衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十七年三月九日提出
質問第一二〇号

福島近隣県における甲状腺検査の実施等に関する質問主意書

提出者  本村賢太郎




福島近隣県における甲状腺検査の実施等に関する質問主意書


 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(平成二十四年法律第四十八号)(以下「子ども被災者支援法」という。)では、国は放射線による健康への影響に関する調査等に関し必要な施策を講ずることとされ、同法に基づき策定された「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」の中で、「新たに有識者会議を開催し、福島近隣県を含め、事故後の健康管理の現状や課題を把握し、今後の支援の在り方を検討」することとされた。
 これらの状況を踏まえ、被ばく線量把握・評価、健康管理、医療に関する施策の在り方等を専門的な観点から検討するため、環境省に「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」という。)が設置され、平成二十六年十二月に中間的な取りまとめ(以下「中間取りまとめ」という。)が行われた。これを受け、環境省は、本年二月二十七日に、「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」(以下「当面の施策の方向性」という。)を公表した。この当面の施策の方向性の妥当性に関し、以下質問する。

一 福島近隣県の小児に対する甲状腺検査等の実施については、中間取りまとめにおいて「施策として一律に実施することについては慎重になるべきとの意見が多かった。」とされたこと等を踏まえて、当面の施策の方向性ではリスクコミュニケーション事業の継続等を示すのみである。
 しかし、実際に汚染状況重点調査地域に指定されている地域の自治体の中には、放射性ヨウ素の初期被ばくに対する市民の不安を軽減するため、甲状腺の超音波検査を実施するとともに、検査に要した費用の一部について助成を行っているところがあり、中間取りまとめにおいても、「一方で、検査を希望する住民には、検査する意義と検査のメリット・デメリット両面の十分な説明と合わせて適切な検査の機会を提供すべきとの意見もあった。」とされているところである。
 汚染状況重点調査地域の住民の中には、子どもの将来に不安を感じている方も少なくないため、福島近隣県一律ではなく、汚染状況重点調査地域に限定してでも、甲状腺検査等の国による検査体制の構築及び費用の助成等を行い、市民の不安を払拭していく必要があると考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
二 福島県の県民健康調査「甲状腺検査」対象者の中には、平日に都合がつかないため休日の検査を希望する方々がいる。現在、試行的に休日検査が実施されているものの受診が困難であることに変わりはなく、同検査対象者の中には、受診をして欲しくないのではないかと懸念する向きもある。検査の利便性を欠いた状況が続けば検査への不信感が高まり、受診率が伸びず、子どもの健康を長期間見守っていこうとする調査の根幹が揺らぐこととなる。
 当面の施策の方向性では、県民健康調査「甲状腺検査」の充実について、「県外転居者も含め長期にわたってフォローアップすることにより分析に必要な臨床データを確実に収集できる調査が可能となるよう、福島県を支援していきます。」としているが、休日検査の実施体制の整備を支援し、対象者への受診勧奨を図っていく必要があると考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
三 環境省は、平成二十四年度に青森県、山梨県及び長崎県において「甲状腺結節性疾患有所見率等調査」(以下「三県調査」という。)を行っている。福島県の「甲状腺検査」の結果と他の地域における状況を比較することにより、当面の施策の方向性で示した県民健康調査「甲状腺検査」の充実が図られるものと考えられることから、三県調査又はその他の地域の調査を今後継続的に行っていく必要があると考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
四 東京大学大学院医学系研究科の川上憲人教授らが福島県民を対象に実施した調査においても、「将来、放射線の影響で深刻な病気にかかるのではないかと心配している。」と回答した人が約六割にも上っている。住民の健康不安に対応するため、健康管理やリスクコミュニケーションを図ることは当然として、放射線による健康影響が明らかになった場合の対応も事前に備えておく必要がある。子ども被災者支援法第十三条第三項においても、国は被災者たる子ども及び妊婦が東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくに起因する負傷又は疾病に係る医療を受けたときに負担すべき費用についてその負担を減免するために必要な施策等を講ずるものとされているところである。
 そこで、放射線の影響により何らかの健康被害が生じていると推定される場合に備えて、国は健康被害者に対する医療費の支給など十分な救済策を早期に検討し制度を構築しておく必要があると考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。また、一般的にどのような場合に東京電力原子力事故に係る放射線の被ばくに起因する健康被害が生じたと推定するのか、政府の見解をお示しいただきたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.