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平成二十八年八月一日提出
質問第一五号

他都道府県から沖縄県への機動隊派遣に関する質問主意書

提出者  仲里利信




他都道府県から沖縄県への機動隊派遣に関する質問主意書


 去る平成二十八年七月東京都の警視庁や他道府県の警察から機動隊が沖縄県東村高江に派遣された。この機動隊は、沖縄県公安委員会の援助要求に基づき各都道府県公安委員会が決定して派遣されたことになっている。しかし、実際には沖縄県民の民意を無視して政府が強権的に進めようとしている名護市辺野古への新基地建設や東村高江のヘリパッド建設のため、政府が主導して派遣したものであることは明らかである。実際、派遣されるや否や、機動隊員は非暴力主義に徹して阻止や抗議活動を続けている住民を暴力的に排除した。さらに、地域住民の生活道路となっている県道の封鎖や、県道の管理者である県職員やマスコミ、県民の立ち入りの排除等、およそ暴挙の限りをつくした。これらの行為は到底一地方の警察の判断だけで行え得るものではなく、政府の強い指示が窺えるからである。政府のこのような行為や企みに対して、県民の間から強い非難と憤りの声が起こっている。
 そこで、以下お尋ねする。

一 去る平成二十八年七月に、警視庁や他の道府県の警察に機動隊の派遣を要請した法的根拠は何か、ということについて政府の承知するところを明らかにした上で、他都道府県から機動隊を派遣したことは沖縄県民の民主的な行動を弾圧するための政府主導の企みであり、到底許すことのできない暴挙であるとの県民からの批判に対して政府の見解を答えられたい。
二 今回沖縄県公安委員会から他都道府県の公安委員会に援助の要求が行われた際に、警察庁は調整や指揮監督の対象として関わったのかということについて政府の承知するところを明らかにした上で、派遣が妥当なものであったのかについて政府の見解を答えられたい。
三 援助の要求を行うための意思決定は沖縄県公安委員会が行ったのか、それとも緊急の必要がある場合に対処するため、あらかじめ沖縄県公安委員会が県警察に実質的な意思決定を委ねている(専決としている)ことに基づき、沖縄県警察本部長が判断をし、沖縄県公安委員会の名で権限を行使したのかのいずれであるかについて、警察法第六十条第二項の規定に基づき警察庁が取得した範囲内で、政府の承知するところを明らかにされたい。
四 警察法第六十条第二項の規定に基づき、沖縄県公安委員会が警察庁に連絡した必要事項の中で、援助を必要とする理由、援助を依頼した先の都道府県警察、援助のための派遣を受けることが必要な人員及び装備、派遣の日時・場所、援助を必要とする期間、その他等について政府の承知するところを明らかにされたい。
五 警察法第六十条第三項の規定で定める「派遣された警察官は、援助の要求をした都道府県公安委員会の管理の下」とは、どのような状況を指すのか、具体的な内容は何か、指揮命令系統は沖縄県警察の下に従うのか、身分や職権が変わるのか、などということについて政府の承知するところを明らかにされたい。
六 派遣された警察官の派遣期間中の俸給やその他の給与、公務災害補償等身分に直接付随する経費、派遣の際発生する日当、宿泊費、交通費、さらには派遣の際に持ち込んだ機材の経費、その運搬費等の個別の経費の内訳と総額について政府の承知するところを明らかにした上でそれらの経費については援助の要求を行った沖縄県側が負担するのか、それとも派遣を行った都道府県側が負担するのか、いずれになるのかということについて政府の見解を答えられたい。
七 機動隊が宿泊しているリゾートホテルにおける宿泊者の人数、宿泊費、食費、その他諸経費を一日当たりと総額に分けた内訳について政府の承知するところを明らかにした上で、これら経費は本来政府が賄うべきであるとの意見に対する政府の見解を答えられたい。
八 東村高江では、抗議及び阻止闘争を行っている地域住民や県民に対して、機動隊員が暴力を振るったため、骨折や怪我を負い意識朦朧となって救急搬送される事案が相次いでいる。県民に対する鎮圧、制圧、強制というこのような行為の法的根拠について政府の承知するところを明らかにした上で、沖縄県議会の平成二十八年六月定例会において加藤達也沖縄県警察本部長が、怪我人等の続出にもかかわらず「安全に配慮した上で適切な措置を講じている」と答弁していることや、機動隊員による暴力的な行為が原因であり、日常茶飯化しているからだという県民からの批判に対する政府の見解を答えられたい。
九 東村高江のヘリパッド建設工事を推進するため、米軍北部訓練場のゲート前で、警察による一斉検問と県道の封鎖が相次いで行われた。警察は「交通安全及び秩序の維持」等を理由に挙げたが、当該県道及びその周辺は交通量は少なく、普段、検問や封鎖が実施されている場所でもないこと、犯罪車両の逃走等緊急に検問や封鎖が必要だったわけでもないことからして、余りにも過剰な警備による基本的な人権の不当な制限及び侵害であり、到底容認できるものではない。警察によるこのような暴挙の法的根拠について、政府の承知するところを明らかにした上で、その妥当性についての政府の見解を答えられたい。

 右質問する。



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