調査をおこなったか。調査を遂げているならば、当該調査結果に対する政府の見解を示されたい。
四 私が聞き及ぶところによると、防衛大学校の卒業式典において、数年前までは任官拒否または辞退者は、式典への参加を許されなかったとのことである。また、任官拒否または辞退者は、陸上・海上・航空自衛隊の各制服が着用できないため、謝恩会への出席が許されず、防衛大学校正門からの退出も禁じられ、卒業式典の後に裏門から退出させられるとの情報にも接しているが、事実関係を明らかにされたい。なお、事実であれば、その理由を明らかにされたい。

 右質問する。



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