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平成二十七年五月八日提出
質問第二二三号

二〇一五年の日米防衛協力のための指針の決定過程と立憲主義に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




二〇一五年の日米防衛協力のための指針の決定過程と立憲主義に関する質問主意書


 二〇一五年四月二十七日、日本政府の外務大臣および防衛大臣、アメリカ合衆国政府の国務長官および国防長官は、日米安全保障協議委員会(以下「SCC」という。)を開催し、日本の「安全並びに国際の平和及び安全の維持に対する同盟のコミットメントを再確認」した。SCC終了後、「日米防衛協力のための指針」(以下「本指針」という。)が公表された。
 本指針では、「いずれの政府にも立法上、予算上、行政上又はその他の措置をとることを義務付けるものではな」いとしつつも、「二国間協力のための実効的な態勢の構築が指針の目標であることから、日米両政府が、各々の判断に従い、このような努力の結果を各々の具体的な政策及び措置に適切な形で反映することが期待される」としている。
 また、SCCの共同発表では、「米国は、日本の「積極的平和主義」の政策及び二〇一四年七月の閣議決定を反映する当該法制を整備するために現在行われている取組を歓迎し、支持する」ことが示された。
 このような観点から、以下質問する。

一 SCC共同発表で言及されているように、本指針の目標とするものの実現には、「日本の「積極的平和主義」の政策及び二〇一四年七月の閣議決定を反映する当該法制を整備するために現在行われている取組」が必要であるが、これは現行法制の修正を前提とするものである。政府が現行の国内法制でできない目標をアメリカ合衆国政府と合意することはどのような根拠に基づいているのか具体的に示されたい。
二 日本国憲法第七十二条では、「内閣総理大臣は」「外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」と示され、第七十三条で、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ」として、同条第二号で、「外交関係を処理すること」が明記されている。かかる日本国憲法の条文は「外交関係について国会に報告」することを優先していると解すべきであり、政府が現行の国内法制でできない目標をアメリカ合衆国政府と合意することは、日本国憲法第四十一条でいう「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」ことを軽視し、ひいては国民主権に反するのではないか。政府の見解を示されたい。
三 立憲主義とは、一般的に、国家権力の恣意的な侵害を制限することで、国民の自由、権利を保障しようという考え方である。SCC共同発表で示されたように本指針は「二国間協力のための実効的な態勢の構築が指針の目標」とされており、国会のチェックを受ける以前に「実効的な」法整備が行われるという前提で政府が他国政府と合意し、共同発表を行っている。かかる手続きは、日本国憲法第七十三条第二号の「外交関係を処理すること」を根拠とするものと思われるが、併せて日本国憲法第七十二条では「外交関係について国会に報告」するという留保も明示されている。特に、「二〇一四年七月の閣議決定を反映する当該法制を整備」するための法改正は、集団的自衛権の行使容認の道を開くもので、将来の国民の自由、権利に大きな影響を及ぼし得るものである。「国会に報告」することは、当然、国会で十分に議論が尽くされることを前提にしていると解すべきである。政府の本指針決定における手続きは国会を軽視し、立憲主義に反するのではないか。政府の見解を示されたい。
四 SCC共同発表でいうところの「日本の「積極的平和主義」の政策及び二〇一四年七月の閣議決定を反映する当該法制を整備するために現在行われている取組」は本指針の決定後、立法化され国会に提出されるものと思われる。しかしながら、TPPに関する外交交渉でも同様であるが、国会での関連法制の十分な審議を期待するのであれば、政府は誠実な姿勢で、適時、国会に交渉概要を報告すべきである。外交交渉であるため、詳細な内容は開示できないとしても、国会に何ら報告なく他国政府との交渉を済ませ、結果だけを審議しろというのはあまりにも誠実さに欠ける。政府・与党の姿勢は、衆議院での圧倒的な与党の議席数に恃んで、提出法案が無修正で速やかに可決されるものとして国会や野党との関係を軽視するものであり、立憲主義に反するのではないか。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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